【北京だより】11月10日号

最近、中国全土でマイコプラズマ肺炎が児童の間で流行りだして、しばしばトップニュースになっています。新華社、中央テレビ局などのメディアによると、9月以降、北京、上海、雲南、広州、ハルピン、西安など、各地の小児科で受け入れた肺炎マイコプラズマ感染患児の人数は明らかに増加し、11月中にピークを迎える見込みだと推測されています。

北京児童病院呼吸科の統計によると、現在、約20%の患児は肺炎マイコプラズマ検査結果が陽性だそうです。うち、5-10歳児童の発病率が最も高く、感染したら、1週間以上の発熱が普通で、咳もかなり酷く、新型コロナウイルスから1年も経たないうちに、新たな呼吸性疾患が中国の人々を悩ませ始めたようです。この病気は大人の感染者もいますが、子供よりは症状が軽く、また使える抗生物質の種類も多いため、重症化率はかなり低いとのことです。下図は自宅付近のある病院の小児科の様子です。

北京市の児童感染状況も爆発的に増えてきているため、11月6日、北京市疾病予防コントロールセンターは通知を発表し、学校は今冬、集団活動を減らし、罹患中は出勤・通学してはならないと指示しました。また、北京市内での小児科不足状況に関して、250のコミュニティ衛生サービスセンターのリストを追加で発表しました。うちの子供たちも学校でマイコプラズマウィルスに感染しましたが、幸いなことに軽症で1週間ぐらい治療を受けてほぼ治りました。下図は当該通知内容の一部、及び自宅が所在する朝陽区で小児科を新しく追加したコミュニティ衛生サービスセンターリストの一部です。北京児童病院のような専門病院では、診察までに7時間~10時間もかかるような満員状態で、一般病院の小児科急診も2時間以上待つのが通常なので、このようなコミュニティ衛生サービスセンターは先生や薬の種類は少ないですが、待つ時間が短いので好評です。

北京のみならず、全国範囲で小児科の医者さんが足りないのは現実問題でよく報道されています。2022年の統計データによると、中国の0-14歳の児童は約2億3,000万人で、全国総人口の18%を占めているが、医療機関の小児科執業(アシスタント)医師の数はわずか11万8,000人で、つまり約1,800人の児童に医師1名しかいない、という状況です。小児科の仕事はストレスが大きく、リスクが高く、また児童の場合、検査項目や処方する薬が少ないため、小児科医師の待遇も高くはありません。その他、患者家族の理解不足などの問題もよくあります。最近では杭州のある病院で、子供が高熱で7時間待ち、保護者と病院が口論になったという報道も注目されています。今後どのように小児科の受診難を軽減するかは多分、しばらくの間、解決できない問題だろうと思われます。

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