(東海地域レポート/内山)【東海日中関係学会 2026年秋季公開研究会報告 他】

1.東海地域主なニュース(中国関連)
・ 上半期 東海地方の対中貿易(東海日中貿易センター 2026年9月号)
 東海地区の対中貿易で、輸出は2期ぶりの増加の10.2%増の1兆4,544億円、輸入は5期連続の増加の22.0%増の1兆9,544億円で、総額は3兆4,088億円となり、日中貿易総額の13.6%を占めた。

・ コンプレッサー生産を集約 豊田自動織機、中国で(8月27日、中部経済新聞)
 カーエアコン用コンプレッサー事業の中長期的な事業成長を目的として、中国生産体制の再編実施を決定。

・ 中国で水産飼料生産 来月子会社設立へ 中部飼料(9月17日、中部経済新聞)
  成長著しい中国の水産養殖市場において、高品質かつ安全な水産用配合飼料を安定的に供給するため、新たに中国において水産用飼料の製造・販売を主要な事業とする子会社を設立。

2.トピック
(1)第20回アジア競技大会
 愛知・名古屋で第20回アジア競技大会(2026年9月19日〜10月4日)が行われた。32年ぶり3度目の日本開催となる第20回大会は「IMAGINE ONE ASIA ここで、ひとつに。」をスローガンに、アジア45の国と地域から約15,000人の選手団が参加し、43競技・469種目が実施された。中国からは1,274名の代表団が派遣され、うち選手は815名(女子404名、男子411名)で、38競技・369種目に参加(10月2日時点獲得メダル数:中国316、日本240、韓国134)。

 今回名古屋でアジア競技大会が開催されるにあたり、名古屋を舞台の一つとした55年前の「ピンポン外交」が特に東海地区で話題になっている。1971年に名古屋で開催された第31回世界卓球選手権で、1人の米国選手が中国チームのバスに間違って乗り込んだが、中国選手から温かく迎え入れ、この米中両国の選手交流をきっかけに外交が動き、ベトナム戦争で敵対していた米中両国が和解し、続いて日中国交正常化への流れを後押しすることにもなったという、スポーツが国家間の対話の扉を開く象徴的な出来事となった。

 アジア競技大会に続いて、10月18日~10月24日には「愛知・名古屋2026アジアパラ競技大会」が開催される。現在、日中関係は厳しい状況が続いているが、スポーツを通じて相互理解と人的交流を深め、当時のピンポン外交の精神を思い起こさせる貴重な一歩になることを期待したい。

(2)東海日中関係学会 2026年秋季公開研究会
 10月3日(土)、東海日中関係学会主催の2026年秋季公開研究会に参加。
  ・ テーマ  :「日中『冬の時代』と中国の今」
  ・ 第1部:川村範行・東海日中関係学会会長(名古屋外国語大学名誉教授)「戦後最も深刻な日中関係をどう乗り越えるか」
  ・ 第2部:中部地方歴史学者訪中団(民間交流継続へ ~ 北京・南京訪中報告)
 第2部「民間交流継続へ ~ 北京・南京訪中報告」の経済編で講演された曽根英秋 東海日中関係学会理事(愛知大学国際問題研究所客員研究員)からは、外交部や外交学院との意見交換の中で感じたこととして、
  ・ 「経済を以て政治を推進する(以民促官)」に変化はないが、経済の役割が減少。
  ・ 中国の科学技術の進歩、グローバルサウスの台頭により、米国・欧州・日本の経済面での重要性が低下(中国の自信の表
   れ)。
   ➡ これまでのように日本の経済団体が言えば、対応するような時代ではない。政治の基盤
     が優先であり、民間交流(経済)だけで日中関係が正常化するのか?
  ・ ビジネスでは、「適時に市場の変化を把握し、自社の優位性をいかに発揮するか」が重要。そのためには、「日中両国の人的
    往来が重要」。
 とのコメントがあった。

  現地現物で、中国に何度も足を運び、変化の速い中国の市場や実際に起こっていることを自分の目で確かめ、自社の強み・弱みを客観的に理解することが中国ビジネスではこれまで以上に重要になってくると思う。

3.その他
  愛知大学が、10月24日(土)に、「東アジアの社会・産業のダイナミクスと課題-第4回エズラ・ヴォーゲル記念フォーラム」を開催します。藤本隆宏東京大学名誉教授(中国の台頭と日本製造業のレジリエンス)、朱建栄東洋学園客員教授(中国の経済戦略:ハイテク優先で中央突破を考える発想の分析)他が講演、パネル討論されます。

<愛知大学国際中国学研究所HP>
国際中国学研究所(ICCS)2026年度年次シンポジウム第4回エズラ・ヴォーゲル記念フォーラム | イベント | 愛知大学国際中国学研究所

内山 仁宏(2026年9月)