【北京だより】6月24日号

今回は、いつもの「北京だより」に代えて、中国不動産市場の近況についてのレポートをお送りいたします。皆様のご参考になれば幸いです。

『中国不動産市場の近況について』

 

一、不動産開発に関する最新データ

2021年から現在まで、全国の不動産開発投資は年初の累計成長率が下落し、17ヶ月連続で下落し、一時的な回復もなかった。2022年4月、全国の不動産開発投資の年初累計増加率は初めてマイナス区間に入り、-2.7%だった。5月には、この数値は引き続き下落し、-4%に下落した。このままで行くと、6月、7月、全国の不動産開発投資の累計増加率は依然としてマイナスを維持するだろうと見られている。 

2022年1~5月、全国の土地購入面積は2,389万㎡で、土地の成約総額は1,389億元で、前年同期比45.7%下落し、この10年間の最低値だった。現在の土地市場は、デベロッパーが簡単に大金を使って土地を買う勇気もないし、大規模な土地を供給する自信を持っている都市もない。

1~5月、分譲マンションの販売面積は50,738万㎡で、前年同期比23.6%減少した。うち、住宅販売面積は28.1%減少した。分譲マンションの売上高は48,337億元で、31.5%減少した。うち、住宅販売額は34.5%減少した。

また、前年同期に比べると、1~5月、不動産開発企業の新規着工面積は51,628万平方メートルで、30.6%減少した。住宅の竣工面積は23,362万平方メートルで、15.3%下落した。不動産開発企業の着金資金は60,404億元で、25.8%減少した。個人ローンは9,785億元で、27.0%下落した。

 

二、不動産販売価格の変化について

2022年5月、70の大中都市のうち、43の都市の新築価格は前月比で下落し、25の都市の新築価格は前月比で上昇し、3つの都市の住宅価格は前月と横ばいだった。1~5月、全国の分譲マンションの平均価格は9,527元/㎡で、前年同期比10.3%下落した。

地域別に見ると、一線都市の新築住宅と中古住宅の価格は前年同期比3.5%と1.7%上昇し、二線都市の新築住宅の価格は前年同期比0.3%上昇し、中古住宅の価格は前年同期比1.7%下落した。三線都市の新築住宅と中古住宅の価格は前年同期比それぞれ2.2%と3.2%下落した。

一線都市を具体的に見てみると、北京、深セン、上海、広州の新築住宅価格の前年同期比上昇幅はそれぞれ5.9%、3.9%、3.4%、1%だった。中古住宅価格は、北京、上海、広州がそれぞれ前年同期比5.3%、3%、1.3%上昇した。深センは同2.6%下落した。 

四大一線都市は、中国の住宅価格のベンチマークである。データから見ると、北京はコロナ対策の影響で、前月比がわずかに下落した。上海はロックダウンのため流動性を失い、ほとんど成約がなく、価格は自然と起伏の変化がない。広州深センの前月比上昇は、住宅価格が依然として緩やかに上昇していることを意味している。

二線都市の中では、成都の新築住宅価格の上昇幅は2ヶ月連続で70城のトップにランクされ、5月の上昇幅は引き続き拡大し、0.9%に達した。ウルムチの新築住宅価格は前月比0.7%上昇した。海口、済南はいずれも0.5%上昇した。杭州は前月比0.4%上昇した。

三線都市の状況はあまり楽観視できない。9つの都市の新築住宅価格は前年同期比5%以上下落し、南充、湛江、ハルビン、北海、大理、瀘州、岳陽、常徳、秦皇島を含め、三、四線の都市が多く、これらの都市市場の下り圧力は依然として大きい。

 

三、主要不動産開発企業の状況

2022年1~5月、全取引の売上高が千億元を超えた不動産開発企業は、碧桂園、万科、保利発展の3社(2021年同期は15社)だけで、売上高はそれぞれ2,011.9億元、1,673.4億元、1,592億元。前年同期に比べると、3社はそれぞれ1,529.1億元、1,169億元、743億元下落した。即ち売上高は同期比5~7割下落した。売上高が百億元を超えた不動産開発企業は70社で、前年同期に比べると48社減少した。

注目すべきなのは、昨年の1~5月の売上高ランキングTOP 15には、中国恒大、龍湖、融創、世茂、旭輝など多くの民間企業が入っていたが、今年、恒大は33位に落ちて、TOP 15には、民間企業では碧桂園、龍湖、融創3社しか残っていない。その内、龍湖のランキングは昨年の12位から今年の10位に上昇し、業績ランキングの向上を実現した数少ない民間企業である。龍湖前5か月の権益売上高は404.9億元で、下落幅が前年同期比約48.24%減少し、緑地など一部の国有企業よりも下落幅が低かった。

 

四、政策緩和等について

経済を刺激するため、今年に入ってから、中央レベルでは何度も合理的な住宅消費の支持を強調し、5月だけで50の都市が購入製限、販売製限、ローン制限などの政策を緩和し、住民の住宅購入を奨励している。5月20日に中央銀行が発表した最新LPRは予想を超えて15ベーシスポイント低下し、住宅ローン金利の下限は引き下げられ、住宅購入のコストが下がった。また、鄭州、杭州、大連、武漢、済南、太原など数多くの都市は住宅購入の資質に対する要求を緩和した。中古不動産の期限限定販売政策も緩和された。統計データによると、2022年以来、全国では160以上の省・市・区は不動産緩和政策を打ち出したという。

現在、中国の不動産市場は全体的に冷え込んでおり、各地で頻繁に打ち出された不動産応援対策の効果もまだよくわからないが、不動産市場の発展を楽観視している機関も少なくはない。6月14日、社会科学院は「不動産青書:中国不動産発展報告(No.19・2022)」を発表し、2022年の分譲マンションの年間販売平均価格が2.8%上昇すると予測している

 

以上