1.東海地域主なニュース(中国関連)
・ 東海日中貿易センター 中国投資企業部会総会を開催(6月12日)
加藤圭太部会長(岡谷鋼機㈱メカトロ本部長)は「本日、ROBOT TECHNOLOGY JAPANという産業用ロボット・自動化システムに関する展示会を見てきた。セントレアにある展示場Aichi Sky Expoで隔年開催されているもので、2年前の前回もそうだったが、今回は前回にも増して中国メーカーによる出展、そして中国製ロボットを取り扱う代理店の出展が非常に多く、これまでと状況がかなり変わってきていると思った。もちろん日本の工作機械メーカーの出展も多かったが、業界団体である日本工作機械工業会が年初に発表した今年の工作機械の年間受注総額の見通しは1兆7千億円であったが、今月に入り2兆円に上方修正している。これは北米向け、中国向けの輸出需要が旺盛であることが理由とされ、米中関係、日中関係とも政治的には良くないものの、マーケットとして中国は無視できない規模であり、どんどん大きくなっている」と挨拶した。
(以上、東海日中貿易センター Webサイトより一部抜粋)
・ ハイテム、中国工場を移転拡張(7月1日、中部経済新聞)
・ 国際線旅客8%減 中国線の減便響く 6月、中部空港(7月25日付 中部経済新聞)
2.トピック 「香港の活用」
香港特別行政区政府は6月15日、香港特別行政区経済社会発展のための第1次5カ年(2026~2030年)規画に関するパブリックコメント(意見募集)を開始したと発表。
パブリックコメントの対象となる重点分野は、6つのパートで構成され、内容は経済、産業、空間計画、インフラ、グリーントランスフォーメーション(GX)のほか、ヘルスケア、教育、住宅、福祉、高齢者ケアなどの生活に関わる幅広い領域に及ぶ。筆頭のパートには「北部都会区の開発加速とその他地域の空間計画推進」が掲げられ、北部都会区を香港における重要な新たな戦略的開発エリアと位置づけ、主にイノベーション・科学技術(I&T)、高等教育、医療・ヘルスケアイノベーションなどの機能を重点的に集積するとしている。また、I&Tおよび人材資源の分野において広東・香港・マカオグレーターベイエリア(粤港澳大湾区)とのより緊密な連携を促進するとしている(以上、6月25日付ジェトロ ビジネス短信より一部抜粋)。
私は香港に駐在経験があるが、広東・香港・マカオグレーターベイエリア(粤港澳大湾区)計画の中で、香港は深圳とのハイテク・イノベーションでの連携を打ち出し、香港サイエンスパーク(HKSTP)も注目されていた。その後、中国が2020年6月に香港国家安全維持法を施行し、香港政府は反体制的な行動の取り締まりを強化し、それ以降、香港は国際金融センターとしての地位を失いつつあるという論調が支配的で、日本での香港のビジネスに関する報道も少なくなっていたように感じている。
しかしながら、ここ数年、香港の外資企業拠点数は再び増加しており、米国のトランプ政権が、香港への優遇措置を一部再開するなどの動き(7月17日、米財務省)もでている。香港は、香港国家安全維持法施行後も、経済面での「一国二制度」は維持・機能しており、金融・貿易・ビジネスの国際ハブとして、低税率、自由市場、多言語人材を兼ね備えた独自の強みを持っており、中国ビジネスに関する情報も多く入る。
また、法制度についても、過去の裁判例が重要な法源となる透明性が高い判例法(コモンロー)が維持されている。さらに、香港大学などアジアでもトップクラスの大学が香港には数多くあり、香港サイエンスパーク(HKSTP)と深圳との連携によるスタートアップの活動や研究・技術開発も行われている。特に、デジタル金融、グリーンファイナンス、バイオテクノロジーなどについて積極的に新産業の育成に取り組んでいる。香港は政治的な表面上の安定は回復しており、日常的なビジネス活動において、香港国家安全維持法が直接影響する場面は極めて限定的なものだと思われる。一方で、賃料・住宅費・生活費は高く、世界有数の高コストであることがデメリットでもある。
さまざまな地政学的リスクの懸念も高まるなか、今後の中国ビジネスを考えるにあたって、産業分野によっては、香港を資金調達や中国本土ビジネスへのゲートウェイ、深圳をはじめとする大湾区全体のビジネス、ASEAN市場拡大に伴う地域ハブとしてうまく活用できないかという視点もあるのではと思う。中国本土だけでなく、今の香港を視察するのも有意義かもしれない。香港政府が打ち出した「第1次5カ年規画」の今後の動向を注視していきたいと思う。
内山仁宏(2026年7月)
