【北京だより】9月24日号

最近、久しぶりに故宮に行きました。今週は秋の故宮の様子をご紹介します。

先ずは南の午門から故宮に入りました。「午門」は紫禁城の正門であり、真ん中の門は普段、皇帝しか使えないそうです。面白いのは正面から見ると、「午門」は三つの門しかないですが、後ろから見ると五つの門になっています。

 

「午門」の北側は「内金水橋」です。「内金水橋」は、太和広場の前に位置し、五つの橋から「弓」の形になっています。真ん中の橋は皇帝専用の「御路橋」で、両サイドの橋はそれぞれ「王公橋」(王室の方が使う)、「品級橋」(三品以上の大臣が使う)と呼ばれています。

 

「内金水橋」を経由し、「太和門」を通過すれば、雄大な太和殿に到着しました。「太和殿」は紫禁城では一番重要な存在であり、「金鑾寶殿」とも呼ばれています。昔の皇帝が重要な朝典を挙行する場所です。最初は明代に建てられ、現存するものは清の康熙時代に再建されたものです。また、太和殿は紫禁城の中で最大、最高級の宮殿でもあります。

 

 「太和殿」の北側は「中和殿」と「保和殿」です。この二つの建築物は「太和殿」より小さいです。「太和殿」、「中和殿」、「保和殿」は合わせて「前三殿」と呼ばれています。

 

「前三殿」の見学が終わり、次には皇帝と皇后及び女官達が生活する「后三宮」エリアに到着しました。后三宮とは、乾清宮、交泰殿、坤寧宮の三宮とその関連区域の総称で、部屋数は420余りだそうです。下図は乾清宮の様子です。

 

また、中軸線にある建物以外、「文淵閣」と「暢音閣」、「九龍壁」も見学しました。文淵閣は昔の蔵書棟で、二階建てで、屋根は黒い瑠璃瓦で覆われています。陰陽五行説では、黒は水を表すので、火を制するための意味があるのだそうです。

  

暢音閣は寧寿宮区の中央部にあり、紫禁城で最大の芝居専用の楼閣です。「暢音」とは、楽音を思う存分楽しむという意味です。内には上中下三段の台があり、上段は「福台」、中段は「禄台」、下段は「寿台」と呼ばれています。中国古代では、演劇は宮廷の主な娯楽でした。各種の祝日、例えば元旦、立春、中秋などの際には、宮中で芝居を見ます。清代の宮廷内で演劇するところはたくさんありますが、暢音閣は、大きな祭りのための芝居に使われていたそうです。資料によると、西太后はいつも暢音閣で芝居を見ていたそうです。

 

「九龍壁」は黄龍を中心に東西に青、白、紫、黄色の9つの巨龍が配置されていて、とても綺麗です。壁の長さは29.47 m、高さは3.59 m、厚さは0.459 mで、重さは300トン以上に達していて、正面は270枚の焼き瑠璃の塊でつなぎ合わせて作られています。中国においては、現存する最も有名な九龍壁は三つあり、それぞれ山西省大同市、北京市内の北海公園と故宮にあります。故宮の「九龍壁」は清の乾隆帝時代に作られ、200年以上の歴史があります。

 

三宮」の見学が終わり、一番北側にある「神武門」から出て帰りました。以前も数回故宮に見学に来ましたが、いつも観光客いっぱいでとても賑やかでした。しかし、今回は、コロナ対策で入場人数が制限されていたせいか、割と静かでした。

 

以上