日中関係が冷え込んでいるなか、東海地域で行われた2つのイベントを報告します。
1.「第21回 桜二胡音楽会」
2026年4月5日(日)、岡谷鋼機名古屋公会堂にて、特定非営利活動法人チャン・ビン二胡演奏団主催、名古屋姉妹友好都市協会共催により、「第21回 桜二胡音楽会」が開催されました。本公演は、日本の「桜」と中国の伝統楽器「二胡」をテーマに、日本と中国の文化が響き合うコンサートとして毎年開催されている手作りの音楽会で、チャン・ビン二胡演奏団と全国公募の二胡愛好家たちによる日本や中国の名曲の演奏は、名古屋の春の風物詩として広く親しまれています。
当日は約1,300人の観客が会場に足を運び、子供たち、大学生も含めた日中の演奏家たちが、「さくらさくら」、「愛の花」、「江南景色」など日中両国の多くの名曲を披露しました。本公演のダイジェストがYouTubeに上がっていますので、是非ご覧ください。手作りで心温まる音色と日中友好の絆をあらためて感じられる素晴らしい演奏会だと思います。
2.東海日中関係学会「2026年 春季公開研究会」
2026年5月9日(土)、名古屋市内で東海日中関係学会が春季公開研究会を開催しました。現代イスラム研究センターの宮田律理事長が講演され、米国・イスラエルによるイラン攻撃の背景と影響を分析すると共に、イランと重要な友好国でもある中国との関係、及び米国とイランの狭間に立つ日本の対応について考究されました。また、当学会の川村範行会長が、「日米・米中首脳会談と日中関係への影響」について、曽根英秋理事が「トヨタ、中国NEV新戦略 “In China For China” の考察」についてそれぞれ講話されました。
上記2つのイベントの他にも、東海地域では各方面で中国経済に関する講演会などが行われています。
「力による支配」で既存の国際秩序が揺らぎ、米国覇権の相対的な弱体化、中国の台頭、インドをはじめ存在感を増すグローバル・サウス諸国といった、世界経済や国際政治のパワーバランスが大きく変化しています。
日中関係においては、政治面が特に厳しい中で、多面的な視点をもち、かつ将来につながる産学交流や民間交流が継続していく努力が重要だと感じています。また企業目線では、米中関係や地政学リスクを踏まえ、将来の中国市場へのビジネス戦略、およびサプライチェーン・調達戦略をそれぞれ整理して、検討していくことが重要だと思います。
3.アジア大会・アジアパラ大会 愛知・名古屋
そして東海地域では、2026年9月23日(水)~29日(火)に「愛知・名古屋2026アジア競技
大会」、2026年10月18日(日)~10月24日(土)に、「愛知・名古屋2026アジアパラ競技大会」がそれぞれ開催されます。スポーツ界にとって2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の次なる大きな目標となり、拡大するアジアとの交流を一層深める機会となるなど、日本全体にとっても大変意義のある大会になります。ぜひ会場でアスリートの皆様を応援してください!
4. 総括・気づき
最近、最も注目していたことは、北京で行われた米中首脳会談でした(5月14日~15日)。今年は、今回を含めて4回(9月習主席訪米、11月APEC、12月G20)、トランプ大統領と習近平国家主席との首脳会談が開かれる可能性があります。今回の会談で、習主席が「建設的な戦略的安定関係」を提唱し、トランプ大統領も合意したと報道されています。米中間に利害対立が存在することを認めつつ、それを管理することで関係を安定させるべきという意図と考えられます。会談について、米国、中国どちらが勝ったのか、負けたのかという報道や論評が多く出ていましたが、どちらが一方的に勝ったと言えるものではないように個人的には感じました。より重要なのは今後であり、米国の中間選挙前となる9月予定の米中首脳会談を注目したいと思います。また、今後仮に米中間の経済協力が進むことになれば、日本企業における米国・中国ビジネス戦略にも影響してきますので、情報収集・分析と対策を議論しておく必要がありますが、日中関係が冷え込んでいる今だからこそ、米国や中国の現地に自ら足を運び、現地の実態や声を把握することが重要だと思いました。
内山 仁宏(2026年5月)
