【北京の二十四節気】立秋-王府井-

●立秋(2016年8月7日 くもり 最高気温32℃、最低気温23℃)

8月上旬に、“秋になりました”と言われても、全くピンと来ません。ここら辺が太陽の角度に基づき四季を決める二十四節気のつらいところです。中国の人たちも、我々と同様に秋なのに暑いことはよく分かっています。そのため、“伏”(酷暑という意味)という言い方で、暑い時期を表しています。今は、第二の“伏”の時期に当たります。

さて、夏といえば「夏休み」。夏休みといえば「観光」。北京の観光といえば「王府井」ということで、今回は「王府井(Wang fu jing)」を紹介します(多少強引なところは大目にみてください)。

王府井は東京で例えるならば「銀座」に当たります。王府井の真ん中には、南北に走る遊歩道が800m余り続きます。その両側には、新東安市場(北京apm)や北京市百貨大楼といったデパートをはじめカメラ、時計、お菓子、お茶、布靴等々の老舗専門店からお土産屋まで、高級ブランドから廉価なものまで、さまざまなものを販売する店舗がひしめき合っています。食べる処も、北京ダック、シャブシャブ等の高級レストランから北京B級グルメ、果てはサソリなどのゲテモノまで各種各様です。中国国内のおのぼりさんや外国人観光客は、北京に来れば、一度は訪れる観光地です。

「王府井」の由来は、名前の通り、「王府(皇族の屋敷)の井戸」という意味です。元王朝が北京を首都としてから、「王府井」という街が造り始められ、明の時代に「十王府」、清の時代に「八王府」がありました。当時、北京の井戸で、飲用に耐えうる水を出すものが少なく、“水売り”という商売まであったそうです。この貴重な「王府井」の井戸が1998年に発掘されたことを記念して、その由来を書いたマンホールが発掘場所に設置されています。

皆さん。機会がありましたら、この記念マンホールを探してみて下さい。全長800余mの遊歩道のどこかにあります。ちなみに、私は3~4回行って、やっと見つけることができました。

最後の写真は、新疆から来たおじさんの写真です。

長安街でバスを降りたとき、「王府井はどこか?」と聞かれ、一緒に歩いた人です。翌日の深夜のフライトで、奥さんと子供が北京に来るとのことで、深夜に交通手段があるかと少し心配そうな反面、とても嬉しそうに話していました。

現在、王府井は三里屯等の新しい大規模施設に押されているとの報道がありますが、目抜き通りに新たに大型ショッピングセンターが建設中で、また、遊歩道の真下を走る地下鉄8号線は、2018年末の開通を目指しています。まだまだおのぼりさんのメッカという地位は、たやすくは譲らないみたいです。

文・写真=北京事務所 谷崎 秀樹

★本コラムについてはこちらから→【新コラム・北京の二十四節気】(夏至2016/06/22-空竹)

★過去掲載分:

大暑2016/07/22-膀爺(bang ye)

小暑2016/07/07-大清花の餃子

夏至2016/06/22-空竹