(東海地域レポート)【第4回地域レポート】

1.中部国際空港開港20周年記念 第7回日中友好・錦秋の集い
一般社団法人 東海日中貿易センター会報誌(2025年11月号)より抜粋

 10月4日(土)と5日(日)の2日間にわたり「中部国際空港開港20周年記念 第七回日中友好・錦秋の集い」が、日中友好・錦秋の集い会の主催、中華人民共和国駐名古屋総領事館の共催、中部国際空港㈱の特別協力により、中部国際空港(セントレア)第1ターミナル 4階イベントプラザで盛大に開催された。
 4日(土)11時より開催された開幕式では初めに岡田志江・第七回日中友好錦秋の集い会長が開幕宣言をした後、尹亜奇・中国駐名古屋総領事館副総領事、永江秀久・中部国際空港㈱常務執行役員、岡田志江・日中友好・錦秋の集い会会長、寺村英信・経済産業省中部経済産業局長、竹嶋賢司・愛知県国際課課長、羅玉泉・中国文化センター(東京)センター長、岡崎温・(公社)日本中国友好協会副会長、大矢裕慈・中部日中経済交流会会長、冠夢淇・中国駐大阪観光代表処代表、賈鵬・中国国際航空名古屋支店支店長、劉飛・中国東方航空名古屋支店支店長、村上勲・中国南方航空名古屋支店支店長、当センターからは大野専務理事がテープカットに参列した。
 その後、獅子舞が披露され、ダイナミックなアクションが観客の目を引き付けた。
 錦秋の集いは、中国と日本の芸術文化を楽しむ秋のイベントとして定着し、多くの来場者が多彩な演出を楽しんでいた。

2.無錫高新区(名古屋)自動車産業説明会が開催
一般社団法人 東海日中貿易センター会報誌(2025年11月号)より抜粋

 10月17日(金)、ウインクあいち(愛知県産業労働センター)会議室にて、無錫高新区駐東京経済貿易代表処の主催により標記説明会が開催された。
 説明会では冒頭、大野専務理事が協力団体として挨拶し、「無錫高新区駐東京経済代表処は2001年に設立され、コロナ前に一旦閉鎖したが、24年8月より再開している。この機会に東京代表処との交流をお願いしたい」と紹介した。続いて、基調講演では「BYD、吉利、小米等中国OEMの競争力の徹底分析」と題して、周錦程・㈱FOURIN取締役中国部部長より、中国EV大手メーカーの状況について、解説を行った。
 次に、無錫高新区のビジネス環境について、胥平・無錫高新区駐東京経済貿易代表処首席代表より概要説明が行われ、その後の質問の中で、レンタル工場や譲渡可能な土地使用権の状況について質問があり、後日参加者にメールで追加情報の提供が行われることになった。
 無錫高新区への進出企業ケーススタディは、木下茂一・㈱デンソーテン執行職コーポレート本部長より、自社の事業紹介が行われた。
 本会は20名が参加し、小規模の開催であったが、実りある説明会となった。

3.日中関係冷え込みにおける中部地方の受け止め
中部経済新聞電子版 2025年11月27日(木)より抜粋

日中関係冷え込み、中部産業界影響注視
2025年11月27日(木)
 台湾有事を巡る高市早苗首相の国会答弁に端を発し、日中両国の関係が悪化している。中国外務省が中国国民に対して訪日自粛を呼びかけてから約2週間がたつ中、中部地方でも影響を懸念する声が強まっている。ホテル、観光業や小売業などの状況を探った。

来年の春節
 中部国際空港セントレアホテル(常滑市)を運営する名鉄グランドホテル(本社名古屋市)は「宿泊するインバウンド(訪日客)の中心は台湾であり、現時点で影響はさほどない。今後の状況を注視している」と話す。
 ワシントンホテル(本社名古屋市)は「(ビジネスホテルは個人・グループ客が主力で)直近で中国からの宿泊影響はない」としながらも「(春節〈旧正月〉など)来年1、2月の需要期に向けては、ビジネスホテルにも宿泊客が流れてくるとみていただけに、今後は注意深くみていく」と表情は険しい。
 三重県の観光施設やホテルの一部では、中国人客の予約のキャンセルが発生しているもようだ。  
 三重県の海外誘客課によると、産業観光ツアーや団体旅行の予約で複数件のキャンセルが出ている。産業観光ツアーは県内企業の工場や職場を視察して経営の参考にしてもらうもの。近年、官民挙げて海外からの誘客に精力的に取り組んでいる。参加者は増加傾向にあり、定着しつつある。産業観光ツアーに関わる事業者の間では、今後の動向を心配する声も聞かれた。
 真珠博物館などがあるミキモト真珠島(鳥羽市)では、12月の中国人団体予約で1件のキャンセルがあった。担当者は「中国人のインバウンドがもともと少ない。今後もそれほど心配はしていない」と話している。
 岐阜県内の観光地でも影響が出始めている様子だ。飛騨高山地域における中国人観光客の動きについて、一般社団法人飛騨・高山観光コンベンション協会(高山市)の山腰和重専務理事は「旅館やホテルでキャンセルは出ているが、影響は軽微」と語る。2024年度は高山の訪日客のうち8%程度が中国からで、もともと比率が低い。春節の時期も「(中国客からの)キャンセルがあっても、国内客で埋まるのでは」と予想している。

残念な事態
 名古屋市の百貨店の間では現時点で影響が限定的にとどまる。もともと個人の訪日客が多いためだ。ただ、松坂屋名古屋店(名古屋市)は年末年始や2026年春節の書き入れ時に向けて、影響が顕在化しないか警戒感を強めている。
 名古屋商工会議所の嶋尾正会頭(大同特殊鋼相談役)は26日の記者会見で「残念な事態。短期で収束する状況ではなく、今後影響が出ると考えている」と話した。その一方、「海外で中国以外の地域への観光PRに力を入れて、新たな需要を掘り起こし、マイナス分を少しでもカバーできるよう動くべき」と強調した。
 JR東海は、グループで運営するホテルの一部で中国からの団体客の予約キャンセルが出ている。ただ、代わりに他の予約が入っており、現時点では影響は限定的という。
 丹羽俊介社長は名古屋市で開いた19日の記者会見で、「足元でグループ会社を含めて大きな影響は出ていない。しかし、どの程度長期化するか見通せていない。注視したい」と語った。

無傷では済まない
 中国政府が自国の航空会社に対し、減便を指示する動きもみられる中、マイナスの影響が懸念される。
 中部国際空港(常滑市)はコロナ禍後に中国路線の回復が主要空港に比べ遅れていることが課題となっている。19年9月実績の週164便の半分にも届いていない。中国便が最も多い関西国際空港とは7倍ほどの差がある。
 中部空港は今月中旬、中国便の大幅な回復が見込めないため、25年度の旅客数見込みを1260万人から1140万人に下方修正した。今回の中国政府による訪日自粛呼びかけを巡り、中国路線の回復がさらに遅れ、中部空港への影響が大きくなる可能性も出てきている。
 中京大学経済学部の内田俊宏客員教授は「当地でいうと自動車産業については、過去の不買運動ほど大きな影響はないとみている。一方で、このまま緊張状態が続くと、レアアースなどの輸出規制まで対日姿勢を硬化させる可能性もあり、製造業への影響が懸念される」と指摘。また、観光業への影響について「中国からの訪日客は国別でもトップであり、ようやく中部でも訪日客が増えてきたタイミングだったが、この地域も無傷では済まないだろう」と話している。

以上

内山 仁宏(2025年11月)