福井からの地域レポートの第1回目。今回は、福井県庁、JETRO福井貿易情報センター、福井商工会議所、福井銀行をはじめ、個別企業にヒアリングを実施。まずは、福井県の中国進出の概況について報告したい。
1,福井県内企業の海外進出状況
(1)海外拠点数2024年

(2)海外拠点数(2014年)

(3)内中国の拠点数
内中国の拠点数.png)
注:海外進出企業は、1か国に複数の工場や営業所を持っていることが多いため、その総数を拠点数としてカウント。
上記の「福井県の国際化の現状」によると、福井県からの海外進出については、この10年間で331件から384件へ53件増加。内、アジアがほとんどを占め、281件から331件へ50件増となっている。中国(香港・マカオを含む)については、184件から183件とほぼ変化はない。ただし、華東地区(上海市・江蘇省・浙江省)は11件減少し、その分内陸部に拡散している。
別機関からの情報も総合すると、1990年代から2000年代にかけては、中国一極集中時代で、中国への進出企業が大部分であった。2010年代の福井県企業の海外進出意欲は旺盛で、繊維・機械・電子を中心に、中国をはじめ、ベトナム・タイ等アセアン諸国に進出した。同時に、「チャイナプラスワン」と「アセアンシフト」が鮮明となった。福井の特色である眼鏡産業においては、中国中心の進出であり、海外展開できる力のある企業の海外展開は2000年代に終焉し、その後2010年代に一部部品メーカーがアセアン諸国へ進出している。
最近の製造拠点としての新たな中国進出の情報は得られなかった。一方で、中国現地法人の撤退・清算、アセアン諸国への移転、中国ローカル企業との合弁化、地元政府の要請による工場移転等の情報を得ている。これは、現在の日本企業全体が置かれている状況とほぼ同様となっている。次回からは、個別のテーマについて報告する予定である。
大橋 祐之(2025年5月)