(九州地域レポート)【九州地域レポート(2026年1月)】

  1. 楊慶東在福岡中国総領事に年末挨拶
    2025年12月17日、在福岡中国総領事館に楊慶東総領事を訪ね、年末の挨拶で面談した。現下の日中関係が厳しい状況にあることを踏まえながらも、互いに重要な隣国であることから、民間においては今後とも経済交流を積み重ねてほしい旨の話があった。中国総領事館関係者が各種会合に出席していないことについては、出席すると中国政府の立場から言わねばならぬことがあり、いっそ欠席したほうが言う機会もなくなる旨の発言があり、ある意味で「本音」が垣間見えた思いがした。小生からは、同年9月の香港・広州・深圳を巡る華南地区Greater Bay Area視察の結果報告会での質疑応答で、高市政権の行方・日中関係の今後について小生が回答した内容(中国にとって高市氏が最もなってほしくなかった首相候補ではないか)が、予言のようになってしまったことを大変残念に思うと応答したが、新年を迎えて両国間の関係改善に向けた動きがあることに期待したい。

  2. 軍民両用品目の輸出管理の影響
    1月6日に施行された中国の軍民両用品目の対日輸出管理で、特にレアアース関連の影響が強く懸念される。2012年の尖閣諸島国有化問題の際にも事実上の対日レアアース禁輸措置が取られたが、比較的短期で解除された。調達先の多様化やリサイクルの促進等、それなりの対応も進み、在庫を備える動きもあるものの、九州には自動車や半導体をはじめとする電子機器産業も多く集積しており、仮に民生用途に影響しても短期の耐性はあろうが、中国政府の運用次第の面もあり、適用の拡大や長期化が懸念されるところである。逆に中国にとって、レアアースの日本向け輸出への依存度は低く、対日禁輸を継続しても中国経済への影響は小さいとみられるが、長期化することで日本経済への打撃は大きくなる恐れが大きい。

  3. 米国大使館より日中経済関係についてヒアリング
    米国大使館政治部の一等書記官(中国にも駐在経験あり)が、在福岡米国領事館の政治経済担当領事らとともに、九州企業の中国との関係についてヒアリングを行うために来訪した。ヒアリングの主な目的は、高市総理の発言以降の昨今の日中関係のごたごたの中で、特にレアアース関連の中国からの調達の停滞や遅れによる影響は出ていないか、というものだったが、実際福岡貿易会にもここ関連での問い合わせや相談等も来ておらず、上記第2項でも記載した通りの内容で回答した。米国政府が日中間の経済関係に関心を持っていることも興味深い。尚、当方より日中間の経済事情については日中投資促進機構に話を聞いてみるといいのではないかと示唆しておいたので、いずれ駐日米国大使館よりコンタクトがあるかもしれません。

  4. 第77回Republic Day of India祝賀会
    1月26日、福岡市内ホテルにて、インド独立と1950年1月26日の共和国憲法施行を祝うNational Day 記念 Receptionに出席した。昨年の在福岡インド総領事館の開設もあり、福岡での同Reception開催は初。ただ、生憎タイミング悪く衆議院選挙公布前日ということもあり、国会議員や九州各県知事・県議会議長は、主賓として出席した鹿児島県・塩田県知事と同県議会議長を除いては本人の出席はなかったが、それぞれにビデオメッセージや副議長で対応していた。在福外国公館の中では、唯一在福岡中国総領事館・楊慶東総領事のみが出席しており、久しぶりにお目に掛かることができた。

  5. 九州地域(特に福岡)でのインバウンド需要は引き続き堅調
    福岡空港国際線の合計便数は、2025年11月実績値1,984便(対前年比110%)、12月見込値2,025便(対前年比107%)、2026年1月見込値2,032便(同107%)と着実に増加しているが、中国便に限っては11月までは247便(対前年比126%)と増加したものの、12月見込値では200便(対前年比94%)、2026年1月見込値では124便(対前年比50%)と激減している。特に福岡-上海便は12月22日以降中国国際航空の週6便と上海吉祥航空の週3便が運休、上海航空も12月23日以降週6便が運休、中国東方航空でもdaily flightは夜着、朝発便が運休となるなど、日中関係の悪化が大きく影響を及ぼしている。福岡空港出入国者数では、出入国者数合計で2025年11月の実績が789,102人(前年同月732,337人、107.8%)、外国人出入国者数は2025年11月の実績で630,240人(前年同月589,193人、107%)。一方、日本人出入国者数も2025年11月の実績値で158,862人(前年同月143,144人、111%)と純増はしているが、2018年同月比では85.2%にとどまっているのが現状。
    また、1月27日に九州運輸局が発表した速報値では、2025年の九州への外国人入国者数は合計574万人(除く外国クルーズ船)となり、過去最高だった2018年の外国人入国者数を約63万人上回ったとのこと。昨年11月以降は確実に中国人の来日は減少しているが、トータルでは韓国・台湾を中心とする東アジアからの旅行客でこれを埋めている状況が見られる。また、昨年12月の九州への外国人入国者数についても前年同月比で13.6%増加しているとのこと。
    それでも街中で大陸中国語や広東語を耳にしないわけではないが、機会は格段に減っており、肌感覚ではインバウンド観光客の大半を韓国人旅行客が占めるようになっているのが現状と思われる。

以上
平塚伸也(2026年1月)