◆一般社団法人日中投資促進機構の海外アドバイザー 郭 文軍様より寄稿14◆
2025年12月18日、海南島封関運営の正式始動に伴い、海南島は地理において依然として中国南海に浮かぶ真珠という存在であるが、世界の経済・貿易構造においては、内向きから外向きへの方向転換を成し遂げた。これは単なる地理的境界の管理転換ではなく、より開放的で透明性が高く、かつ強靭な「開放の拠点」を構築するという、中国から世界へ向けた強力なシグナルである。世界の投資家にとって、海南自由貿易港はもはや遠い政策構想ではなく、手に届く「対外開放拡大の新たなゲートウェイ」となっている。

封関運営の核心的なロジックは、「一線を開放し、二線を管理する(一線放開、二線管住)」ことにある。この制度設計により、海南島はルール面で国際水準への最大限の同調を実現した。「一線」においては、海南島と海外市場との障壁が取り払われた。最も直感的な変化は、「ゼロ関税」リストの爆発的な拡大に表れている。封関運営後、ゼロ関税品目の割合は21%から74%へと急増した。これは、大多数の生産設備、原材料、および消費財が、関税免除で海口や三亜へ流入できることを意味する。この「極限まで簡素化」された貿易コストは、グローバル・サプライチェーンに依存し、運営コストの削減を模索する多国籍企業にとって、極めて強力な誘因となっている。 しかし、海南自由貿易港の目標は「ショッピング・パラダイス」に留まるものではない。真の主眼は、「高付加価値優遇」という政策的恩恵にある。海南島で生産または加工された貨物は、その付加価値が30%を超えれば、中国本土市場への流入時に関税が免除される。この政策は、海外の原材料産地と中国の巨大な内需市場を繋ぐ「スーパー・ハブ」へと海南島を直接的に変貌させた。国際企業が海南島で加工した製品は、低コストで島内販売ができるだけでなく、中国本土市場へも円滑に参入できる。これは「ショップ・ファクトリー一体化(前店後厰)」の変容として、アジアにおけるグローバル・バリューチェーンの再編を促している。

市場参入のハードルに関しても、海南島は「自己革命」を遂げている。外資参入ネガティブリストは縮小を続け、現在は中国全土で「最短のリスト」となった。教育、医療、金融、電気通信といった核心的なサービス貿易分野における開放の度合いは、かつてない規模に達している。これは単なる「引き算」ではなく、「禁止されていないものはすべて参入可能」という原則の深化である。外資企業はもはや「部外者」ではなく、様々な優遇を享受するパートナーとして、ハイエンド・サービス業の競争により公平に参加することが可能となった。
同時に、海南島は自由で円滑なクロスボーダー資金移動を核心に、中国の産業チェーンにおける「オフショア機能」という欠けていたピースを埋めつつある。多機能自由貿易口座(EF口座)の普及により、海南島と海外間の資金移動は呼吸をするかのように自然なものとなった。外資企業にとって、これは為替コストの低減と、より効率的なグローバル資金調達能力を意味する。企業所得税および個人所得税の「ダブル15%」という優遇措置と相まって、海南島は資金のみならず、トップクラスの人材をも呼び込んでいる。税制の優位性、資金の自由、そして産業の集積からなるこの「クローズドループ」は、海南島をグローバル資本の「強力な磁場」へと変えつつある。

封関が実施された海南島は、もはや単なる中国の対外開放の窓口ではない。それは制度イノベーションの実験場であり、国内・国際的な二重循環」を繋ぐ「ゲートウェイ」としての役割を担っている。複雑で変化の激しい国際環境においても、中国には高度な自由、法治化、そして国際慣行と高度に合致したビジネス環境を提供する能力と意思があることを、海南島は外資に対して示した。勃興していく海南島は、外資への開放拡大を象徴する縮図であれば、中国が新時代の高品質発展という道のりにおいて、グローバル企業のために用意した、最も広く透明な「競争の舞台」でもある。
