日系企業の現状と課題について

「日系企業の経営の現状と課題」について、2つの点を報告する。

まず、中国進出企業の事業損益状況については、 当機構のアンケートや、昨年8月に実施された中小企業金融公庫のアンケート調査で、進出企業の約6割は概ね経常利益を確保しているとの結果が得られている。

経営課題については、 中国のWTO加盟下、今後の規制緩和や透明性の向上に期待を寄せながらも、「売上増に対する収益の低下」、すなわち、「価格競争の激化」が、現状既に「最大の経営課題」との厳しい認識が、両アンケートに寄せられている。


(1)知的財産権保護
 WTO加盟と前後し、知的財産権に関わる法律の制定、改正が進められ、法整備の面ではほぼ確立されてきた。
 但し運用面では徹底がはかられておらず、これまで充分な効果は得られていない。
特に模造品による被害は依然大きく、模造業者も巧妙化・専門化してきており、また中国に限らず海外市場でも被害を受けている。

(2)売上債権回収問題
 日系企業が国内販売にあたって,最も頭を痛めている問題が売上債権の回収である。企業自体の販売管理体制や中国の商道徳の問題もあるが、中国の司法制度が不完全であることに起因する部分が大きい。
 法整備は確立しつつあるが、実際の運用を行う現場では、依然地方保護主義的な色彩濃く、また裁判官の能力にも問題を抱え必ずしも公正な裁判が行われているとはいえない。また、判決確定後の強制執行も不完全で、司法制度自体の信頼を損ねている。

(3)WTO加盟後の事業展開
 WTO加盟に伴い、流通・サービス業の分野を中心に外資の参入規制が緩和・廃止されるが、その具体的なスケジュール、参入基準等が明確にされていない。参入規制緩和・廃止を受け、日系企業も新たな事業展開を検討しているが、スケジュール、認可基準等の基本的条件が不透明なため具体的な検討が困難な状況。
 また流通業開放と貿易権自由化により、3年後には親会社を含めた他社製品の輸入・国内販売が可能となることへの期待が大きいが、外資出資制限等は段階的に引き下げられるため、どの時点でどのような形態で参入するのか慎重に判断する必要がある。既に設立済みの保税区内貿易会社や傘型企業(投資性公司)の取扱いが今度どうかわっていくかも、見極め必要。

(4)内国民待遇による外資優遇税制の廃止
 外資企業に適用されている優遇税制は、将来的には内資企業(中国企業)と一体化され、税率が引上げられることが検討されている。
 中国当局は、現状外資企業に適用されている優遇税制は当面存続させるとしているが、時期については明確にしていない。

(5)傘型企業(投資性公司)の事業活動制限
 傘型企業の輸入仕入は、系列関連商品、市場調査目的などの一部に限定されており、傘下企業からの製品仕入は10%以上出資した傘下企業からのみ許可される等の制限が設けられている。
 規定上認められている傘下企業への財務支援も現実的には許可を得るのは困難で、資金調達面においても障害が多い。

(6)その他未解決の問題として
1.鋼材輸入規制、2.リース債権回収、3.ITIC問題、4.移転価格税制 等

以上

(山根芳文)