新しい「外商投資方向指導規定」と「外商投資産業指導目録」![]()
| 今年2月に「外商投資方向指導規定」が公布され、3月にはその付属文書である「外商投資産業指導目録」が発布され、ともに4月1日から施行されることになった。規定は95年6月の暫定規定を改正したもの、目録は97年12月以来、2回目の改定である。新しい規定と目録について、注目点を述べてみたい。
新旧の目録に掲載されるプロジェクトを数で比較すると、奨励類186→262、制限類112→75、禁止類31→34、合計329→371で、奨励類が大幅に増え、制限類が減少している。 奨励類の262アイテムのうち、新たに追加されたプロジェクトは114、旧目録から外れたプロジェクトは38ある。追加されたプロジェクトは、ほとんどの業種にわたっている。規定では、奨励類の対象として、(1)農業、エネルギー、交通、重要原材料工業、(2)先進技術により製品の性能改善が可能なものか、国内の生産能力が不足している新設備・新技術、(3)市場開拓か国際競争力向上が可能なもの、(4)資源節約・環境汚染防止が可能なもの、(5)中西部の優位性を発揮できるもの、(6)その他法規で規定するもの、が挙げられている。このうち、追加となったのは、主に(1)(2)(4)に該当するもののように思われる。 また、追加プロジェクトには、旧目録の制限乙類から移ったものが26アイテム含まれている。制限乙類は、外経貿部などによれば、「どちらかといえば奨励類に近いが、国内産業が未発達のため、国が統一的・計画的あるいは試験的に導入するもの」とされていた。その中には、WTO加盟にあたって開放を約束した業種も含まれている。自動車(完成車・エンジン)製造、一般商品の卸売・小売、会計監査などである。これらの業種は、企業形態や出資比率などの制限はあるものの、今後は認可数の制限を受けないことになると思われる。 卸売・小売の場合、「外商投資商業企業試点弁法」(99年6月25日発布・施行)が現行の管轄法規としてあるが、これに規定される条件はきわめて厳しい。近々、改正されるといわれているが、奨励類になったことで条件がどこまで条件が緩和されるのかが注目される。ちなみに、奨励類プロジェクトの認可手続きは、「国の総合バランスを必要としない」ものであれば、投資金額にかかわらず地方政府の認可となる。このことからも、認可数の制限はなくなると思われる。 一方、旧目録の奨励類から外れたプロジェクト(許可類)は、この間、外資の参入が増えたもの、国産化が実現したものなどが多いようだ。製造業では、紙パルプ、シリコン、一部自動車部品(ピストン、バルブ、バックミラー、ランプなど)、ハイビジョンテレビ、単一モード光ファイバー、医療用チューブなどが含まれる。 制限類は、製造業を中心に大幅に数が減った。旧目録では、製造業は78アイテムあったが、新目録では34アイテムに減っている。特に、機械・電子工業は32から5に激減している。 同時に、甲・乙の区分がなくなった。乙類の意味は上記のとおりだが、甲類は旧規定の「国内で既に開発または導入されている技術で、生産能力が国内市場の需要を満たしているもの」がこれに当たる。新規定では、制限類について、(1)技術レベルが遅れているもの、(2)資源節約・生態環境改善に不利なもの、(3)国が保護する鉱産物の探査・採掘、(4)国が段階的に開放する産業、(5)その他法規で規定するもの、と定めている。 「生産能力が国内市場の需要を満たしているもの」から「技術レベルが遅れているもの」へ変わった点が目新しい。国内市場が供給過剰の状態にあるものでも、技術が遅れていなければ制限を受けないことになる。旧目録で制限甲類だったもので、今回制限類から外れたものには、洗濯機、冷蔵庫、エアコン・冷蔵庫用コンプレッサー、エレベーターなどがある。また、制限乙類だったもので今回外れたものには、銅・アルミ加工、ラジアルタイヤ、複写機・カメラ、カラーテレビ、ビデオカメラなどがある。 サービス業は、わずかながら増えている。旧目録の28アイテムから新目録では31アイテムになった。その多くは、WTO加盟で開放を約束したもので、運輸、電気通信、卸売・小売(特殊な形態によるものか特殊な商品を取り扱うもの)、レンタル、貨物輸送代理、広告代理、対外貿易、金融・保険・証券、法律コンサルティングなどが含まれている。 このうち、卸売・小売は、無店舗販売(訪問販売・通信販売・ネット販売)、フランチャイズなどの特殊な形態のものが対象となっている。これらはWTO加盟時の約束で、3年以内に制限が撤廃されることになっている。また、食糧、綿花、植物油、砂糖、薬品、タバコ、自動車、原油、農業生産資材、書籍、新聞、定期刊行物が指定されている。WTOでの約束では、卸売の取扱い商品の制限については、塩とタバコを除き、加盟後3年以内に書籍・新聞・雑誌・薬品・農薬・農業用フィルム、5年以内に化学肥料・成品油・原油の取扱いを認めるが、それ以外の商品については当初から制限を課さないことになっている。(小売の場合は、加盟後1年以内に書籍・新聞・雑誌、3年以内に薬品・農薬・農業用フィルム・成品油、5年以内に化学肥料を許可する。) 一方、認可手続きもやや簡素化された。旧規定では、制限乙類のプロジェクトの場合、総投資額3千万ドル以下であっても、まず項目建議書を国務院の業種主管部門が審査・認可し、それにもとづいて省レベルの計画部門か経済貿易部門がF/Sを審査・認可し、同時に国家発展計画委員会か国家経済貿易委員会に報告するとされていた。新規定では、省レベルの計画部門か経済貿易部門がF/Sを、対外経済貿易部門が契約書・定款を審査・認可し、同時にそれぞれ中央の上級部門と業種主管部門に報告するとされている。なお、目録にない許可類のプロジェクトについては、従来どおり、3千万米ドル未満は地方認可、3千万ドル以上は中央認可となる。 (池上隆介) サイトの内容の無断転載、複製を禁じます。 |