投資機構会員ネット・法律税務相談室より(第6回)

会員ネット内の法律・税務相談室より、皆様のお役にたつと思われる事項を抜粋して紹介させて頂きます。今回も前回に引き続き保税区関連のご質問を取り上げました。
 なお、当機構会員の方でまだ会員ネットにご登録されていないかたがいらっしゃいましたら(ご登録は無料です)、ぜひともご登録いただき、どんどんご質問をお寄せ下さいますようお願い致します。
トップページの「登録はこちら」ボタンからユーザー登録を行った上でログインしてください。
※通知した企業別ID、パスワードではログインできません。

質問1.保税区とは?
 保税区の貿易会社について、申し訳ありませんが、基本からご説明願えませんか?つまり、実際に上海に事務所があり営業活動(貿易活動)ができるが、あたかも外国企業が中国へ輸出するように関税がかけられるということでしょうか?この場合の会社設立のための条件等も教えて頂けると非常に助かるのですが。

回答1.
 保税区の貿易会社は、海外との貿易権は与えられていますが、保税区外との貿易権は与えられていません。保税区外へ販売する場合は、相手が貿易権を持っていれば、あたかも外国企業が輸出するように、輸出することができます。この場合、保税区の貿易会社ではなく、相手の貿易権によって輸出が成立するわけです。言ってみれば、プッシュではないプル型の輸出です。保税区への輸入も同様に、相手に貿易権があってはじめて輸入することができます。
 しかし、相手に貿易権がなくとも、貿易権のある企業に輸入代理を委託することによって、保税区外に販売することができます。この貿易権のある企業というのが、一般に地場の貿易公司であり、「交易市場」と言われる一種の貿易公司です。しかも、保税区貿易会社自身がプッシュ型の販売をしているのが一般的です。どうするかというと、形式上は、保税区貿易会社が貿易公司に輸出します。貿易公司は通関手続きを行って輸入します。これで内国貨物になったものを保税区貿易会社が人民元で買い戻し、それを保税区外の企業に人民元で販売するというやり方です。(人民元取引ですから、相手に貿易権がなくても買うことができるというわけです。)本来は、輸出をしたらまず外貨で代金を回収し、買い戻したときに人民元で支払うべきですが、実際にはこんなことはしていません。保税区貿易会社は、貿易公司に対して輸入代理手数料を支払うだけです。(法的には疑義のあるところですが。)


質問2.WTO加盟と保税区の関係について
 WTO加盟後3年以内に貿易権が付与されると聞いております。保税区に登記された貿易現地法人はこの対象になりますか。

回答2.
 ご質問は、保税区貿易会社への「国内との貿易権」ということでしょうか。としますと、保税区はWTOルールでも海外扱いということですし、中国政府の約束は「外国との貿易権」を付与するということですから、対象にならないと思います。
先日、外経貿部外資司の幹部に会った際、今後の保税区貿易会社の経営権について考えを聞いてみました。
 先方のコメントは、以下のとおりです。
保税区は関税上海外扱いであり、したがって保税区貿易会社に対して保税区外で貿易を行うこと(保税区外で輸出入者になること及び直接仕入・販売を行うこと)を許可する考えはない。
WTO加盟で約束した貿易権(中国語は「輸出入経営権」)とは、非保税区と外国との輸出入を行うという意味で、今後、保税区外の企業を対象に段階的に付与していくものである。現在、各地の保税区におよそ3万の貿易企業があるが、これらに保税区外での貿易を認めたら大変な混乱が起きる。

 保税区以外で輸出入、仕入・販売を行うとなると、残念ながら保税区貿易企業では無理のようです。今後、WTOで約束した貿易権と流通制限緩和の内容にもとづいて新しい法規が制定されるはずですが、当面、その条件を見て判断することになるでしょうか。


質問3.保税区における通貨決済について
 上海外高橋保税区の外商投資貿易公司が、交易市場を利用して、中国国内の企業(外資、中国の内資企業)より商品を購入する場合の決済通貨についてご質問させていただきます。
 「保税区外貨管理問題に関する通知」(1998年9月1日外貨管理局発1998 8号)の一に、「貿易取引下で保税区に輸出入する免税・保税貨物は外貨建てで決済しなければならない。保税区に出入りするその他の物品は、外貨建てで決済してもよいし、人民元建てで決済してもよい」とあります。国内企業から購入した商品を保税区内の貿易公司が海外へ輸出する場合には、免税・保税貨物として外貨建て決済しなければならないが、購入した商品を保税区内の貿易公司が中国国内の別公司(外資、内資)に販売する場合には、人民元決済も認められると理解してよいのでしょうか? 保税区内の貿易公司が保税区外の外資企業や内資企業と取引をする場合の、決済ルールについてご教示願えませんでしょうか?

回答3.
 保税区内企業と保税区外企業と取引する場合の決済ルールについてご説明します。基本的には、保税貨物でなければ、外貨・人民元決済両方が可能です。ただし、保税区外企業が貿易権を持たない場合は、直接外貨での決済ができませんので、その場合は、交易市場もしくは外貿公司を通じて人民元決済を行なうということになると思います。また、保税区外企業に貿易権があっても、保税区内企業と直接人民元決済することはできず、その場合は、交易市場、外貿公司を通じた取引ということになります


質問4.輸出加工区における中継貿易について
 輸出加工区に認められない業務として、「中継貿易」がありますが、その意味はどのように理解すればよろしいでしょうか?輸出加工区(上海松江を想定)にある製造企業が材料を日本から輸入し、完成品(半完成品)を外国に輸出する場合、外高橋保税区にある商社現法を経由して輸出したいのですが、そのスキームがNGという理解でしょうか?つまり輸出加工区から輸出する場合のシッパーは該製造企業でなければいけないのでしょうか?

回答4.
 ご質問の「中継貿易」を認めないというのは、輸出加工区に関する基本法規である税関総署の「輸出加工区監督管理暫定弁法」(2000年5月24日発布・施行)に規定されていますね。この規定には同時に、区内には輸出加工企業とそれにサービスを提供する倉庫・輸送企業しか認めないとあります。ここで言う「中継貿易」とは、外国から輸入したものを別の外国へ輸出するという貿易業務で、保税区を経由して輸出するという意味ではないでしょう。
 そこで、輸出加工区で加工した製品を保税区の貿易会社経由で輸出(あるいは内販)ができるか、ということですが、直接当局に確認したわけではありませんが、ある会員企業が聞いたところ、可能という説明を受けたということです。
 これにより、輸出加工区の企業にとっては、直接内販するよりも関税・増値税が安くなり(輸出加工区から内販する場合は製品価格に課税、保税区からの場合は保税区の優遇措置で仕入部材価格に課税)、しかも手続きが簡便、というメリットがあるそうです。
 当方からも関係当局に確認中ですので、新しい情報があればまたコメントさせていただきます。


質問5.保税区外における保税倉庫設立について
 当方の客先が大連工業開発区に工場を持っています(保税区ではありません)。 その客先が自社工場敷地内に保税倉庫を設立したい(或いは倉庫に搬入した部品材料を保税扱い-保税貨物-としたい)との要望があったのですが、保税区以外での自社工場敷地内に保税倉庫の設立は許可されるものなのでしょうか?また許可される場合、どういった手続きが必要でしょうか。

回答5.
 保税区以外の自社工場敷地内に保税工場を設立することは制度上は可能です。「加工貿易保税工場に対する税関の管理弁法」(1988年5月1日施行)は、保税工場の手続きを次の通り定めております。
輸出入業務を行なう権利を有し、法人格を有する輸出生産型企業は所轄の税関に対し保税工場の建設を申請することができる。
保税工場を建設する場合の条件として、輸出製品を専門に加工し、製造する施設を有すること。輸入貨物及び輸出製品を専門に貯蔵し、堆積する倉庫を有すること等など。
条件を備える企業は加工貿易保税工場申請書を税関に提出、申請する。
税関が実地調査をして許可をした後に加工貿易保税工場登記証書を発行。

上述の通り、保税工場は所管の税関の許可を得れば設立が可能ですが、ここ数年は新たな保税工場を許可していないとの情報も寄せられております。所在地の税関に詳細をご確認下さい。

以上