投資機構会員ネット・法律税務相談室より(第42回)

 会員ネット内の法律・税務相談室より、皆様のお役にたつと思われる事項を抜粋して紹介させて頂きます。
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質問1.投資性公司からの出資
 傘型会社(投資性公司)から傘下企業の出資(送金)は資本金口座もしくは外債口座からしかできないと聞きました。傘下企業からの配当(人民元口座)や親会社からの役務提供料(一般外貨口座)等の利益(内部留保)で傘下企業へ出資するにはどのような手順を踏んだら良いのでしょうかご教授ください。

回答1.
 1.投資性公司の「配当金口座」について
 以前、投資性公司の配当金については「配当金口座」を開設し、そこに入金することが義務付けられておりました。
 この規定は二年前に廃止されておりますので、貴社の投資性公司が「配当金口座」を持っているか否かで場合が異なります。
 もし「配当金口座」をお持ちであれば、そこからの出資は資本金口座からの出資と全く同じステップで行うことができます。
 もし「配当金口座」の無い(つまり比較的新しく設立された)投資性公司の場合、子会社の配当、内部留保は全て一旦、決済口座に入ります(人民元の場合は基本口座、又は一般口座)。
 この状態で再投資を行う場合、まず、親の投資性公司が増資の申請を行う必要があります(この手続きは「配当金口座」があっても同じですが)。増資が認可された後、外為管理局に申請し、核准件を取得した後、決済口座(又は人民元口座)から「資本金口座」に資金の移動を行い、そこから更に出資手続きを行う、という流れとなります。

2.出資に必要な資料は以下の通りです。
 @申請書(会社概要、投資計画、今後の出資金額、仕向け銀行、被仕向け銀行、それぞれの口座番号)
 A投資性会社の外貨登記証
 B被投資子会社の営業ライセンス、批復、批准証書、外貨登記証、験資報告書(ある場合)
 C出資の時期、金額、それぞれの核准件
 D投資性公司の出資口座の残高照明
 Eその他状況説明資料
 すべて原本と公司印付きコピーが必要
 なお、人民元の外貨両替も核准件を取得して行うことができます。
 以上ですが、詳細手続きにつきましては若干、変更もありえますので、お取引銀行にご相談されることをお薦めいたします。


質問2現地法人の駐在員事務所
 弊社が03年に保税区に設立した独資の貿易会社が北京に駐在員事務所を設立した場合、当該「駐在員事務所」は対外服務公司など派遣会社経由ではなく従業員を直接雇用する事は可能でしょうか?

回答2.
 外商投資企業の「事務機構」(『企業法人登記管理条例施行細則』における表現)で、従業員を雇用する場合は、外国企業服務公司(FESCO)などの渉外サービス単位に委託せずに、直接雇用することは可能だと考えます。
 中国人スタッフを雇用する場合に直接雇用を認めず外国企業服務公司(FESCO)などの渉外サービス単位に委託することを要求されているのは、外国企業の「駐在員事務所」で(『外国企業常駐代表機構の管理に関する暫定規定』(1980年10月30日施行)第11条)で、外商投資企業の「事務機構」について同様に要求している規定はないと考えます。
 ご存知の通り、『外資企業法実施細則』第64条では、外資企業が中国国内で従業員を雇用する場合、両者が労働契約を締結することを要求しており、これは直接雇用することを要求していることになります。事務機構は外商投資企業に従属する部門なので、事務機構の従業員を採用する場合は、上記のような渉外サービス単位に委託せずに直接雇用することは可能だと考えます。


質問3.金型の貸与
 1.弊社タイ子会社より中国ローカル企業へ金型を貸与し、製品の組立を検討しております。金型は現状タイで使用しているものであり、中古設備となります。また製品はタイを含む海外への輸出を行います。この場合に必要な手続きと課題についてお教え願います。
2.中国ローカルメーカーへの金型の貸与(リース)と売却とで、輸入にかかる日数の違いはありますでしょうか?

回答3.

1.お問合せについて、注意すべき点は、輸入金型に対する関税および輸入増値税の賦課の如何、および中古機電の輸入と同じ検査手続きを踏む必要があるか否かだと考えます。
 まず、輸入金型に対して関税および輸入増値税賦課は原則賦課されると考えます。
その根拠として、輸入設備の免税について基本的な条件を既定した『輸入設備税収政策調整に関する通知』(国務院 国発[1997]37号)が挙げられ、そこでは輸入段階で関税および輸入増値税の免税適用を受ける設備の範囲を規定しています。
 この37号通知では「設備と共に輸入する技術および部品、予備部品も関税と輸入段階での増値税の徴収を免除する」と定めるに留めていますが、この37号通知の徹底を呼びかけた緊急通知(「国務院の『輸入設備税収政策調整に関する通知』の貫徹に関する緊急通知」(税関総署 署税[1997]1062号))では、更に踏み込んで「建築材料、生産性原材料、消耗性物品、国が規則通りに徴税することを規定する20種類の製品など、および単独で輸入するセット部品、予備部品は、規則通りに関税と輸入段階での増値税を徴収しなければならない」と規定しており、金型についてはこの「消耗性物品」に該当するとの解釈に基づき、原則関税および輸入増値税の適用を受けると理解してよいと考えます。
 また、上記37号通知の内容を補足するものとして、『減免税政策執行中の若干問題を明確にすることに関する通知』(税関総署 署税発[2003]172号)が公布されています。
 この172号通知によれば、金型のうち列挙されたHSコードに該当するものが単独で輸入される場合、これらに対して関税および輸入増値税が賦課されます。例えば、HSコード8480のモールド金型について、これを単独で輸入する場合、設備と見なさない旨定め、課税することになっています。
 また、この172号通知によれば、HSコード8207に属する金型(プレス金型など)は、『外商投資プロジェクトで免税を付与しない輸入商品目録』に属しているため、単独輸入か、または設備と同時輸入かに拘わらず徴税されると考えます。
 ご質問から察するに、単独で金型を中国に輸入するケースのようですので、本件では、輸入する金型の評価額に基づき、関税および輸入増値税が賦課されるのではなかろうかと考えます。
 さて、次に、中古金型の輸入について、それを禁止している規定はありません。また、中古金型の輸入に際して、中古機電設備の輸入と同様の各種審査手続を踏むべきか否かについても明確な規定がありません。
 実務としては『輸入中古機電製品検査監督手続規定』(国家質量監督検験検疫総局第53号)に従い、中古の機電製品を輸入する際に必要な検査を受ける前提で、予め地方の直属検験検疫当局に届け出ているケースが大半のようです。
 最終的に中古機電設備の輸入と同じ検査を受ける必要があるか否かは、地方の検験検疫当局の判断によるようです。
 なお、中古機電の輸入に関わる検査手続きの詳細は、投資機構ニュース112号「中古機電製品輸入手続調査レポート」をご参照ください。

2.通関の手続きは売買と貸与との間では差がないので輸入に関わる日数は変らないと考えます。


質問4土壌汚染に関する基準について
 現在華南地区への進出を検討しておりますが、土壌汚染についてお尋ね致します。
 三廃(廃気,廃水,廃棄物)については基準がはっきりしており、F/S等でも細かく報告することが求められておりますが、私の調べた範囲では土壌汚染について不明瞭です。
 土壌について書かれている基準としては「工業企業土壌環境質のリスク評価基準HJ/T25-1999」というものがあるのですがあくまで評価基準であり、日本の土壌汚染対策法に相当するものが見つかりません。
 現在は問題なくとも返還時に問題となる可能性は充分にあり、土地使用権購入にあたり、誘致会社で遵守すべき必須項目としたいと考えているのですが、日本の基準で遵守しろと言うのも通りません。


回答4.

 土壌汚染防止に関するご質問は当方も初めてでしたので、少し時間をかけて法律等の確認・メーカーの担当者や専門家へのヒアリングを行いました。
 以下、既知の内容を含みますので、少々迂遠かもしれませんが、順番に書き連ねます。

<土壌汚染防止に関する法律>
 結論としては、工場の土壌汚染防止を直接に対象とする法律はありません。
1.土壌汚染について「環境保護法」(1989年12月26日公布・施行)20条で触れておりますが、あくまでも農地の土壌汚染防止のみです。
2.土壌に関連する法律として「水土保持法」(1991年6月29日公布・施行)があります。自然災害の予防、生態環境の改善を図るために、水土流失の予防、管理をするのが目的です。企業活動に関するものでは、18条で「鉱山、電力、その他大中企業は、建設に伴って排出された土砂を定められた場所に運び、河川、湖沼、ダムに捨ててはならない。建設により植生を破壊した場合、表土と植生を原状回復し、水土流出を防止しなければならない」としていますが、土壌汚染については触れていません。
3.次に土壌環境保護に関する基準はいくつかありますが、ほとんどは分析方法の基準です。分析方法以外で土壌汚染に関係のありそうな基準は、以下の2つ。
 1)「土壌環境品質基準(GB1516-1995)」(1995年12月6日実施)は農地、自然保護区だけを対象にしています。
 2)「工業企業土壌環境品質リスク評価基準(HJ/T25-1999)」(1999年8月1日実施)は製造業の企業活動、企業付近の住民、企業敷地内の土壌と地下水の保護を目的に、企業活動による土壌汚染の危害リスクを評価するための基準です。リスク評価方法と基準値を定めており、「直接接触」と「地下水移行」の2つの基準があります。
  @「直接接触」は、製造業の企業活動で、不注意に土壌を吸収あるいは土壌が皮膚に接触した従業員を保護するのが目的。企業敷地内の地下水を現在又は将来も飲用水源としない場合に適用。
  A「地下水移行」は、化学物質の地下浸透による企業敷地内の地下水への危害防止が目的。企業敷地内の地下水を現在又は将来飲用水源とする場合に適用。
 ちなみに、独自に土壌汚染防止に関する法規をもつ地方政府や開発区は、私が検索した範囲でも、これまで中国各地で数多くの工場立地候補地の調査に関わってきたあるメーカー担当者の話でも皆無でした。

<土壌汚染防治法(仮)について>
 2003年3月に全人代の環境資源委員会が土壌汚染防止法の立法促進を提起し、2004年12月には全人代常務委員会第13回会議で「農業生態保護法の議案」が提出され、その一環として「土壌汚染を防ぐことは、農業生態保護にとって重要であり、関係部門は土壌汚染防止法を立法するための調査研究を強化せねばならない」との提案がなされました。
 これを受けて立法に向けた動きは加速しており、間もなく土壌汚染の全国調査が実施されるとの予測があります。この背景には最近頻発する環境汚染に絡む農民闘争が世界中に報道されていること、実際の被害が深刻な状況を示していることから、中央政府もこれを放置するわけにいかなくなったことが挙げられます。
 但し、土壌汚染防止・処理といった場合に、これを管理する政府部門は農業部・国家環境保護局・国土資源部・地質鉱山関係部門など多岐に渡るが、どの部門も一部分を管理するのみであり、土壌汚染防止法が立法化し制定されるまでには3〜5年の時間を要するのでは、と専門家は見ているようです。
 現時点では農業保護を主目的としていますが、立法化に向けて米国・日本をはじめ先進各国の法令研究を行っており、成文化される段階では、先進国同様、土壌汚染が深刻な場合は工業用地の土地所有者や使用者(汚染者)に復元命令が出されることは十分にあり得ると考えるべき、との意見が専門家から頂きました。

以上