会員ネット内の法律・税務相談室より、皆様のお役にたつと思われる事項を抜粋して紹介させて頂きます。
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質問1.兼務者の給与処理
日本人出向者が中国において複数の会社の職務を兼任する場合、その出向者の給与負担は職務の比率に応じて厳密に分散させなければならないのでしょうか。
本ケースとしては、
(1).兼務する複数会社の中で最も労働時間の比率の高い会社に給与負担を行う。
(2).その他の会社は給与を支給しない。
(3).兼務の比率は固定化しておらず常に変動する。
(4).兼務する会社の中には「常駐代表機構」の代表は含まれていない。
という状況を想定しています。
個人所得税の納税上は所得が集中する会社で行えば問題ないかと存じますが、企業所得税上は合理的に人件費を分配することが求められるのではないかと心配しております。現実には多く企業で、兼務の実態があると思いますが、税務を強く意識し過ぎると硬直的な組織運営になってしまうことも心配しております。
回答1.
ご質問の件ですが、結論から申し上げますと、兼務の勤務実態に応じて、それぞれ人件費を負担する方式が望ましいと考えます。
理由としては、企業所得税の観点から、一方の会社で過大な給与負担を行った場合、後日税務調査を受けた際に、その損金算入部分について否認される恐れがあるためです。
しかしながら、おっしゃる通り、あまりにも税務を意識しすぎると、実務的に不便が生じるかと思います。給与負担については、基本的には当事者間の決め事ですので、給与負担割合をどうするかをぞれぞれの企業の董事会で明確に決議し、議事録に残しておけば足ります(実際そのように行われているようです)。
一方で、税務上の問題を回避する為に、管轄するそれぞれの税務局に給与負担部分について事前に相談の上、了解を得ることをお勧めいたします。
個人所得税の点では、中国国内で2ヵ所以上から所得がある場合、1ヵ所の地域を選択し、申告納税する必要があります(『個人所得税法実施条例(1994年1月28日・国務院令142号)第35条』)。その後、支払を行った会社に対して、給与負担分を別の会社が支払い調整しますが、管轄する税務局を跨る場合は、企業所得税と同様に事前にそれぞれの税務局で相談されることをお勧めします。
質問2.流通分野の規制緩和について
WTO加盟に伴い、外資の流通分野参入の規制緩和を中国政府は公約しています。04年12月中旬に外国企業が設立した持ち株会社(投資性公司)に貿易と国内販売が全面開放されるという記事を目にしておりますが、実際に具体的な事例があるのか、ご存知でしたら教えてください。現在の上海駐在員事務所を営業所へ転換し、国内販売を本格的に検討しています。
回答2.
ご質問にある「04年12月中旬に外国企業が設立した持ち株会社(投資性公司)に貿易と国内販売が全面開放される」とは、投資性公司のうち一定条件を満たすものを「地域本部」として認定し、親会社および兄弟会社の製品の輸入およびその国内販売を経営範囲のなかに含めることを認めることを指しているかと考えます。
「地域本部」の規定については、当機構のライブラリーに保管されている『外国企業の投資による投資性公司の設立に関する規定』(商務部令2004年第22号
2004年11月17日公布 12月16日施行)をご参照ください。
質問3.配当に対する源泉徴収
香港所在(日本からの出資100%)の企業が中国国内の企業より配当を受ける場合、源泉徴収はどのようになりますか。
回答3.
外国企業が中国の子会社から受ける配当について、『外国投資企業・外国企業所得税法』第19条3項(1)において、企業所得税を免税とする旨規定しております。よって、香港企業であっても、中国子会社からの配当については中国で源泉徴収は行なわれません。
但し、日本企業と香港企業とでは、外国税額控除の取扱いが異なります。日本企業の場合、『日中租税条約』にて配当に対する限度税率を10%とし、二重課税の排除の観点から中国側で納付した税額について日本側で控除することができます。(第23条2項(a))具体的には、中国側の課税について、合弁企業が支払う配当については10%、その他(独資企業など)が支払う配当については20%の「見なし税率」が適用されます。上述の通り、中国子会社から日本企業に支払う配当については中国において企業所得税が免税となりますが、例えば独資企業であればあたかも中国で20%源泉徴収されたものと見なされ、日本側で20%分の外国税額控除を行なうことが可能です。
一方香港企業の場合、中国と香港の間にも租税条約はあるものの、外国税額控除の規定はありませんので、香港側でみなし控除されることはありません。
質問4.親会社支給の物品の回収
中国子会社が生産開始にあたり、生産に必要な消耗品、消耗器材品の調達が中国で調達できないため、親会社が品物を購入してEMSで子会社に送り、子会社は輸入関税を支払って使用しています。
親会社が子会社のために物品を支給すれば、寄付行為にあたると思われます。技術供与契約を締結していますが、物品の支給に関する記載もありません。どのようにすれば、子会社から支給した物品の代金を回収できるのでしょうか。
回答4.
お話を伺う限り、子会社が輸入関税を支払っていることから、正規の通関手続を踏まれている前提でコメントさせていただきます。
輸入代金の対外決済は『外貨の買取、売渡、対外支払管理規定』(中国人民銀行公布、1996年7月1日施行)に基づき、経常収支項目の対外支払として、特殊取引を除き、銀行限りの確認で取り扱うことが可能であり、対外支払を規制されるものではありません。なお、送金方式における輸入決済の主な確認資料としては、輸入契約、インボイス、輸入貨物通関申告書(報関単)などがあげられます。
ご質問にある親会社からの寄付行為を回避し、経常的な商取引として決済を行うためには、通関時のインボイスと親会社の請求書に整合性が求められることは当然ですが、技術供与契約において物品支給に関する条項を盛り込まなくとも、消耗品、消耗器材品を仕入の都度、個別に輸入契約を結ぶことで対処可能かと考えます。
ここで、物品の購入日を輸入契約がカバーしているかということが問題になってくるかと思われますが、実際の対応としては、カバーされていない場合、購入時に遡って契約を結ぶことで親会社との対外決済を行っている事例もあるようです。ただし、上述の通り、輸入代金の対外決済は外為取扱銀行の確認事項となっていますので、実務上、対応可能か否かについては、取引銀行に相談されることをお勧めします。
EMSにより送られた物品の通関手続きについては、『中華人民共和国海関対進出境快件監管弁法』(2004年1月1日施行)に出ています。一応URLを貼り付けしておきますが、ヤフーチャイナでも簡単に検索できます。
http://www.chinacourt.org/flwk/show1.php?file_id=89841
質問5.合弁会社総経理変更手続き
当社は日中合弁企業です。
この度、総経理が交替したため、当地の工商行政管理局に変更手続きをしようとしたところ、「法定代表人や董事を変更する場合は必要であるが、総経理は必要ではない」との指摘を受けました。当地の工商局は頼りないので、上記工商局の発言を裏付ける法根拠をご教示頂ければ幸甚です。
回答5.
ご存知の通り、董事会構成員に変更が生じたときには、原登記主管機関に対し報告し記録に留める必要があります。
一方、総経理の変更についても、『会社登記管理条例』第33条において「会社董事、監事、マネージャー(中文は「経理」)に変動があるときは、元の会社登記機関に届けなければならない」との規定がありますので、総経理交替の際は変更登記の必要があると考えます。お問合せのケースは地域差によるものではなかろうかと推察します。
以上
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