投資機構会員ネット・法律税務相談室より(第37回)

 会員ネット内の法律・税務相談室より、皆様のお役にたつと思われる事項を抜粋して紹介させて頂きます。
 なお、当機構会員の方でまだ会員ネットにご登録されていないかたがいらっしゃいましたら(ご登録は無料です)、ぜひともご登録いただき、どんどんご質問をお寄せ下さいますようお願い致します。
トップページからユーザー登録を行った上でログインしてください。
※通知した企業別ID、パスワードではログインできません。

質問1.休眠会社
 中国で作った合弁会社の営業を中止し、合弁期間が終わるまで休眠化、その後清算するようなことは許されるでしょうか?
また、そのような実例はあるでしょうか?

回答1.
 中国で設立された合弁企業は、『企業法人登記管理条例』(国務院1988年5月13日制定、1988年6月3日公布、1988年7月1日施行)に基づき、企業法人登記を行います。この『企業法人登記管理条例』第22条に、「営業活動を満1年以上停止しているときは、営業停止とみなし、登記主管機関は、〔企業法人営業許可証〕及び〔企業法人営業許可証〕副本を回収し、公式印を引取り、かつ抹消登記の状況をその企業法人の口座開設銀行に通知する。」という規定がございます。
また、『企業年度検査弁法』(1996年12月13日国家工商行政管理局令第61号により発布、1997年1月1日施行)に基づき年度検査を受けなければなりませんが、主要検査内容の一部として、第11条(9)「企業が承認された経営範囲に従い経営活動に従事しているか否か。」及び第11条(13)「企業が成立した後に6ヶ月を超えて開業しておらず、又は自ら連続6ヶ月以上営業を停止しているか否か。」という規定がございます。
 これらの規定に基づき、年度検査のタイミングで連続6ヶ月以上営業を停止していた場合は年検を通過されないこともあり、その場合は営業許可証が取り消されます。また、営業活動を少なくとも満1年以上停止しているときは営業停止とみなされ、営業許可証の回収と登記の取り消しが行われます。
 上記の法規の構造から、休眠化を認める法的基盤はないとは言えるのですが、実際のところは企業年度検査が徹底して行われていない等の理由から、事実上休眠化している外商投資企業が存在している実例はあるようです。


質問2外貨指定銀行の外貨担保問題に関する通知について
  日本の親会社の保証(外貨ベース)を担保とした中国現地の銀行からの人民元借入については外債登記が必要ということですが、日本国内邦人銀行(日本の親会社の取引先銀行)が、東京にある中国の銀行支店あて差し入れた銀行保証(外貨ベース)を担保とした当該中国の銀行の中国内支店からの人民元借入れについても外債登記は必要でしょうか(スキームとしては、日本国内邦人銀行からのスタンドバイLCに基づき、中国の銀行の東京支店が、その中国の銀行の中国国内支店あてにスタンドバイLCを発行する)。

回答2.
 お問い合わせの件ですが、関連規定として『2005年国内外銀行短期外債指標の認定に関する通知』(国家外為管理局 匯発[2005]4号 2005年1月26日発布 2005年4月1日施行)、『国家外為管理局上海分局文書 外国為替指定銀行の外貨担保問題に関する通知』(上海匯発[2005]31号 2005年2月18日発布 2005年4月1日施行)及びその補充通知である『国家外為管理局上海市分局文件 外貨担保人民元借入に関する問題についての補充通知』 上海匯発[2005]75号 2005年4月15日公布 2005年4月1日遡及施行)があります。
中国の銀行の東京支店が、その中国の銀行の中国国内支店あてにスタンドバイLCを発行する場合、「中国の銀行の東京支店」は日本で登記している機構であることから、すなわち「国外機構」と考えることができると思います。
上記関連規定において、(1)外為指定銀行は外資銀行のみに限らず、中国資本銀行銀行も含まれること、(2)中国の銀行の東京支店は国外機関と解釈されることから、「偶発債務登記」が必要であると考えられます。


質問3メンテナンスサービス委託
 日本にて製造輸出された、中国国内に設置されている機械に対しての、 中国企業(機械製造会社)とのメンテナンス委託契約は可能でしょうか。その際補修部品を日本より部品輸出販売した場合輸出入公司を介しての取引であればよいのでしょうか。内資製造会社は貿易権・卸売り販売権は現状取得できないと認識しておりますがいかがでしょうか?

回答3.

中国企業とのメンテナンス委託契約の締結は可能だと考えます。ご懸念の一つとして、メンテナンスを行う場合補修用の部品を日本から輸入する必要があり、メンテナンスを実行する中国の製造企業が自営用の原材料や部品以外のアイテムについて輸入権限をもっていないため、そのような中国企業と補給部品の輸入を前提としたメンテナンス委託契約を締結することは無効ではないかとの疑問が挙げられると考えます。
メンテナンス委託契約において、実際のメンテナンスにあたり当該中国企業が御社指定の部品(=純正部品?)を使用することを義務付け、御社指定の部品の調達については、御社指定部品の調達を前提に当該中国企業に任せれば契約上は問題ないと考えます。
 実務上は、上記メンテナンス委託契約の締結に加えて、ご質問にあるように輸出入公司を会しての取引を確立すれば対応可能と考えます。しかしながら、御社指定の部品を輸出入公司が当該中国企業以外の第三者に横流ししないよう日本側×輸出入公司との売買契約において使用目的を当該中国企業への販売に限定するなどの必要があると考えます。


質問4外資サービス業
 外食産業、エステサロンなどのサービス業についてご教示ください。これらの業種が認められている根拠法をご教示ください。

回答4.

 お問い合わせの「エステサロン」について、散髪、シャンプー、パーマ、染髪、化粧、スキンケアなど一連のサービスを行う美容理容企業に対する関連規定として『美容理容業管理暫定弁法』(商務部令2004年第19号 2004年11月8日公布 2005年1月1日施行「以下同規定」)、『美容理容業管理暫定弁法徹底実施に関する通知』(商務部弁公庁 商改字2005年第6号 2005年3月19日公布 同日施行)があります。
 同規定第4条では、経営者に対し @民事責任能力を有すること A固定的な経営場所を有すること B提供サービスに関する設備を有すること C専門資格を有する従業員を雇うことの基本条件を課しています。
 また、同規定第5条では「美容理容業で、整形手術など医療業務を行う場合は衛生局管理部門の関連規定に従わなければならない。」旨規定しています。
 これを踏まえ、当機構の北京事務所から、北京市投資促進局、北京市工商行政管理局及び北京市衛生局に対し北京市における「エステサロン」設立に関し注意点等問い合わせをしましたので、以下ご参考ください。
・企業形態
経営範囲に整形手術などの医療業務を行う場合・・・中外合弁のみ可能
スキンケアなど単純な美容理容業の場合・・・外商独資可能
・投資総額、資本金
地域により違いあり、F/Sに記載した規模により判断する
(例:北京市海淀区の場合、最低登録資本金は10万米ドル、投資総額の制限なし)
・衛生許可証
経営範囲に整形手術などの医療業務を行う場合・・・必要
スキンケアなど単純な美容理容業の場合・・・必要なし
なお、外食産業については、関連質問がございますのでスレッドNo.2569をご参照ください。


質問5固定資産の償却年数について
 基本的な質問ですが固定資産の償却年数の法的根拠についてお教えください。中国企業会計制度には詳細規定がないのですが、「外国企業及び外商投資企業所得税法実施細則」91年国務院令第85号の第35条にその記載がされています。
私が知りたいのはこの償却年数や残存価値の取り決めの法的根拠が依然として前述の細則でよいのかどうかです。91年からその後なにか変更規定や通知の類がでていないでしょうか。

回答5.

 償却年数については、税法上と会計法上とで若干取扱が異なります。
税法上では、ご指摘の通り『外国企業及び外商投資企業所得税実施細則』において、固定資産の減価償却は定額法が原則(同法第34条)であり、残存価格(同法第33条)および償却耐用年数(同法第35条)を規定しています。現在でもこれらの規定が根拠になっていると考えます。
一方、会計上では、企業の具体的状況に鑑みて当該企業に適合した固定資産の減価償却年数、減価償却方法を制定することができます(『企業会計制度』第26条)。
 因みに実務上、会計における減価償却の取扱を税務上の基準に合わせて処理していく方が効率的であるため、統一して運用されている企業が多いと伺います。


質問6中国駐在社員の健康保険について
 海外企業が中国で現地法人を設立する際、会社が駐在している日本の社員に対して日本で健康保険を加入していることを前提に、中国の健康保険制度に加入させる義務はあるでしょうか?
中国にて健康保険に加入しない場合、日本の健康保険制度の中に海外療養費という項目があり、海外でも日本と同じ料率が適用できる(中国での病気・けが等も網羅)ようですが、現地法人であった場合、中国の健康保険に関しての法令はありますか?

回答6.

中国における健康保険の加入についてのご質問ですが、『社会保険料徴収納付暫定規定』(国務院令259号 1999年1月22日施行 以下『暫定規定』)において、基本養老保険料、基本医療保険料、失業保険料の徴収・納付について規定されております。『暫定規定』第3条2項において、基本医療保険料の徴収・納付範囲として、外商投資企業及びその従業員が含まれております。また公布日が前後しますが、基本医療保険については、『都市部従業員基本医療保険制度確立についての決定』(国務院令第44号 1998年12月14日施行 以下『決定』)において規定されており、第2条において、外商投資企業及びその従業員が対象範囲となっております。
 では、この「従業員」が外国籍の人間も該当するかについてですが、都市部の基本医療保険関連通達を見てみると、あくまでも中国人が対象であり外国籍(及び香港・マカオ・台湾)の人間は対象外となっております(『上海市城鎮職工基本医療保険弁法実施細則』、『北京市労働和社会保障局関于貫徹実施《北京市基本医療保険規定》有関問題的処理弁法』、『広州市城鎮職工基本医療保険試行弁法』など)。よって、現地法人の日本人社員が中国の医療保険に加入する義務はありません。
 実際は、仰るように、中国赴任前に日本で海外旅行傷害保険に加入するのが一般的のようです。
 以下、参考までに『決定』に規定されている基本医療保険の概要について説明します。(外商投資企業でも中国人従業員に対して適用されます。)
 基本医療保険料は事業単位と従業員が共同で納付し、事業単位の納付率は従業員の総給与額の6%前後でコントロールされ、従業員の納付率は一般に本人の給与収入の2%としております。(但し経済発展につれて、事業単位と従業員の納付率は調整すべきものとする。『決定』第2条)また、基本医療保険基金は統一基金と個人口座で構成されます。従業員の納める基本医療保険料は全て個人口座に計上し、事業単位が納める基本医療保険料については、一部は個人口座に繰入れられ、一部は統一基金に用いられます。個人口座に繰入れられる額の比率は一般に事業単位が納める額の30%前後で、具体的な比率は基本医療保険料を統括する地区の個人口座の支払範囲や従業員の年齢などの要因によって確定します。(『決定』第3条)
 一方給付についてですが、統一基金と個人口座は各自の給付範囲を確定しなければならず、区別して概算し、相互に流用してはなりません。統一基金の給付標準と最高給付限度額を確定しなければならず、給付標準は原則当地従業員の平均年収の10%前後で、最高給付限度は原則当地従業員の平均年収の4倍前後でそれぞれコントロールされます。給付標準以下の医療費用については、個人口座から支払いまたは個人負担をします。最高給付限度額以下の医療費用については、主要部分は統一基金から支払われますが、個人も一定比率で負担をしなければなりません。最高給付限度を超える医療費用については、商業医療保険等を通じて解決することになります。(統一基金の具体的な給付標準、最高支給限度額及び給付標準、最高給付限度額以下の医療費用における個人の負担率については、統括地区の収支バランスによって確定する。『決定』第3条)
 以上概要について説明しましたが、各地で基本医療保険の通達が出ておりますので進出地における通達の確認が必要です。最後に保険関連については、スレッドNo.2487、2597でも触れておりますのでこちらもご参照ください。


以上