投資機構会員ネット・法律税務相談室より(第33回)

 会員ネット内の法律・税務相談室より、皆様のお役にたつと思われる事項を抜粋して紹介させて頂きます。
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質問1.董事長と副董事長
 中外合弁企業設立に際し、董事長は日本側が派遣します。合弁関連法規によれば、董事長を外国側が派遣したときは、副董事長は中国側が派遣する、という規定があります。
中国側比率が例えば20%以下のマイナー出資で、かつ中国側が同意すれば、副董事長を中国側から派遣しない、もしくは空席にすることは可能でしょうか。

回答1.
 『中外合弁企業法』第6条で「中国側又は外国側の合弁当事者の一方が董事長を務める場合、他方が副董事長を務める」と規定しております。本規定を厳格に捉えるならば、董事長を日本側から派遣するのであれば、副董事長は中国側から派遣しなければなりません。
 そもそも中外合弁企業設立にあたり、中国側の出資比率の下限は特に規定はありませんが、20%を下回るようなマイナー出資についてよほどの理由がない限り商務部門が認可することはないかと考えます。
 いずれにせよ、最終的な認可権者は商務部門ですので、商務部門へのご確認をお勧めします。


質問2駐在員と現地法人副総経理の兼任
 弊社の駐在員事務所(代表事務所)は中国国内に3箇所あります。日本から派遣の駐在員は各駐在員事務所のビザを取得しており、給与は駐在員事務所が支払っています。また、弊社は上海の外高橋にも販売会社があります。
 今般、駐在員事務所所属の日本人駐在員3名に販売会社の副総経理も兼任させたいと考えています。これについて中国の法律上何か問題が発生しますか。例えばビザ、給与(販売会社の副総経理としては無給)などです。因みに給与は駐在員事務所のみが支払い、販売会社は給与支払いありません。

回答2.
 駐在員事務所代表と現地法人の副総経理を兼任することを禁止した中国の規定を見つけることはできませんでした。
 一般的に、税務上の問題として、駐在員事務所または現地法人のどちらで納税するかが問題になりますが、お問合せのケースでは、現地法人による給与負担がないので事務所での納税になります。
 現地法人からの給与負担もあるならば、役職の高低を比較して判断することになろうかと考えます。上海市の場合、現地法人と駐在員事務所との兼任の場合には駐在員事務所が優先するとのローカルルールがあるようですが、当方にて検索しましたが見つかりませんでした。
 なお、本件について、駐在員事務所の代表が、現地法人のために無給で業務をした場合、親会社から現地法人への利益供与と見なされる可能性があり、日本の税務上問題が生じるかもしれません。
 日本の税務上の問題については申し訳ありませんが御社経理担当部門と会計士に確認願います。


質問3コーポレートガバナンスについて
1.中国に外商独資企業という形態で進出する企業の経営管理機構(コーポレートガバナンス)は合弁法にて規定されているのが実態と聞いています。
   日本では平成13年に商法が改正され、商法上の大会社は「委員会等設置会社」の選択が認められるようになりましたが、このいわゆる「経営と監督の分離」という考え方を採用し、董事会の中に「報酬委員会」「指名委員会」「監査委員会」を設置するという形態をとることは法規上可能でしょうか? また可能であればそのような事例はございますでしょうか?

2.外国資本100%の独資企業に関しては外資法が適用され、公司法は適用範囲外なのでガバナンス体制は柔軟性が高いと認識しておりました。この考え方は間違っているのでしょうか?

回答3.

1.外国資本100%の独資企業は、『中華人民共和国外資企業法』及びその実施細則の適用を受けますが、当該企業内における監査監督機能の設置について、これらの法規に定めはなく、準用されうる『中華人民共和国中外合資経営企業法』及びその実施細則にも定めはないようです。
 ご指摘の「経営管理機関」はあくまでも総経理を中心とした企業の日常的経営管理を担当する機関であり、監査業務を明確な責務として含むものではないと考えます。
 しかしながら、『中華人民共和国公司法』第52条では監査役会の設置とその構成について定め、同法第54条では、@財務検査、A董事及び経理の順法状況の監督、B会社に損害を与える場合の董事及び経理に対する是正要求、C臨時株主総会召集の定義などの職権を監査役会及び監査役に与えています。
 『公司法』と『外資企業法』との法律上の上下関係があるにしても、『公司法』に定める監査役会を独資企業に設置することは、『外資企業法』と矛盾するものではなく、可能だと考えます。
 なお、当該監査役は、董事、経理及び財務役が兼任することはできないため、ご質問にある通り董事会の中に設置することはできないと考えます。

2.外国資本100%の独資企業に『外資企業法』が適用されるのはご理解の通りですが、外資企業法にて定めていない部分については会社法の適用を受けるという解釈があるようです。
 上記のコメントでは、『外資企業法』およびその実施細則にて監査役および監査役会の設置について規定していないことをもって、『公司法』の適用を受けず、さらに監査役および監査役会の設置を禁止しているとまではいえないのではないかと考え、コメントいたしました。
 実際、監査役および監査役会を設置しているところは独資企業ではほとんど見られませんが、監査役および監査役会の設置の要否は各独資企業出資者の判断によるものではないでしょうか。その点では柔軟性があるといえるかもしれません。
 そもそも、『中外合弁企業経営法』を準用して運用しているケースがある独資企業の董事会と日本の会社の取締役会との比較において、それぞれに認められている権限と機能が違うため単純な比較はできないかと考えます。
 1.で、日本の「委員会等設置会社」について言及されていましたが、この会社制度は2003年4月1日施行の商法改正により、商法上の所謂「大会社」が商法の委員会等設置会社に関する特例の適用を受けて導入する制度であり、その一般的な目的として、会社における業務の執行と監督とを明確に分離して企業統治をより強化することが挙げられ、具体的には、取締役会の中に委員会を設置し、取締役会の経営に対する監督機能を強化することであるといわれています。
 一方、中国の合弁企業または(董事会を設置している)独資企業の董事会は、主として出資者の意見を直接的に反映できる董事から構成されており、会社経営の重要事項の一切をこの董事会を通じて決定し、決定事項を執行者である総経理を中心とする経営管理機構が担っています。
 この場合、仮に董事会の内部に監査機能を持つ組織を置いたとしても、経営の決定権限および業務執行権限を有する董事会が、自らを監査することができるか疑問に感じます。
 現在の『公司法』の規定の通り、董事と監査役の兼任を回避させる方法はベストではないのですが、ある程度の妥当性はあると考えます。


質問4小規模納税人への発票発行
  小規模納税人は増値税専用発票の取得も使用もできないとされておりますが、増値税専用発票を発行する側は小規模納税人が小規模納税人であることをどのようにして認識するのでしょうか? 認識できなかった場合、増値税専用発票を発行してしまうことになるのですが、これによって事務的に煩雑になってしまうことはあるのでしょうか?

回答4.

 小規模納税人の定義は、『中華人民共和国増値税暫行条例実施細則』の第24条に定義されております。
(1) 物品生産または課税労務提供を行う納税者、および物品生産または課税労務提供を主とし、物品の卸売または小売を兼業する納税者で、年間の増値税課税売上高(以下、「課税売上高」という)が100万元以下の者
(2) 物品の卸売または小売に従事する納税者で、年間課税売上高が180万元以下の者
 但し、年間課税売上高が小規模納税者の基準を超える場合であっても、個人、非企業的組織および経常的に課税行為が発生しない企業は、小規模納税者とみなす。
となっていて、小規模納税者の定義は財政部が、判定は所在地の国家税務局が行います。
小規模納税者の特色は、@増値税の専用発票を発行できず、A仕入税額控除ができないことにあります。
 今回のご質問は、Aに関して、取引相手が小規模納税者の場合には普通発票を発行して、一般納税者の場合には専用発票を発行するということかと思いますが、取引相手が小規模納税者であろうと一般納税者であろうと専用発票を発行すればよいのではないかと思います。なぜなら、取引相手が小規模納税者の場合はその取得した専用発票で仕入税額控除ができないだけの話です。
 (小規模納税者が専用発票を取得してはならないとはどこにも書いてないと思います。)
もし、どうしても増値税専用発票を発行する側が、相手が小規模納税人であるか否かを認識したいなら、所在地の国家税務局に問い合わせる、ということになるかと思います。


質問5欧米向け繊維製品の輸出
 中国に現地法人があり、アメリカ、欧州向けに繊維製品の輸出を検討しております。この場合中国の輸出割当を持った地場貿易公司しか取り扱いが認められていないところまで確認しています。新規に輸出割当を申請する際の手続き難易度について教えてください。地場貿易公司等、枠を保有している企業から枠を買い取ることは可能でしょうか。仮に地場貿易公司を利用するとして、自社名義の輸出にする方法はありますか(仮にあるとしてその場合代金の受け取り方法はどのようになるのでしょうか)。
 実際には、WTOでの合意により2005年1月1日よりWTO加盟国における繊維規制が撤廃されますので、クォータの取得うんぬんと言う話は今後不要となります。

回答5.
 先頃、WTOが召集した貨物貿易理事会の会合の結果、来年2005年1月1日から米国・カナダならびにEUが中国から輸入する繊維製品について、予定通りクォータ制度(輸入割当)が撤廃されることが確定しております(※@「米国・カナダならびにEU」としたのは、これまで繊維、衣類製品の輸入規制を実施している国がこれらの国(連合)であったため。※A「確定」としたのは、後程解説を加える『WTO繊維協定』によって、もともと2005年までに繊維製品の輸入割当制度の廃止が予定されていたが、実際の廃止を前にWTOが召集した貨物貿易理事会で「繊維製品の制度廃止後の国内紡績業が直面する問題についての調整」について話し合われた結果、輸入割当制度の延長を求める声は出なかったということ)。よって、2005年から輸入割当が無くなりますので、問題は解消されることになります。
 本件に関連し、参考情報として、2005年1月1日から自由化されるに至った、その基となる『WTO繊維協定』(正式には、『繊維及び繊維製品(衣類を含む)に関する協定』)(以下、『ATC』という:Agreement on Textiles and Clothing)について簡単にご説明致します。
 ATCは、『世界貿易機関を設立するマラケシュ協定(WTO設立協定)』の『物品の貿易に関する多角的協定[ANNEX1A]』に含まれている協定の一つで、一言で言えば、「繊維・衣類製品の輸入規制」を実施している国を対象に、4段階による自由化撤廃スケジュールを規定しています。まず、95年1月1日に90年の輸入数量の少なくとも16%(第1段階)、98年に17%(第2段階)、2002年1月1日に18%(第3段階)、残りを2005年1月1日までに自由化(第4段階)というスケジュールで、10年間をかけて段階的にGATTの規律の下に統合し、繊維貿易の自由化を図ることを規定しています。故に、WTOルールに則り、予定通り来年1月1日からの自由化となるということです。
 ただし、手放しで喜んでよいのかといえば、そうとばかりも言えない状況があり、これからの動向ということで以下にコメントいたします。
 2004年末現在、WTOルールに則り輸入割当制度撤廃は確定しましたが、既に欧米など一部加盟国の間で、中国製品の市場占有率が世界的に急上昇することを懸念して、中国繊維製品に対する輸入急増への警戒感が広がっています。これは中国の輸出サイドでの話ではなく、米国の輸入サイドでの話ですが、繊維製品輸入数量規制(クォータ制度)の廃止により、輸入活動が自由になることを期待している米国の小売りやアパレル業者が、米国政府が現時点で急激な輸入増加の事実がないにもかかわらず、来年以降の予測に基づいて綿製のズボン、ニットのシャツ、下着類などに対するセーフガードの検討・調査に入っているなどとして、米国政府を相手取り、中国製繊維製品に対する新たな緊急輸入制限(セーフガード)の検討中止を求め、今月12月1日に米国際貿易裁判所に提訴しています。また、EUの欧州委員会報道官は12月8日、オランダのハーグで開いた中国との首脳会議で、EU側が中国に繊維製品の輸出で世界市場をかく乱しないよう、適切な対応を取るよう求めたことを明らかにしています。
 以上のように、(来年からの輸入割当制度自体の撤廃は確定しているのですが)、欧米の一部の国による新たな保護措置による繊維製品輸入制限の適用が考えられるということです。一例を挙げれば、中国のWTO加盟時の加盟文書にも盛り込まれている「中国に対する経過的措置(加盟国側の措置)」の一つである、「対中繊維セーフガード」が挙げられます。これは主に中国との間で貿易をする相手国、つまり既存の加盟国側の観点から書かれており、中国産の繊維及び繊維製品を輸入する国側が特別のセーフガード制度を作ることが規定されています。具体的には、「加盟国は、中国産繊維・繊維製品の輸入により市場が攪乱し、貿易の秩序ある発展を阻害する恐れがある場合、中国に協議を要請できる。中国は、協議を要請された場合、輸出を抑制(要請のあった月以前14ヶ月の最初の12ヶ月間の輸出量の7.5%増以内の数量)。協議要請後90日以内に合意に達しない場合、協議要請国は上記数量以下に輸入抑制可能(原則期間1年以内。2008年末までの特例)」。これは、米中合意で整った仕組みです。米国は自国の繊維産業保護の観点から、ATCが2004年末で完結した後に、中国産の繊維製品の対米輸出によって、自国の繊維産業が影響を受けることを懸念して本件を盛り込んだという経緯があります。


質問6中関村の優遇措置について
 中関村において経営範囲の認可で具体的にどのような優遇が受けられるのでしょうか。
特に、独資企業に対し、自社製品以外のメンテナンスサービスを経営範囲に含めることができるでしょうか。

回答6.
 結論としては、経営範囲において中関村固有の優遇規定はなく、自社製品以外のメンテナンスサービスを経営範囲に含めることは不可能であるものと思われます。
 「自社製品以外のメンテナンスサービス」については、一般地域の一部の企業において認可された例はありますが、これはあくまで特例であり一般的に認められているとはいいがたいものと考えます。
 保税区企業の経営範囲では、一般的に自社製品及び関連製品についてのメンテナンスサービスの業務を行うことが認められていましたが、自社製品以外のメンテナンスサービスについては原則認められていません。
 しかしながら、以前外高橋保税区連合発展有限公司へ確認した際に、実際の運用ではメンテナンスサービスの対象である「関連製品」の定義が不明であり、実務上、本当に「関連製品」に対してメンテナンスサービスを行っているか否か、確認が困難なため、他社製品のメンテナンスサービスも行われているのが現状とのコメントがありました。


質問7輸入車販売の規制緩和について
 現行法では、国産自動車(現地生産車)と輸入車は同一新車販売ディーラーにおいては販売不可とされていますが、来年関税率引下げを機に緩和される見通しはあるでしょうか。
また同様な質問ですが、北京の新車販売ディーラーは既に輸入車販売の認可を貰っているとの発言も耳にしました。これは別会社を設立をしないで同じ販売ディーラー内での国産車、輸入車販売可と言うことを意味するのでしょうか。

回答7.
 現行法規で、国産車と輸入車とを同一ディーラーで併売することを明確に禁止している規定はないと認識しております。
 但し、国産車及び輸入車の同一ディーラーにおける併売の可否について、本年6月1日に公布・施行された『自動車産業発展政策』では、その第34条において「 国内外の投資家は、自動車生産企業からの授権を得て、関係する規定に照らして必要な手続きを行った後、国内において国産車または輸入車のブランド販売およびアフターサービス活動に従事することができる 」と定めていますが、明確に禁止していると断言できる表現ではないと考えます。
 また、商務部のある筋からは「特定の自動車ブランド販売網で国産車と輸入車とを併売させるか否かは自動車メーカーが決めるべきだ」と伺っています。
しかしながら、現状は、ご指摘の通り同じディーラーで国産車と輸入車とを同時に併売していないところが多いようです。
 このような状況の背景には、国産車メーカーが国家工商行政管理局の許可に基づき展開した自らのブランドの販売網を展開する一方で、輸入車について、外国自動車メーカーが自らのブランド販売展開が可能なディストリビューターを100%独資で設立する方法がなく、輸入車の輸入貿易権を有する貿易業者が持つ販売ルートを通じて販売するしか方法がないため、結果的に同一ディーラーで併売できないという事情があるようです。
 しかしながら、最近では、一部外国自動車メーカーが認定する自動車ディーラーで、国産車と輸入車とを併売しているところも現れてきているようです。
 また、輸入車と国産車との併売の方法について、基本的に別会社の設立は不要だと考えます。上述の通り『自動車産業発展政策』においても、明確に国産車と輸入車との併売を禁止していません。
 更に、工商管理上も事業単位毎に発行される営業許可証における経営範囲の記載方法について、商用車に限られた自動車販売と乗用車を含む自動車販売とに分けられるだけで、国産車と輸入車とを区別した形での経営範囲の記載はないのでしょうか。

以上