投資機構会員ネット・法律税務相談室より(第32回)

 会員ネット内の法律・税務相談室より、皆様のお役にたつと思われる事項を抜粋して紹介させて頂きます。
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質問1.免税輸入設備の移転
【前提】
A株式会社:日本本社
B有限会社:A株式会社100%出資の生産型現法、輸入設備免税枠あり。
C有限会社:設立予定の新現法、生産型現法、輸入設備免税枠あり。
現法所在地:B有限会社は上海市、C有限会社は江蘇省。
【質問】
 B有限会社が5年経過していない過去に輸入した免税輸入設備を、設立予定のC有限会社へ移転させようと考えています。その方法として、@C有限会社へ国内転売する、A一旦親会社へ販売し中古輸入設備として再輸入する、BB有限会社は当該設備を含めて現物出資としてC有限会社へ出資する、の3つを検討中です。
 @ないしBのそれぞれの実務的に可能な否か、法的に問題ないか否か、税務上問題がないか否かの3点から簡単にコメントを頂けないでしょうか?

回答1.
 外商投資企業が設立当初に輸入した免税生産設備の売却については『外商投資企業の輸出入貨物に対する監督管理及び徴税弁法(以下「弁法」)』(税関総署 1992年9月1日施行)に規定しています。ご質問の「5年経過していない」設備は、その設備が機械であれば弁法で規定する監督管理年限内(機械は5年)となるため、弁法第17条4項に従い、監督管理解除の手続きのため、元の審査許可部門の認可を経て、その使用期間に従って計算された当該設備の減価償却評価により算出される関税増値税を納付する必要があります。この手続きはご質問の@〜Bいずれにしても必要であり、このことをクリアすれば法的には問題ないものと思われます。
それぞれの方法について、コメント致しますと、まずAについては、下記の点で実現性に乏しいものと思われます。
 a.日本への輸出及び再輸入するため、設備の運送コストがかかる。
 b.中古設備輸入に関しては検験局及び機電局における検査が必要となるため、場合によっては再度輸入できないことも想定され、また時間及び手続きに関するコストが新たに発生する可能性がある(中古設備輸入については、過去のスレッドNo.1940でも触れておりますのでご参照下さい)。
 aについては、上海周辺では先般設立された物流園区や保税倉庫の利用により日本に戻すことなく売買を行い、コスト軽減を図ることも可能ですが、その運用の実例は当機構では不知のため、実際には現地に確認する必要があります。
 次にBについては、B社がC社へ出資するとなると、国内再投資に該当するため、『外商投資企業の国内投資に関する暫定施行規定』(対外貿易経済合作部及び国家工商行政管理局 第6号 2000年7月25日公布 2000年9月1日施行)に従う必要があります。出資者の条件として、それぞれ「登録資本が既に全額払い込まれている」「利益の計上を開始している」「違法経営記録がない」他、「国内累計投資額は出資者の純資産の50%を超えてはならない」とあるため、B社が各条件に該当するか確認する必要があります。また、中西部への投資でない限り、C社が外商投資企業の優遇を享受するためには必ず外国企業から25%以上の投資がなければ、優遇は享受できないので同時に注意する必要があります。
 さらに、機械の現物出資では、外国投資家の現物出資と同様、鑑定評価が必要であろうかと思われます。この評価によって、想像より低い評価をされた場合には、不足分を追加現金出資しなければならないので注意が必要です。
 したがって、実務的には@の方法は、一般的にもよく行われているものと思われます。しかしながら、その際に発生する増値税については、当該設備はもはや輸入設備ではないと判断されるため、増値税は課税されることになると思われます。この増値税の取扱については『中古品及び中古車に対する増値税政策に関する通達』(財政部 国家税務総局[2002]29号2002年3月13日)に従い、通常の17%の増値税ではなく、一律に4%の徴収税率を半減した増値税、つまり2%の増値税となりますが、仕入税額控除はできないことになっています。
 なお、余談ですが、税関への届出なしに別の地に輸入免税設備を移転させた際に、税関からの検査において当初の輸入関税増値税の納付を要求されたと聞いたことがありますので、輸入免税設備の移転には事前に地区の税関に個別に確認されるなど細心の注意が必要です。


質問2税関区を跨る深加工結転
 投資機構ニュースNo.109の加工貿易レポートを拝読しました。非常にわかりやすく、また実例も記載してあり今まで判明していなかったことが良く理解できました。重なるかもしれませんが、以下の点ご教示ください。
1.増値税の問題について、輸出入取引と見られる場合は免税、国内取引と見られる場合は課税ということだと思いますが、これはA社(転出側)とB社(転入側)の取引においてA社が100%部材を輸入した場合について記載して頂いていると思いました。A社が国内調達で増値税を支払っている場合、深加工結転によってA社が支払った増値税を還付することはできるのでしょうか? 地域によって実情は違うと思いますが、現在深加工結転を輸出入取引として扱っている地域は、香港遊や今話題になっている外高橋保税物流園区を利用した園区遊?が不要になります。
2.貨物輸送について旧法では監管輸送とそうでない(一般)輸送の2通りがあったが、新法では統一されたとあります。新法ではすべて監管車を必要としない、一般車で輸送が可能になったと理解してよろしいでしょうか?
 新法では事前申請ではなく、実際に貨物を移動させる時には、転入企業が転入地税関に申告することが先とありますので、シールを必要とする監管車を利用するとは考えられません。
 現実の運用を見ると確かに貨物の所在地が保税地区(保税区、監管倉庫)の場合に監管車を使用しています。
 私も中国でいう保税という概念は最低二種類に分けられ、手冊を使用して通関した場合一般的に保税と言っていますが、日本で言う再輸出免税貨物、つまり再輸出免税で輸入通関した場合、保税運送(OLT)の必要がないことと同じと考えればよいと思っています。

回答2.
 1.在上海日系企業(転出企業)からヒアリングしたケースでは、転廠取引は通常増値税課税と見なされるが、上海市外の転入企業に転廠する際に税務局の許可を得て、免税取引にすることが可能のようですが、一方で免税取引にした場合、国内材料調達時にかかった仕入増値税を控除できないという運用がなされているとのことでした。この場合、当該企業では、国内調達材料と海外調達材料の比率を見て取引形態を判断しているようです。レポート地域毎に運用が違うと思われますのでご参考までに。
 尚、転廠については運用が柔軟になってきたとはいえ、HSコードの違いやその他の原因にて転廠が認められない場合があることも考えられます。そのような場合に保税を維持するために一時的な輸出入通関を行なうことからいえば、香港や物流園区の機能は今後も必要であるといえるでしょう。
2.転廠貨物の運送で監管車を利用しないことについてはレポートの通りですが、ヒアリングした印象では、保税運送に限らず、主に異地通関のような、通関地と荷上げ地・積下ろし地間の空白地帯の運送時に監管車が利用されておりました。


質問3医務室の設立について
1.中国広東省で生産型企業を立ち上げる際、従業員のために必ず医務室を設けなければならないでしょうか。具体的に何か条例があるでしょうか。
2.中国で医療センターを設立する際の手続き、必要とされる資格及び関連法令があるでしょうか。

回答3.

1.広東省独自での法令、ならびに全国的な法令としても、「生産型企業を立ち上げる際、必ず従業員のため、医務室を設けなければならない」という具体的な規定を定めている法令は、事務局でも検索しましたが、発見することができませんでした。検索した中で関連すると推察される法令としては、『中華人民共和国労働法』(全国人民代表大会常務委員会1994年7月5日制定、同日公布、1995年1月1日施行)の「第6章 労働安全衛生」(第53条)に、「労働安全衛生設備は、国が定める基準に合致しなければならない。新築、改築、拡張工事の対象となる労働安全衛生設備について、主要部分の工事と同時に設計、施工し、同時に操業し使用を開始しなければならない」とありましたので、ご紹介致します。
2.外国の医療機構、会社、企業その他経済組織が、中国国内において中国の医療機構、会社、企業その他経済組織と、合資または合作形式をもって医療機構を設立する際に遵守する法律として、『中外合資・合作医療機構管理暫定施行弁法』(2000年5月15日衛生部及び対外貿易経済合作部令第11号、2000年7月1日施行)(以下、本弁法という)があります。
   本弁法の第7条、第8条に、中外合資・合作医療機構の設立を申請する中外当事者双方の、また、設立される中外合資・合作医療機構そのものの条件が規定されていますので、以下にご紹介いたします。
(第7条)中外合資・合作医療機構の設立を申請する中外当事者双方は、独立して民事責任を引き受けることのできる法人でなければならない。合資・合作の中外当事者双方は、直接に、または間接に医療衛生投資及び管理に従事する経験を有し、かつ、次の各号に掲げる要求の一つに適合しなければならない。
(1) 国際的に先進的な医療機構管理経験、管理モラル及びサービスモデルを提供することができる。
(2) 国際的にリードする水準を有する医学技術及び設備を提供することができる。
(3) 当該地区の医療サービス能力、医療技術、資金及び医療施設分野の不足を補充し、又は改善することができる。
(第8条)設立される中外合資・合作医療機構は、次の各号に掲げる条件に適合しなければならない。
(1) 必ず独立の法人でなければならない。
(2) 投資総額は、2,000万人民元を下回ってはならない。
(3) 合資・合作中国側当事者が中外合資・合作医療機構において占める出資持分比率または権益は、30%を下回ってはならない。
(4) 合資・合作期間は、20年を超えない。
(5) 省級以上の衛生行政部門の定めるその他の条件。
   また、設立の手続としては、本弁法の「第3章 設置の審査認可及び登記」第10条〜第17条に、提出資料や申請先、所要日数等、詳しく規定されていますので、本弁法の該当個所をご確認ください。


質問4保税区公司の合併について
 弊社は、上海・天津・大連の各保税区に独資で貿易公司を設立しております。
6月1日施行の「外商投資商業分野管理弁法」では、12月11日以降,独資の企業商業企業設立も認可される、とのこと。そこで、この弁法に基づいて、現在ある各地の保税区貿易公司を将来は保税区外の一つの公司にまとめたい、と考えております。
 その場合、「外商投資企業の合併と分割に関する規定(2001年11月22日公布)」を利用することは可能でしょうか?
 具体的には、各保税区の貿易公司を合併して保税区外に1社の商業企業を設立し、合併前の各公司(=保税区貿易公司)はそれぞれ解散する、というスキームです。
 貴機構が7月下旬に開催された胡景岩司長をお招きしての外資導入セミナーに出席致しましたが、どうも保税区企業の経営範囲拡大による商業企業設立は、保税区の各種規定・制限があり現実的でない、と思いました。そこで、新規に区外に弁法に基づく商業企業を設立することと、現有の保税区公司を合併することが一気に出来ないか?と思ったものです。
 上海に出張する機会があり、当地のコンサルティング会社に問い合わせしてみました。「保税区企業と区外企業の性質が異なるので、区外に商業分野管理弁法に基づく企業を設立し、保税区企業を吸収合併(新設合併)することは許可されないだろう」との回答でした。保税区管理委員会に問い合わせした訳ではありませんので、実際のところがどうなのかは不確かではあります。
 以上、自問自答の形となりましたが、他に情報がございましたら、是非お教え願います。

回答4.

 お問い合わせは、「外商投資商業分野管理弁法」(以下「商業弁法」)の施行により、今後の業務の効率化を図るべく、まず、区外に新たに商業企業を設立した上で、現在各地に点在する御社の既存保税区企業を前述の商業企業へ合併をして経営活動を行うことが可能かどうかという質問と理解し回答いたします。
 「商業弁法」に基づき設立された商業企業と保税区内貿易企業との合併は、「商業弁法」においては、特に明記しておりませんが、外高橋保税区三聯発展有限公司からは、三資企業、外商投資株式有限公司及び内資企業との合併と同様に「外商投資企業の合併と分割に関する規定」(外経貿2001年11月22日施行)に基づき所定の手続きのもと、合併することは可能であると回答がありました。
 お問い合わせの場合、商業企業が既存保税区貿易企業を吸収合併し、新たな商業企業として経営活動を行うことになりますので、吸収合併の手続きを行うことになります。吸収合併を行う商業企業は、債権、債務を全て継承することになり(同第25条),この商業企業は、元の審査批准機関に外商投資企業批准証書の変更手続きをし、登記機関で企業登記の変更手続きを行い、吸収される保税区企業側は、元の審査批准機関で外商投資企業批准証書を返納し、登記機関で企業の登記の抹消手続を行うことになります(同第22条、第31条)。そして、吸収される保税区企業は、解散、清算の手続きを行うことになります(同第3条)。
合併に関しては、「外商投資方向指導暫定規定」、「外商投資産業指導目録」の規定に合致していることを前提として、税関、税務、外貨管理などの関連規定にも合致していなければなりません。(同5条、6条)。
 これら一連の手続きにかかる許認可、批准等には相応の時間がかかることもお含みおき下さい。
 尚、商業企業との合併については実例もないため、運用面等の解釈が不透明な点も否めません。弊機構においても関連情報が入り次第会員の皆様に情報を提供させていただきますが、御社でも弁護士等を通じ確認していただけることをお勧めいたします。


質問5電子手冊について
 中国関連会社で中国国内販売用と海外輸出用の製品を生産しています。使用される部品のうち、中国国内で調達できないものについては日本から輸出しています。輸出する際に免税の適用(手冊管理)を受けるために、免税・課税で分けてインボイスを作成して輸出していました。分割の効率改善のために、電子手冊導入(申請)を検討しています。電子手冊導入後は、免税・課税部材全てを免税の状態で輸入し、課税(国内向け)分を事後納税が可能となり、これにより緊急の輸出向け・国内向けの仕向先変更や余材の転用が簡略化されるメリットを享受できると認識しています。
 この認識に間違いがないでしょうか? 納税を販売前に完了させる等の注意事項がありましたら教示願います。

回答5.
 電子手冊に関しては、『税関の加工貿易企業に対するコンピュータネットワーク監督管理実施弁法』にてその要件が書かれておりますので、まず一読ください。しかしながら、運用実態等、分からない点が多々ございましたので、実際に現地で実務を行なわれていらっしゃる会員企業の方に、現在の運用実態をうかがいました。それを参考に記載させていただきます。
 『電子手冊導入後は、免税・課税部材全てを免税の状態で輸入し、課税(国内向け)分を事後納税が可能となり、これにより緊急の輸出向け・国内向けの仕向先変更や余材の転用が簡略化されるメリットを享受できる』という認識は間違っているようです。
 電子通関システムとは、以前の手冊が単なるデータ台帳に変化し、それらの情報が税関、対外経済貿易部門、外貨管理局、工商行政管理局、税務局、銀行と政府機関の横串刺しが可能になり透明性と情報の共有化されているもののようです。
 実態の運用としては、現状同様インボイス、パッキングリストは免税用、課税用と分けて申請をしなければなりません。従来は先ず何をどこ向けにいくつ製造するのか、そのためにはどんな部材が必要なのか等を記帳する、手仕舞い手帳としての管理ノートが必要でしたが、それらが電子データ入力となり、関係当局とリンクした電子在庫台帳と変化しただけのもののようです。
 従いまして、製造品の売買契約書、それらを製造するための部材を入力し、対外経済貿易部門傘下の経済発展処等で輸入の許可と海外契約の承認を得て、税関へ免税かそれとも課税かという手続きが全てネットの上で出来るようにはなりますが、その際に税関から課税と指摘があったものは、別途免税とは相違した現状同様な課税輸入方法となり、全ての部材を一旦免税で輸入通関することは出来ません。
 更に付記しますと、企業ICカードと通関員オペレーションICカードを税関へエントリーし、それらにより電子情報上での輸出入品の入力が工場で出来ますが、貨物検査が発生した場合には、工場より出向いて検査に立会うことが税関より要求されます。
 電子情報で全ての情報を関係当局にリンクしているので、いちいち税関、その他機関へ赴かずコンピュータ上にて処理が出来るメリットがあると言えます。
 これに伴い、運用にあたっての注意点としては、主管税関、商品検験局等が何時でも工場へ赴き在庫検査を実施できるデータをネット上で見られますので、在庫管理、品質管理については一層透明性のある強化管理をしなければならないこということがあります。
 もしデータと実物在庫が合致しない場合には多額の罰金が課せられるそうです。(工場規模によりますが、10万元〜300万元の罰金となる模様です。)

以上