投資機構会員ネット・法律税務相談室より(第31回)

 会員ネット内の法律・税務相談室より、皆様のお役にたつと思われる事項を抜粋して紹介させて頂きます。
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質問1.リース料に対する移転価格税制
リース設備輸入の場合、その課税価格はリース料を基準とすると認識しておりますが、そのリース料が相場対比で低すぎると指摘された場合、つまり移転価格税制の適用を受けた場合、関税・増値税はどのような形で追徴されることになるのでしょうか?

回答1.
 リース設備輸入の場合は、『中華人民共和国輸出入関税条例』(国務院令 第392号 2003年11月23日公布・2004年1月1日施行)の第23条及び『税関輸出入貨物課税価格審査・決定規則』(税関総署 2002年1月1日公布・施行)第17条で、税関の審査決定するリース料を基準として課税されると定めております。
 ご質問の内容では、相場対比が実際どれくらいであるのか、想像の域を超えませんが、今回のご質問を、日本親会社から中国子会社への設備のリースをする場合と仮定しますと一般的には、税関の審査決定するリース料を基準に計算するのですが、そのリース料が極端に低い場合は、税関が再度リース料の査定を行い、課税価格を増額して関税と増値税を追徴することになります。
 中国子会社から見れば、親会社に支払うリース料が低くなるため、子会社の課税所得は実質多くなりますが、これは移転価格の問題ではなく、リース料支払における源泉税過少納付の問題になります。逆にリース料が高い場合は、移転価格の問題が発生することが考えられますが、税関は問題にしないことになると思います。このように税関と税務局では逆の関係になります。


質問2保険付保の使用通貨について
 先日、新規取引先との輸出の取り決めの中で貿易条件がCIFになるものが出てきました。シッパーとなる弊社としては保険の手配が必要となるため保険会社と船積み時の貨物保険について調整をおこなったところ、下記のような事を保険会社担当者より言われました。
「保険費用を人民元で支払った場合、もし仕向け地、コンサイニー側で貨物に損害が出て求償する事になれば、当方(保険会社)より支払う金額は人民元となる、USD、JPYといった通貨(外貨)での支払は 出来ない。(外貨管理上の規定?)
 従い、もしも求償時、米ドルなど外貨で支払を望むなら必ず保険費用については米ドルで支払をして欲しい」
そこで、質問ですが
1)担当者の言うように、外貨管理規定で上記のような規定はされているのでしょうか?
2)またもし規定があり、外貨にて保険費用を支払う場合、中国国内での外貨取引は禁じられているかと思いますが、例外として支払う事が出来るのでしょうか?
従来、輸出は三国間貿易が中心で、貨物保険についても日本、香港で付保していたため、中国国内での付保方法を存じません。

回答2.
 中国国内から海外へ輸出する場合の貨物海上保険でのお問い合わせですね。貨物海上保険の保険金額(付保額)の建値は、CIF契約の建値と同一ですので、中国から輸出する場合は、ドルや円などの外貨(国際決済通貨)となるのが通常です。そして保険金の支払いは原則保険金額の建値で行なわれます。従って、保険事故が発生し、海外でコンサイニーが求償し保険金を受け取る場合、人民元ではなく外貨(国際決済通貨)となるわけで、海外のコンサイニーとしても人民元を受け取りたくはないでしょう。
 一方、保険料(費用)は、保険金額に一定の保険料率を乗じて算出する関係上、保険金額の建値と同一になります。中国からの輸出の場合、保険金額が外貨建てとなりますので、保険料も外貨建てとなります。もちろん引受保険会社が認めれば、外貨保険料をその時の為替換算率を使って人民元に換算し、人民元での決済も可能でしょうが、現状では中国国内の保険会社は通常外貨での支払いを要求しているようです。ご質問の外貨管理規定上の制限についてですが、確かに中国国内では、外貨建て価格、外貨建て決済は禁止されていますが、いくつかの特別な場合は、『国内外貨振替管理暫定規定』(外貨管理局1997年9月25日公布、10月15日発布)により、国内企業間での外貨建ての送金、振替が認められており、取引銀行あるいは外貨管理局が、その取引内容を審査し、認定を受けた後に実施することができるとなっており、本件のように国内の保険会社に対する保険料の外貨預金からの支払いは、銀行の審査認定で可能となっております。


質問3中国の減価償却について
中国の固定資産の減価償却方法として、定額法、作業量法、年数総和法、倍額残高逓減法(200%定率法)がありますが、
(1)倍額残高逓減法(200%定率法)の計算方法を教えてください。
(2)中国の固定資産の償却方法として、どの償却方法が一般的なのでしょうか?

回答3.

 固定資産の減価償却方法として、会計上ではご質問のように定額法、作業量法(生産高比例法)、年数総和法(級数法)、倍額残高逓減法(200%定率法)を採用することができますが、税務上では、定額法を採用するとしており、その他の償却方法を採用する場合、別途国家税務機関の認可が必要となります(事後でも可能のようです)。仮に、税務機関の認可が得られなくても、会計上は定額法以外の償却方法を選択することが可能ですが、定額法との差額は税務上調整する必要があります。
 倍額残高逓減法(200%定率法)の計算方法について、実際にこの償却方法を採用している企業については不知であるため、正確ではないかもしれませんが、言葉どおりであるとすれば、計算方法は「減価償却限度額=未償却残高×耐用年数に応じる定率法の償却率×2」ということになるものと考えます。
 中国においては前述のように、企業の減価償却方法として、税務上では定額法を要求していることから一般的には各企業では定額法を採用しているものと考えます。生産高比例法を採用している企業はお聞きしたことはありますが、級数法や200%定率法については耳にしたことはありません。おそらく、税務上と会計上との調整を行なう必要があるため、二重に管理せねばならないことが定額法以外の償却方法を採用しない要因に挙げられるものと推測致します。


質問4輸入設備に関する免税
 1997年12月29日公布、1998年1月1日施行の国発(1997)37号『輸入設備税収政策の調整に関する国務院の通知』では、『外商投資産業指導目録』中の奨励類と制限類(乙)該当企業が総投資額の範囲内で輸入する設備は、関税・増値税が免除されるとなっていますが、「外商投資産業指導目録」は2002年3月に改定された時に、制限類が一本化されています。(甲、乙に分かれておりません)この新しい指導目録に適合するように『輸入設備税収政策の調整に関する国務院の通知』は改定されているのでしょうか?
 また、実際の設備輸入時の免税の規定はどうなっているのか、教えてください。

回答4.

 ご指摘の通り、2002年4月1日から執行されている新『指導目録』では「制限類(甲)・(乙)」の区別はなくなり、「制限類」に一本化されています。項目数も旧『指導目録』の112項目から75項目に減少し、特に製造業を中心に大幅に数が減少しております。
 そこで本件ご照会についてですが、結論から申し上げますと、新『指導目録』執行の2002年4月1日以降認可の外国投資家投資プロジェクトにおける総投資額範囲内での輸入設備免税措置については、奨励類と共に従来対象となっていた「制限乙類」がはずされ、新「指導目録」による「奨励類」のみが対象となっております。しかしながら、これは『輸入設備税収政策調整に関する国務院の通知』(国発(1997)37号)の条文自体が新しい指導目録に適合するように改定されたという訳ではなく、この税収優遇政策の執行における新・旧「指導目録」の適用問題について、別途、取扱を規定した通知が国家税務総局より出された形になっています。(以下、当該『通知』の照会)

●『新外国投資家投資産業指導目録の執行に関連する税収問題に関する国家税務総局の通知』(2002年5月30日国税発[2002]63号)
(第1条)「外国投資家投資プロジェクト(増資プロジェクトを含む)のFS報告が2002年4月1日以後に認可される外国投資家投資プロジェクト又はFS報告の認可段階がなく、その会社の契約、定款若しくは増資申請文書が2002年4月1日以後に審査認可部門の認可を経る外国投資家投資プロジェクトについては、新たな『指導目録』に従い奨励類型を確定しなければならない。上記プロジェクト中の新たな『指導目録』に従い奨励類であると確定された外国投資家投資プロジェクトには、現行の規定の奨励類プロジェクトの各種税収優遇政策を適用することができる」
(第2条)「政策の連続性を保持するため、2002年4月1日前に認可された外国投資家投資プロジェクトで古い「指導目録」に従い奨励類又は制限乙類であると確定されたものは、現行の規定の奨励類又は制限乙類に適用される各種税収優遇政策を継続して享受する」
 上記の通知については国家税務総局より出されたものですが、その発布の約2月前に、税関総署からも殆ど同様の内容を網羅した通知が出されています。ご参考までに、以下に通知名をご照会します。

●『外商投資産業指導目録関係の問題に関する税関総署の通知』(署税発[2002]81号 2002年4月4日)(条文は省略)
 次に、ご照会の、実際の設備輸入時における免税の規定ですが、上記のような総投資額の範囲内によるものを含め、その他例を挙げれば、次の(1)〜(9)のようなプロジェクトに関連した同様の設備輸入の税収優遇措置に大別できると考えます。
 (1)奨励分類項目の外国投資プロジェクト
 (2)製品の全量を輸出する許可類の外商投資プロジェクト
 (3)既存設備更新プロジェクト
 (4)外国投資研究開発プロジェクト
 (5)中西部プロジェクト
 (6)加工貿易プロジェクト
 (7)外国政府借款プロジェクト
 (8)ハイテク製品プロジェクト
 (9)IT関連プロジェクト
(主な関連法規)

●『輸入設備税収政策調整に関する国務院の通知』(国発[1997]37号)(1)・(7)

●『一部の輸入税収優遇政策調整に関する通知』(財税[2002]146号(2)

●『外国投資家の投資のより一層の奨励に関連する輸入税収政策に関する税関総署の通知』(署税[1999]791号)(3)・(4)・(5)

●『加工貿易輸入設備の関連問題に関する通知』(外経貿政発[1998]383号)(6)

●『「中共中央、国務院:技術刷新の強化、ハイテクの発展、産業化の実現に関する決定」の実施に関する税収問題についての通知』(財税字[1999]273号)(8)

●『ソフトウエア産業及び集積回路産業の発展の奨励に関わる税収政策問題の通知』(財税[2000]25号)(9)

●『西部大開発の税務優遇政策の問題に関する通知』(財税[2001]202号)(5)
など。


質問5永住権取得
 新聞に7つの項目のうちいずれかを満たすものは中国における永住権の取得が可能という記事が掲載されましたが、具体的にはどのような条件で、どのような手続きが必要なのでしょうか?

回答5.
お問い合わせの永住権についての法規として「外国人の中国における永久居留の審査許可に関する管理弁法」(国務院2003年12月13日批准、公安部・外交部第74号、2004年8月15日公布)があります。
 永住権を獲得するためには、まず申請する外国人は、中国の法令を遵守すること、健康であること、犯罪歴がないこと、かつ以下7つの条件のうち、1つを満たす必要があります(同第6条)。
1.中国への直接投資を行い、投資状況が3年連続で安定しており、かつ納税記録が良好であること。
2.中国で副社長、副工場長クラス以上の職位、または助教授、副研究員などの副上級職クラス以上の待遇を受ける者であり、在職期間が連続4年に達し、この4年間のうち中国における居留日数の合計が3年に達し、納税記録が良好であること。
3.中国への重要かつ突出した貢献があり、国が特別に必要としていること。
4.本条の第一項、第二項、第三項に該当する者の配偶者および満18歳未満の未婚の子女であること。
5.中国国民または中国における永久居留資格を取得した外国人の配偶者で、婚姻関係が連続5年に達し、中国における居留が連続5年に達し、毎年の中国における居留期間が9カ月に達し、安定した生活の保障と住所を有すること。
6.18才未満の未婚の子女で父母と生活を共にしていること。
7.国外に直系の親族がなく、国内の直系親族に頼って生活し、60歳以上で、中国における居留が連続5年に達し、毎年の中国における居留が9カ月以上で、安定した生活保障と住所を有すること。
 また、申請手続きに関しては、上記条件等の実情に基づき「永久居留申請書」を作成した上でパスポート、中国政府指定衛生検疫部門等による健康証明書、中国大使館等からの未犯罪歴のないことの証明文書、写真、その他上記条件に該当する関連資料が必要です。
受理機関である公安機関等へ申請し、公安庁、公安局の審査を経て、公安部より許認可を得ることになります(同第5条)。

 

以上