投資機構会員ネット・法律税務相談室より(第30回)

 会員ネット内の法律・税務相談室より、皆様のお役にたつと思われる事項を抜粋して紹介させて頂きます。
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質問1.生産型企業の商業分野
弊社は、上海外高橋(保税区)に貿易型企業(A社:独資)、中国内(一般地域)に生産型企業(B社:独資)の子会社があります。貿易型企業A社は、弊社製品と修理用部品を輸入するとともに、B社の中国製品を購入し、中国製・日本製の製品、修理用部品を中国資本のディーラーを経由して国内販売をいたしております。
さて、このたび4月16日付けで「外商投資商業領域管理弁法」が発布され、外資も卸売、小売分野に参入できると聞きました。
1.現在のB社の定款は、「製品の製造、組立及び販売」および「関連業務」となっておりますが、この機会をとらえて、「製品及び部品の国内外からの仕入れ、国内外への販売、賃貸、および関連サービスの提供」という経営範囲を追加し下記業務を実施することは、可能でしょうか?
また、不可能であるとすれば、どの項目に問題があるのでしょうか?
 1.(B社製ではない)親会社の製品用の修理部品の販売
  [1]日本の親会社から輸入し、中国内で販売
  [2]国内の供給元から仕入れ、中国内で販売
  [3]国内の供給元から仕入れ、親会社に輸出
 2.アフターサービス
  [1]A社およびディーラーの修理業務担当者への教育
  (親会社製品の修理サービスを含む)
  [2]B社による親会社製品の改造、修理
   (1)B社を通して販売したもの
   (2)B社を通さずに親会社からA社経由で販売したもの
 3.リース・レンタル事業
  [1]B社及び親会社の製品を中国内の顧客にリース・レンタル
 4.(B社製でない)親会社製品、部品の一時保管
  [1]親会社よりA社が輸入しB社倉庫で保管後、A社がディーラーに販売、
   A社-B社間での売買はせず、B社はA社の物流業務を委託。

2.今回のケースで、仮に、B社が卸売機能を得て、A社が販売した「商品(本体)」に対し、B社が「純正の修理・改造用アフターサービス部品」を供給する、とした場合、「A社商品の修理、改造のためには、B社の部品が欠かせない」という状態になることが考えられます。つまり、B社のアフターサービス商品の販売促進のためには、「A社やディーラーへの(A社商品の)修理・改造スキルの提供」が重要であると言えるのですが、それでも、
・A社およびディーラーの修理業務担当者への教育(親会社製品の修理サービスを含む)
・A社が販売した親会社製品の改造、修理は、不可能との解釈になるのでしょうか?

回答1.
 1.1.の業務は「外商投資商業分野管理弁法」(以下商業弁法)でいう「卸売業」に該当すると考えます。商業弁法第9条では商業企業の経営範囲について規定しておりますが、卸売業は商品の卸売りと商品の輸出入が明記されております。ここでいう「商品」の範囲については、7月に開催しました外資政策セミナーにおいて、胡景岩商務部外国投資管理司長から自社商品と関係ない商品も含まれる旨の発言がありました。親会社製品の修理部品の国内仕入・日本からの輸入、国内販売・親会社の輸出はできると考えます。
 2.3.4の業務については、商業弁法第9条の「その他関連する付属業務」に該当するかがポイントになります。流通における付属業務の範囲についてはWTO加盟文書の中で、『自ら販売する商品のために、「在庫管理、組立、仕分、選別、小口化、配送、冷蔵、貯蔵、倉庫、販売促進、マーケティング、広告、インストール、アフターサービス(保守・修理、研修を含む)を完全な範囲で提供することができる。」と規定しております。商業弁法における付属業務についてもこれに準ずると考えます。
 以上を踏まえて、2.について、B社が販売する商品についてディーラーへの研修、修理・改造は可能でも、A社経由で販売した商品の修理・改造はできないと考えます。3.のリース、レンタル事業については付属業務の範囲外と捉えるべきでしょう。4.もB社が扱う商品の保管・物流業務は可能でしょうが、B社の商流を介さない商品の保管・物流業務はやはりできないと考えます。
 以上法的な解釈となりますが、上記業務を認可するかどうかは当局の判断によりますので、当局への個別の確認をお勧めします。事務局側で把握できたものについては追って連絡いたします。
2.厳密な意味での「法的な解釈」としては、上記の回答の通り、アフターサービスの範囲はあくまでも自社で扱った商品に限られますので、B社の扱わない商品についての、A社及びディーラーの修理業務担当者への教育、改造・修理はできないと考えます。
 但し、A社商品本体と、B社付属部品との関連性を鑑みて、商業弁法の解釈権を持つ商務部門が上記業務を妥当と判断すれば認可が下りる可能性もありますので、やはり当局への個別のお問合わせをお勧めします 。


質問2メッキ工場の規制について
 いわゆるメッキ工場を設立するにあたりこれを規制する法令上の根拠はどんなものがあるのでしょうか。 その場合の法律の概略もあわせて知りたいのですが、よろしくお願いします。

回答2.
 お問い合わせのメッキ工場の建設についてですが、昨今、中国では急速な経済成長の一方で環境問題が深刻化しております。メッキ加工業においては、使用する薬品と廃水処理が大きな問題となっており、メッキ加工の工場設立については厳しい制限があります。
 設立に関する法令として「環境影響評価法」(2002年10月28日第9回全人代常務委員会第30回会議採択2003年9月1日施行)があります。
 上記法令によると、新規プロジェクトを行うにあたり、もたらされる可能性のある環境影響について、分析・予測・評価し、悪影響を予防・軽減するための環境アセスメントを行い、関係政府機関(環境保護部門)の認可を得なければなりません。環境アセスメントに関し認可を得ない場合には、そのプロジェクト自体が認可されないことになります。
 プロジェクトの環境アセスメントは、国家環境保護総局が発行する「建設項目環境保護分類管理名録」によって3段階のレベルに分かれており、メッキ加工業者は環境への影響が最も重大な類型のプロジェクトに適用されております。
 そのため、一般開発区等に建設する場合は、煩雑な環境報告書の作成が必要であり、環境審査をクリアするために、プロジェクトの実施者が各省の環境保全庁による個別審査を受ける必要があります。さらに、認可所用期間が長く、認可の可能性も非常に困難であります。
 その他関連法令は、水汚染防止法、危険化学物品安全管理条例、汚染排出費用徴収標準管理弁法など環境保護に関する法令が多数あり、メッキ工場建設にかかる環境報告書作成の際は各々の法令に遵守しなければなりません。
 このようにメッキ工場建設にあたり、個別のプロジェクトが認可されにくい一方、地方政府がメッキ処理等の重汚染プロジェクトについて特定区を選定し、開発区自体で環境アセスメントの認可を得ているケースもあります。
 無錫市では、江蘇省環境保護庁に正式に認可された表面処理科技工業園が建設されております。主なメリットとしては、
[1]シアン系薬品を使用する企業でも営業許可証が迅速に取得可能。
[2]園区内に集中廃水処理工場があるため、自社廃水処理設備の建設が不必要。
[3]園区自体が環境保全庁により認可されているため、環境報告書の作成は不必要であり、定期、臨時検査は園区にて対応。
[4]園区内薬品会社からの購入、危険物倉庫による保管が可能。
[5]政府の開発区であり、将来に渡り操業停止、移転等のリスクがない。
等があげられます。
 以上、メッキ工場設立については厳しい制限が設けられているのが現状です。


質問3中国へのインターネットカフェ進出について
 外資(合弁含む)による中国(上海)へのインターネットカフェ進出は可能でしょうか?可能であれば、その規制内容(設立形態、最低資本金、総投資額等)、及び根拠法規を教えていただけますでしょうか。

回答3.

 外資のインターネットカフェ業の進出についてですが、法制度的には可能です。
 インターネットカフェ事業自体は「通信事業」には該当しない為、『電信条例』、『外商投資電信企業管理規定』等の通信事業関連の規制にかかりません。根拠法規としては、『インターネット接続サービス営業場所管理条例』(2002年9月29日国務院令第363号により公布 2002年11月15日施行)が施行されております。この条例の限りでは、設立形態・最低資本金・総投資額等、外資参入の規制はありません。本条令に基づき文化行政部門へ申請し、認可後「ネットワーク文化経営許可証」が発給されますが、この許可証がないとインターネットカフェ事業を行う事ができません。
 また、インターネットカフェをチェーン展開する場合、『関于加強互聯網上網服務営業場所連鎖経営管理的通知』(文市発[2003]15号 2003年4月22日)が根拠規定となります。本通知におけるチェーン経営企業の概要は以下の通りです。
1.インターネット経営場所チェーン経営企業の設立制限
 各省(自治区、直轄市)が認可するインターネットサービス経営場所チェーン経営企業は3社、全国的なインターネットサービス経営場所チェーン経営企業は10社を超えてはならないという設立企業数制限あり。
2.経営方式
 この規定では、チェーン展開について、「直営チェーン経営」と「特許チェーン(特約店)経営」の2種類の経営方式を採用。
3.資本金
 同一省(自治区、直轄市)内でチェーン経営を行う場合、1,000万人民元を下回らない出資、全国展開もしくは省を跨ぐチェーン経営を行う場合、5,000万人民元を下回らない出資が必要。
4.店舗数
 同一省(自治区、直轄市)内でチェーン経営するには10店舗の直営チェーン店を下回ってはならない。全国展開もしくは省を跨ぐチェーン経営を行う場合、2つの省(自治区、直轄市)内で20店舗の直営チェーン店を下回ってはならない。
 実例として韓国のアイスターネットワーク社と中国の瑞得投資控股公司がインターネットカフェ事業で合弁企業を立ち上げております。
 以上のように、法制度上では外資参入についての規制はありませんが、実際に認可されるかどうかについては、中国でのインターネットカフェ事情を把握しなければなりません。
 中国では個人レベルでパソコンが普及していない為、インターネットカフェを利用して情報を得たり、メールの送受信を行うという背景や、インターネットカフェ設立にあまり元手がかからず個人経営者によるインターネットカフェが乱立したことにより、近年急激にインターネットカフェの数が増えました。しかし一方で賭博ソフトの提供やアダルトサイトの閲覧等、悪質な経営も多く、青少年の非行や犯罪の温床となった為、中国当局は上述の条例や通知によって、認可条件を厳しくすることで、以前のように多数の小規模のインターネットカフェ経営から少数の健全かつ大規模展開するインターネットカフェ経営へと、中国当局が管理政策をシフトしています。
 よって、法制度的に外資の参入は可能ではあるものの、実際条件を満たし、認可を得ることはかなり難しいと考えます。


質問4上海外高橋保税区内にできた物流園区について
 上海外高橋物流園区について、以下の内容についてご教授お願いします。
1.物流園区を設けた背景、目的
2.どのような業種、企業が本物流園区でメリットを受けるのか
3.そのメリットの内容
4.外高橋保税区内での位置付け
以上、よろしくお願い致します。

回答4.

 上海外高橋保税区物流園区に関わる規定は以下のものが挙げられると考えます。
○『国務院弁公庁関于同意上海外高橋保税区与外高港区連動試点的復函』(国弁函[2003]81号 2003年12月8日)
○『上海外高橋保税区和外高橋港区連動発展試点意見的通知』(上海市人民政府[2004]17号 2004年4月8日公布施行)

 物流園区の概要についてご質問に沿って以下のとおりコメント致します。
1.物流園区の背景、目的
 上記2003年81号では、倉庫企業と物流企業の発展を目的とするような記載がありました。実際には物流関連企業の発展というより保税区の利便性向上が目的だと考えます。これまで保税区は中国において「境内関外」という扱いであるため、香港×中国大陸との関係のように、一旦香港へ輸出し、再度大陸へ輸入するオペレーションを華東地区において行なうことは困難であり、行なうにしても多大な物流コストをかける必要がありました。そこで、華東地区において、香港と大陸のようなオペレーションを可能とする環境作りのため、物流園区が設立されたものと推察します。

2.どのような業種、企業が本物流園区でメリットを受けるのか
 物流園区内にて設立できる企業は「行政管理機構」、「倉庫保管物流企業」、「多国籍企業地区総本部の物流センター」及び「倉庫保管物流サービス専門の運輸企業及び貿易企業」に限定されており、生産加工型企業の設立は認められていません。また物流園区の主な機能として「国際接続運送」、「国際配送」、「国際調達」及び「国際中継貿易」が定められています。

 

以上