投資機構会員ネット・法律税務相談室より(第3回)

会員ネット内の法律・税務相談室より、皆様のお役にたつと思われる事項を抜粋して紹介させて頂きます。
 なお、当機構会員の方でまだ会員ネットにご登録されていないかたがいらっしゃいましたら(ご登録は無料です)、ぜひともご登録いただき、どんどんご質問をお寄せ下さいますようお願い致します。
トップページの「登録はこちら」ボタンからユーザー登録を行った上でログインしてください。
※通知した企業別ID、パスワードではログインできません。

質問1.外商投資企業(合弁企業)が一部出資持分を中国側に譲渡し、外国側持分が25%以下になる場合、外商投資企業が享受していた優遇税制は継続適用されますか?

回答1.持分の一部譲渡により、外国側の出資比率が25%を下回った合弁企業は、外商投資企業の法的地位を失うと同時に、外商投資企業が享受していた優遇税制の適用も受けられなくなります。

(1)中外合弁経営企業法第4条に「合弁企業の登録資本金のうち、外国側合弁者の投資比率は一般に25%を下回らないものとする」と規定されています。ご相談にある外国側が出資持分の一部を中国側に譲渡した結果、外国側の持分が25%を下回った場合、合弁経営企業法に照らすと当該企業は、外商投資企業としての法的地位を失います。
外資三法(合弁企業法、合作経営企業法、外資企業法)で管理されている企業を外商投資企業と呼んでおり、外資への優遇政策の対象となりますが、外資25%未満の企業は内資企業となります。

(2)出資持分譲渡後、外商投資企業の法的地位を失った企業は、同時に外商投資企業として享受している優遇税制の適用外になり、また一部は遡及して取り消されます。例えば、企業所得税の2免3減は、経営期間10年以上の生産型企業が対象ですが、持分譲渡により外商投資企業としての実際の経営期間が10年を越えなくなる場合、2免3減は遡及して取り消され、当該税金を納付する必要があります。
 
(3)外商投資企業として、設備輸入の際に関税・増値税の免除を受けていた場合、税関が定めている管理監督期間内(一般設備は5年)に外資持分が25%を下回る際には、免税とされていた金額の一定割合を追加納税する必要があります。

(4)経済技術開発区などで外商投資企業にのみ適用している所得税率低減等の優遇措置は、持分譲渡により外資出資比率が25%を下回った場合、それ以降の適用は受けられなくなります。但し別途内資企業への優遇制度があればそれば適用されます。


質問2.新年度より外資系企業に新会計制度が適用されるとのことですが、内容、現行制度との違い及びその影響をわかりやすく教えて下さい。

回答2.公認会計士の近藤義雄氏に新会計制度の概要をご紹介いただきました。ご参考にして下さい。
 (1)外国投資企業の会計制度は、2002年1月1日から大幅に改正されました。1992年7月1日から執行されていた外国投資企業会計制度は2001年12月31日までの適用とされ、2002年からは適用されなくなり、すでに廃止されました。2002年1月1日からは外国投資企業は「企業会計制度」が適用になります。

(2)「企業会計制度」は2000年12月29日に財政部から発布され、2001年1月1日からは株式有限会社に対してのみ執行されています。2001年では、中国の企業会計制度は、外国投資企業に対する外国投資企業会計制度、株式有限会社に対する「企業会計制度」、株式有限会社以外の中国企業(有限責任会社等)に対する業種別会計制度の3本立てでした。

(3)今回の改正により、中国の企業会計制度は外国投資企業と株式有限会社に対する企業会計制度とその他の中国企業に対する業種別会計制度の二本立てとなります。2000年12月に発布された「企業会計制度」は、もともと全ての企業・会社に対する統一的な会計制度で、この規定の中には外国投資企業に対する規定も織込み済みのものでしたが、2001年度は適用から除外されていたものです。

(4)中国の会計制度には、これらの企業会計制度のほかに企業会計準則があります。企業会計準則は2002年1月現在までで16個の具体会計準則が発表されていますが、2001年1月に「企業会計制度」が執行された時には、13個の具体会計準則が公表されていました。「企業会計制度」は、これらの13個の具体会計準則を踏まえて制定されたものです。

(5)具体会計準則は、国際会計基準等をベースに作成されており、中国の会計制度を国際レベルに引き上げるためのものです。13個の具体会計準則には、制定された順番で言えば、関連当事者、キャッシュフロー計算書、後発事象、債務再編、収入、投資、建造契約、会計方針等、非貨幣性取引、偶発事象、無形資産、借入費用、リースがあります。したがって、「企業会計制度」には原則としてこれらの会計基準が全て含まれています。

(6)「企業会計制度」には、これらの具体会計準則以外にもまだ具体会計準則になっていない税効果会計、連結財務諸表、減損会計の規定がすでに織り込まれています。税効果会計は規定はされていますが選択適用となっています。連結財務諸表は余り具体的な規定はなく別途規定されている暫定規定に従うものとされています。ただし、減損会計は具体会計準則にはありませんが、「企業会計制度」には全面適用されています。

(7)中国の国家税務総局は、「企業会計制度」が発布される以前に、企業所得税法の課税所得と企業会計制度の税引前利益を完全に切り離すための規定を制定しました。これはそれまでの企業所得税法では、会計制度で規定された税引前利益(利潤総額)をベースに課税所得が計算されており、税法独自の課税ベースが確立されていなかったことによります。

(8)2000年に中国の税法と会計は、それまでのほぼ一体化した規定が基本的に分離されて、「企業会計制度」が執行されたときには「企業会計制度」の規定で費用(または収益)処理されたものも、企業所得税法では独自の基準で費用(または収益)を認定することが明確になりました。
株式有限会社に「企業会計制度」が執行されて1年が経ちましたが、国際会計基準を採用した「企業会計制度」の会計処理により会計上の利益は比較的厳しく計上されるのに対して、企業所得税法はこれとは別の課税基準で課税所得を算定するため、両者の差異が拡大する傾向が見られたようです。

(9)今年から外国投資企業にも「企業会計制度」が適用されますので、株式有限会社で経験している問題が外資系企業にも及ぶ可能性があります。中国企業に対して適用されている「企業所得税法」と「企業会計制度」の間の問題と、今後は、外国投資企業に対して適用されている「外国投資企業および外国企業所得税法」と「企業会計制度」の問題が起こり得る可能性もあります。

(10)中国ではWTOに加盟して、多数の法律法規の改正作業が進められていますが、「外国投資企業および外国企業所得税法」と「企業所得税法」を統一した「法人所得税法」の改正が予定されています。上述した課題も含めて中国の会計と税法の改正に目が離せません。

第4回へ

以上