投資機構会員ネット・法律税務相談室より(第29回)

 会員ネット内の法律・税務相談室より、皆様のお役にたつと思われる事項を抜粋して紹介させて頂きます。
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質問1.通関の種類について
通関の種類について教えてください。通関の種類として自理報関、専業報関、代理報関の3つがあります。自理報関については理解しているのですが、専業報関と代理報関はどう違っており、実務的にはどのように使い分けされているのでしょうか?

回答1.
 まず通関は、輸出入権のある企業または税関登録された申告業者(以下まとめて「通関企業」)のみが行なえることになっており、かつ申告手続き実務は必ず「通関員」という有資格者のみが行なえることとなっています。これは、【税関法[2001年1月1日施行]】の第11条に規定されております。
上述の通関企業は以下の三種類に分けられます。
 1.自社通関企業(中国語で「自理報関」)
 2.通関専門業者(中国語で「専業報関行」)
 3.通関代理業者(中国語で「代理報関企業」)
1.自社通関企業は、自ら輸出入権があり、自社の通関業務のみ従事することが可能です。代表的な例として、輸出入権のある生産型企業、専門の対外貿易公司などが挙げられます。
2.通関専門業者は、専門的に輸出入の代理業務に従事する業者で、通関服務公司などがあります。
3.通関代理業者は、自ら輸出入権を有してはいないが、輸出入権のある企業に代わり通関申告業務を営む企業です。代表的なものとして、国際貨物運輸代理企業があります。
  「専業報関行」と「代理報関企業」の実務的な使い分けに関しましては、現地進出物流企業の方々等からもご意見をいただきましたので、それを踏まえてお答えさせていただきます。
 「専業報関行」は、小規模の出資で設立が可能であり、そのほとんどが職員も数人規模の個人経営に近いものです。税関との個人的人的関係をベースに成り立っている要素が非常に強いようにも思われます。「専業報関行」は通関のみの業務であり、委託する客先は前後の物流を別途自分で構築してゆく必要があります。
 「代理報関企業」は総合物流企業にとっては業務の一部であり、委託する客先は、前後の物流(倉庫・輸送)その先の国際物流(海上etc)まで一貫して委託することができます。
日本の一般的な考え方で言うと、「代理報関企業」は手間が省けて責任の所在が明確でありトータルコスト削減という事になるのでしょうが、中国では大型国有企業は有り余った職員と車両等の自社ハードを使わなくてはならず、また業務ごとに分けた多数の外注業者を、血縁や地縁その他を使い自分でコントロールしたいというエネルギーが相当働くため、「代理報関企業」はメリットがないという意見も多々見受けられるようです。


質問2輸入品の支払期間について
 中国企業から直接製品を購入しています。この企業から「最近中国当局の外貨管理制度が変更になり、輸出日から45日以内に売掛金を回収しなければならなくなったので協力を願いたい。」との連絡がありました。実際にこのような通達は出されているでしょうか?

回答2.
 本件について、中国企業と御社間の今までの決済形態の内容について不知ですが、外貨管理局から輸出代金の回収期間を短縮する旨の通達は出ていないようです。『輸出代金回収照合管理弁法実施細則』(1998年8月1日施行、2003年10月1日改正施行)第26条では、貨物輸出後、輸出企業は、貨物の輸出契約に約定した代金回収期限までに、代金全額を回収することを要求しており、輸出代金の回収期限は、一覧払いでの決済の場合、輸出通関後180日以内、ユーザンスでの決済の場合、ユーザンス回収の届出上の回収期限内と規定しております。
 以下推察ですが、中国企業が輸出貨物の増値税還付手続を行う為に、売掛金の早期回収を要望していることが考えられます。『輸出貨物税還付(免除)管理の関連問題に関する通知』(国税発[2004]64号2004年5月31日発布 6月1日施行)にて規定されております。
 上記通知中には、「45日以内に代金回収」とは記述されておりませんが、増値税還付手続について、書類提出・申告期限を過ぎたものは原則受理しないと規定しておりますので、このような背景の中、できるだけ早期に輸出代金を回収し、増値税還付申請書類を調え、還付手続をすべく、中国企業が要求しているかもしれません。
 また、中国では、輸出代金回収率により輸出企業を区分し、回収率の高い企業には優遇を、低い企業には輸出代金回収照合管理強化や輸出入業務の一時停止等を行う政策も取られており、中国企業が輸出代金回収率を上げるべく、短期間での輸出代金支払いを要求しているかもしれません。
 以上、推察の域を越えませんが、いずれにせよ、外貨管理上では回収時期短縮の規定は出されておりませんので中国企業側の何らかの事情であると考えます。


質問3中国における人材派遣業
 国においては外資(もしくは合弁)での人材派遣業は認められているのでしょうか。中国の優秀な人材を集め世界的に供給する。或いは日本(もしくは外国人)の人材を中国の国有企業へ、或いは外資系企業へ派遣するなどを業とすること。この種の事業会社設立のための準拠法など、お教えてください。

回答3.

 ご質問の「中国においては外資(若しくは合弁)での人材派遣業は認められているのか」につきましては、現在のところ、「人材派遣業」については外資には開放されておりません。ここでいう「人材派遣業」とは、自社でスキルを持つ人材を保有し、企業からの要請に基づき人材を手配することを意味します。一方で、自社で人材を保有せず、企業からの要請に基づき、相応のスキルを持つ人材を紹介するというような、所謂就職斡旋、職業紹介といった人材の情報提供や紹介業務を行う「人材仲介業」については、この種の事業会社設立のための準拠法である『中外合弁人材仲介機構管理暫定規定』(2003年9月4日人事部、商務部及び国家工商行政管理総局令第2号により発布、同年11月1日施行)により、その営業が可能となっております。現在、中国内で合法的に営業を行っている外資系人材会社(但し、合弁に限る)の業務は、この「人材仲介業」に該当します。


質問4日系独資企業の日本への投資について
 中国に設立した日系独資企業が、日本向けに投資(日本の新規プロジェクトに出資する等)する場合の中国の法的規制面、一般的なその他注意事項について教えて下さい。

回答4.

 結論から申し上げますと、現状の中国の法規では、中国で設立した外商投資企業が外国に投資することを前提としたものはないため、実質的には不可能か非常に困難といえるのではないでしょうか。
 まず、中国企業が海外へ投資を行う場合、当然出資金としての外貨を国外送金する必要があるため、中国の外為管理の規制を受けることになります。
 『外為管理条例』(国務院1996年1月8日制定、国務院1997年1月14日改正、同日公布、同日施行)第21条において、「国内機構が国外に投資する場合、審査認可主管部門に申請する前に、外為管理機関がその外貨資金の出所を審査する。認可を得た後に、国外投資の外為管理に関する国務院の規定に従い関連資金の国外送金手続きを行う」と定めており、海外への投資には、海外投資自体の可否の審査、および外為管理の観点からの海外投資の可否の審査が必要になっています。
 外商投資商業企業による外国投資自体の可否を定めた規定を見つけることはできませんでしたが、外国投資における外為管理について、『境外投資外為管理弁法』(1989年3月6日公布、同日施行)は、その第2条にて「海外投資」を定義するなかで「海外投資」の主体を「中国国内で登記登録した会社、企業またはその他の経済団体」であると定めながら、その主体には「外商投資企業を含まない」旨明確に規定しています。
 即ち、外為管理上、外商投資企業が外国投資をする前提になっていないものと解釈できると考えます。
 しかしながら、中国の所謂「走出去」方針のもと、中国内資企業による対外直接投資に必要な審査手続きは簡略化(『国家外為管理局が境外投資における外貨資金源の審査を簡略化することに関連する問題の通知』(2003年3月19日 国家外為管理局公布))の方向にあるといえます。
 また、内国民待遇の享受という観点から外商投資企業といえども、中国国外への投資は近い将来可能になるべきでしょう。
 しかしながら、現時点では上記のような結論になるかと考えます。


質問5来料加工業態における検査のみの業務について
 広東省の東莞市に弊社の中国法人(来料加工)を持っていますが、以下のライセンス取得と運営は法的に可能でしょうか?
 弊社現地法人をA社(鎮との合弁で来料加工のライセンスにて運営)
 仕入先をB社:中国国内企業で、転廠にて仕入れます。
 客先をC社:中国国内にある企業で転廠にて納入します。
 B社から部品を転廠にて購入
 A社はその部品を検査し、C社へ転廠にて納入する。
 A社としてはその部品について基本的には何の加工もせず、"検査"の付加価値を付けてC社へ転廠するのですが、その様なライセンスの取得は可能でしょうか?
 過去には、何の加工もしない検査のみのライセンスは外観的に変わらないので取得出来ないという情報を入手した事があります。

回答5.

 工業態での検査業務についてですが、そもそも加工貿易とは、経営企業が原材料・部品の全部または一部を輸入し、加工・組立を経て、完成品を再輸出するという経営活動を指し、加工を伴わない加工貿易契約が当局の認可を得る事は難しいと考えます。今回の商流が、税関区を跨る転廠にあたるかは不知ですが、法律面では『加工貿易保税貨物の税関区を跨る深加工結転に関する管理弁法』(税関総署令第109号 2004年1月19日公布 2004年3月1日施行)第2条においても「加工貿易保税貨物の税関管轄区を跨る深加工結転(転廠)とは、加工貿易企業が保税輸入原材料を加工した製品を、別の直属税関区内の加工貿易企業に移して『更に加工を行った』後、再輸出する経営活動を指す」と定義づけております。
 しかしながら、運用面について華南の加工貿易企業にヒアリングしたところ、過去に香港で製造した製品を輸入し、品質保証検査を行い「合格シール」を貼付して、中国国内の取引先に転廠したという事例を聞きました。この場合、製品とシールを輸入して、「シールを貼る」という行為が加工に当たるということで当局に説明し、認可を得たようです。
 但しこれはあくまでも一事例ですので、この方法で当局の認可が得られるという確証はありません。詳細については現地当局への確認をお勧めします。


質問6旅行傷害保険について
 わが社は中国駐在の人員の為に日本において日本の保険会社に旅行傷害保険を付保し、駐在員及びその家族の現地での疾病、傷害に備えております。しかし、現地化の一環として中国に進出している保険会社(中国現地法人)とわが社現地法人の間で傷害保険(疾病、怪我を担保)を締結する事が出来れば、日本の親会社の事務的負担を軽減できるので、これが可能かどうか検討しております。 現状中国ではこれが可能でしょうか?

回答6.

 以前、北京に駐在していた際に、駐在員の傷害・疾病に備えて中国の保険会社による付保を検討していたのですが、病院が限定されたり、負担額に上限があったり、保険からの支払自体を否定する傾向が強かったりとなかなか思ったような医療を受けそうにもなかったので、断念したことがありました。現在では、日本の保険会社が日本で付保し、大陸や香港地区でのクレームエージェントにおいて清算できるようなシステムにしているようです。保険契約を日本で締結し、中国で発生した費用を中国で精算するシステムです。このシステムを利用すれば親会社の事務的負担を軽減できると考えます。

以上