投資機構会員ネット・法律税務相談室より(第26回)

 会員ネット内の法律・税務相談室より、皆様のお役にたつと思われる事項を抜粋して紹介させて頂きます。
 なお、当機構会員の方でまだ会員ネットにご登録されていないかたがいらっしゃいましたら(ご登録は無料です)、ぜひともご登録いただき、どんどんご質問をお寄せ下さいますようお願い致します。
トップページからユーザー登録を行った上でログインしてください。
※通知した企業別ID、パスワードではログインできません。

質問1.再投資による税額還付
 外資投資企業および『外国企業所得税法』の第10条によると、再投資による税額還付が受けられるケースは、
@外資投資企業から取得した利益を直接当該企業へ増資 
A外資投資企業から取得した利益を新たな外資投資企業の設立に投資 
ということですが、次のケースだと税額還付を受けることは可能でしょうか?
B外資投資企業から取得した利益を他の外資投資企業へ増資
C外資投資企業から取得した利益を他の外資投資企業又は当該企業の合弁先持分の買取に使用

回答1.
 まず、外商投資企業の国内投資の要件・手続等を詳細かつ明確に定めた基本となる法律としては、対外貿易経済合作部と国家工商行政管理局から、2000年7月25日に発布された『外商投資企業の国内投資に関する暫定規定』があり、そしてその「再投資による税額還付」については、質問でふれられている『中華人民共和国外商投資企業と外国企業所得税法』の中に関連規定があります。
しかしながら、一部の地区から、再投資の税還付優遇政策執行について、更に明確にする必要があるという若干の問題が提起され、それを受けて、2002年7月17日に国家税務総局より『外国投資者の再投資企業所得税還付の関連問題に関する通知』国税発[2002]90号(以下、本通知)が発布されました。
前置きが長くなってしまいましたが、ご照会の
B外資投資企業から取得した利益を他の外資投資企業へ増資
C外資投資企業から取得した利益を他の外資投資企業又は当該企業の合弁先持分の買取に使用
については、それぞれ本通知の第2条に下記のように規定がされております。
第2条『税法実施細則』第80条第一款でいうところの「投資に直接使用して他の外商投資企業の設立する」とは、以下の状況が含まれる。
(一)投資に直接使用して他の外商投資企業を新たに設立し、かつその再投資額が新しい企業の登録資本を構成する場合
(二)投資に直接使用して既存の外商投資企業の登録資本を増加させる場合
 外国投資者が外商投資企業から得た利潤を再投資して、他の投資者がすでに存在する企業の株式権を購入し、当該企業の登録資本および経営資金が増加されていない場合、再投資還付優遇を享受してはならない。"
このことから、まず、Bについては、上記第2条の第二項に、「投資に直接使用して既存の外商投資企業の登録資本を増加させる場合」と規定してありますので、税額還付は可能です。
そして次に、Cについては、同じく上記第2条に、「外国投資者が外商投資企業から得た利潤を再投資して、他の投資者がすでに存在する企業の株式権を購入し、当該企業の登録資本および経営資金が増加されていない場合、再投資還付優遇を享受してはならない」と規定してありますので、本通知によれば、税額還付は認められません。ポイントとしては、条文にもあるとおり、再投資することにより(利益を源泉とするニューマネーが投資されることにより)、被投資企業の登録資本および経営資金が増加されているか否かが、税額還付のポイントになると考えられます。Cの場合のように持分の買取のみでは、持分権者が変わるだけで、実質的に登録資本が増加することが無いため、税額還付が認められていないものと考えます。


質問2「来料加工廠の現法化について」
 当社は華南地区に委託加工工場(来料加工)の形態で進出しております。郷鎮企業に生産委託する形式を取りつつも、実質的には自社工場として運営できる、いわゆる華南独特の「来料加工廠」です。尚、香港にも法人を設立しており、香港から生産委託の形態です。今回、種々の事情からこの来料加工廠を現法化(当社、ないしは当社の関係会社出資の現地法人に変更)することを検討しております。つきましては、下記の点ご教授頂きたくお願い致します。
<前提>
1.生産開始は2〜3年前。
2.郷鎮企業との来料加工契約はまだ残っている。
3.得意先との取引形態は、華南地区では転廠取引(当社の香港法人と得意先の香港法人との決済、ないしは当社の香港法人と得意先の中国現地法人との決済)。その他の地区は一旦香港に輸出した後、再度中国へ納入(当社の香港法人と得意先の中国現地法人との決済)。
<教授頂きたい内容>
1.来料加工廠の現法化の一般的なプロセス(各種必要手続き)
2.輸出モデル生産の得意先(来料加工廠、ないしは中国現地法人)と当社中国現地法人との間で転廠取引(関税・増値税を免税(保税)のまま販売、貨物は中国国内移動)ができるか?
*これまで得意先は香港から免税で原材料・部資材を仕入れ、免税のまま中国外へ輸出している。増値税の還付状況が悪いこともあるので、得意先が増値税一旦払い、輸出後還付という状況になるのはCSの観点からは避けたい。得意先が当社現地法人製品を仕入れる際に、免税(保税)で仕入れることができるか? その場合の条件等は?
3.設備を一旦香港に出さずに(生産を止めずに)現法化できるか?
4.その他懸念される事項があるか?

回答2.
 ご質問について、以下のように回答しますが、これは一般的に華南のみ適用され、華東地区等では運用が異なる可能性があるため、ご注意下さい。
1.来料加工廠の現法化の一般的なプロセス(各種必要手続き)
 当然ながら、外資企業を設立する必要があるため、外資企業法及びその実施細則の規定に従って外資企業を設立し、一方で現行の来料加工企業の抹消手続きを行なう必要があります。以下にそれぞれの手続きについて説明致します。
@外資系企業の設立
 基本的に通常の外資企業の設立手続きと変わりません。しかしながら、華南に詳しい方に確認したところ、設立申請時には同時に、元の来料加工契約期限満了の3〜6ヶ月前までに、元の主管部門の承認した来料加工契約のコピーを添付して、契約終了の事前申請を行なうようです。詳細については事前に現地の外経貿主管部門にご確認下さい。
A来料加工企業抹消及び契約の終了
 加工工場を現法化する場合、外資企業の来料加工免許の取得は困難ですので進料加工の取引形態がベースになります。そのため手続としては以下のことが必要であると考えます。
a.元の主管外経貿審査批准部門に加工契約の終了を申請する。
b.地元の税務局に来料加工企業の抹消を申請して、税務登記証を返却する。
c.税関に原材料の消し込み手続をして、登記手帳を返却する。(元の輸入設備について、移入する企業は税関の設備登記手帳を申請し、税関が元の来料加工工場の書類に取り消し意見を注記する。
d.地元の工商局に、企業の抹消を申請し、加工貿易のライセンスを返却する。
2−1.輸出モデル生産の得意先(来料加工廠、または中国現地法人)と当社中国現地法人との間で転廠取引(関税・増値税を保税のまま販売、貨物は中国国内移動)ができるか?
 香港御社現法(以下「A社」)から原材料を仕入、御社在中国大陸現法(以下「a社」)が加工(進料加工)し、その加工品を在華得意先企業・外商投資企業(以下「b社」)においてさらに再加工のうえ、b社の親会社たる香港法人(以下「B社」)に輸出するという前提で回答致します。
 『加工貿易保税貨物の税関区を跨る深加工結転に関する管理弁法』(税関総署 第109号 2004年1月19日公布 2004年3月1日施行)に従い、必要な手続をすれば、華南では華東と違って、この種の転廠取引は浸透しており可能であると考えます。具体的な手続についてはスレッドNo.1954に掲載していますので、ご参照下さい。
 但し、在華得意先企業が来料加工廠か、現地法人(外商投資企業)かによって、転廠の形態が変わります。
@来料加工廠である場合
・進料加工企業a社から来料加工企業b社への移送(進料転来料)
A現地法人である場合
・進料加工企業a社から進料加工企業b社への移送(進料転進料)
2−2.得意先が当社現地法人製品を仕入れる際に、保税で仕入れることができるか?その場合の条件等は?
 規定上では、『外商投資企業の輸出物品に対する若干の税収問題に関する通達』(国税発[1996]123号 1996年7月8日)第7条に進料加工の還付・課税方式として、「免除・控除・還付」方式または「先徴収・後還付」方式を採用するので、実際に保税取引となる取引は少ないものと考えます。
 しかしながら、運用上では、上記2−1.の@進料加工×来料加工、A進料加工×進料加工によっても違いがあり、また所管税務局の還付課税方式が「免除・控除・還付」か「先徴収・後還付」かによっても違いがあると思われます。ここでは、各々の所管税務局がどの還付課税方式を採用しているかは不明であるため、以下に例をあげて説明致します。
@進料加工×来料加工
A.a、b社いずれの所管税務局が「免除・控除・還付」方式を採用している場合
・a社は輸入時の増値税は徴収されない。
・a社⇒b社の間の取引は増値税は徴収されない。
・一連の流れにおいて、保税取引が可能。
B.a、b社いずれの所管税務局が「先徴収・後還付」方式を採用している場合
・a社は輸入時の増値税は徴収される。
・a社⇒b社の転廠取引について、a社は、b社に転出した時に、輸入時に徴収された増値税の還付申請を行なう。
・上記還付申請時に税務局より「進料加工は保税取引」とみなされると、a社が徴収された輸入増値税は全額還付となり、「課税取引」とみなされると、全額還付とならず、a社の付加価値分に対して還付の欠け目(徴収税率−還付税率)を納税することになる。
A進料加工×進料加工
A.a、b社いずれの所管税務局が「免除・控除・還付」方式を採用している場合
・a社は輸入時の増値税は課税されない。
・a社⇒b社の転廠取引について、a社はb社より増値税を徴収し、所管の税務局に納税。(通常国内取引における増値税の取扱いに同じ)
・b社は香港に輸出を行なう際に、支払った増値税の還付申請を行なう。
・b社が還付申請時に税務局より「進料加工は保税取引」とみなされると、b社が徴収された輸入増値税は全額還付となり、「課税取引」とみなされると、全額還付とならず、b社の付加価値分に対して還付の欠け目(徴収税率−還付税率)を納税することになる。
B.a、b社いずれの所管税務局が「先徴収・後還付」方式を採用している場合
・a社は輸入時の増値税を徴収される。
・他は、上記A−A同様。
 しかしながら、地域によって上記方式の他に「不徴収・不還付」方式を採用している税務局もあり、事前にa社とb社を管轄する増値税の還付課税方式を調査、確認する必要があると思われます。
 ちなみに、外貨決済については、
@進料加工×来料加工(進料転来料)
 a社とA社との間では輸入原材料の決済を行い、a社は輸出貨物代金(a⇒b間)の全額をB社より回収することになります。b社の加工賃はB社より回収することになります(『「加工貿易深加工結転外貨支払及び照合抹消管理に関する問題」を更に強化する通知』外貨管理局[2001]64号 2001年3月27日発布施行 以下「強化通知」)。
A進料加工×進料加工(進料転進料)
 a社とA社との間では輸入原材料の決済を行い、a社は輸出貨物代金(a⇒b間)の全額をb社より回収します(『強化通知』)。
ちなみに、原材料の輸入元と加工後の輸出先とが一致している場合、外貨管理局の事前許可により、輸出代金から輸入代金を差し引いた差額決済が可能となっています(『深加工結転(転廠)にかかわる外貨の売渡、対外支払及び照合操作手続(外貨管理局[1999]78号 1999年3月15日公布施行)。
3−1.設備を一旦香港に出さずに現法化できるか?
 これまで来料加工工場に無償貸与していた設備(以下「無償設備」)を移転させず(またはシップバックせず)に、設立する現地法人の設備として使用できるかとのご質問の趣旨に対してコメント致します。
 結論としては、可能であると考えます。
 加工貿易の無償設備は税関監督管理に置かれています。ご質問の例は「生産開始から3年」と監督管理期限内となるため、事前に税関に対して監督管理解除申請を行い、また関税及び増値税を納付し、解除の許可を受ける必要があります。無償設備は、原則積戻しする必要がありますが、本件のように当該設備を継続使用することも可能です(『加工貿易輸入設備関連問題に関する通知』外経貿部[1998]第383号 1998年7月1日発布実施、『加工貿易取引下で外国企業が提供する価格評価しない輸入設備の税関監督管理解除関連問題を更に明確にすることに関する通知』税関総署他[2001]第420号2001年11月6日公布、2002年1月1日施行 参照)。また、この場合の外貨管理上も問題ありません(詳細はスレッドNo.1934を参照願います)。
 但し、その際には、加工貿易上免除されている輸入手続(輸入許可証等)及び中古設備輸入手続の手続をとること(詳細はNo.1940参照下さい)が必要となり、注意が必要です。
3−2.生産を止めずに現法化できるか。
 華南の取引に詳しい方に確認したところ、実務的には「外資企業の生産を開始した後、来料加工の抹消手続をとる」という流れにて、行なわれているようです。一時期においては、来料加工と外資企業が並存することにはなりますが、生産を止めずに現法化するには、この方法しかないのではないでしょうか。
4.その他懸念される事項があるか?
@残された加工貿易保税材料と完成品の処理について
 来料加工取引の中止により、来料加工の保税原材料及び完成品が残ることが考えられます。この残された加工貿易保税材料と完成品の処理について、『加工貿易貨物に対する監督管理弁法』(税関総署 第113号 2004年2月26日発布 2004年4月1日施行)第34条では「加工貿易保税輸入材料を事情により内販する場合、税関の許可を受け、関税及び増値税を支払う」と規定しています。本件がこの「事情」に該当するか、それとも保税材料(親会社に所有権がある)を新しい進料加工契約下における原材料と判断するかによって、一旦、税負担が発生する可能性があります。この点については地元の税関に確認された方がよろしいかと思われます。
A来料加工から外資系企業への転換による課税
 来料加工廠にも、一部に見做し利益率による課税が行なわれているようですが、企業設立による進料加工に転換することにより、加工賃分(利益分)はその企業の所得となるため、税負担の増加につながる可能性があります。


質問3「親子ローンについて」
 当社は、親子ローン契約を検討しています。次の内容でローンを契約する場合、利息や送金のアドバイスをください。
@貸付通貨:日本円(12億円)
A借入目的:工場建設資金(総投資額の範囲内)
1.利息は年利5%を検討しています。5%の根拠は人民元での長期貸付金利を参考に設定しました。移転価格にひっかかるなどの意見が当社にもあり、日本の長期金利を参考にすべきとの意見もあります。この場合妥当な金利の上限はいくらになりますか?
2.12億円の親子ローンを契約して必要の都度送金を考えています。この場合。送金の内容も契約に具体的に盛り込む必要があるのでしょうか
3.日本円で親子ローンの契約をした場合、子会社に日本円で入金されます。この日本円は自由にドル・人民元に両替が出来るのでしょうか

回答3.
 1.妥当な金利について、『国内機構の国際商業借款管理弁法』(中国人民銀行1997年9月8日認可、国家外貨管理局1997年9月24日公布)第9条には「国内機構の借入金総原価は、国際金融市場と相応の信用レベルのある借入機構との同期間の借入金総原価より高くてはならない」と定めております。
また、『外債管理暫定弁法』(国家外為管理局 2003年1月8日発布、2003年3月1日施行)に基づき、一般的に親子ローンは、国際商業借款に含まれ、外債登記および借入金専用口座の開設が必要となります。外貨管理局は国内機構が借用する国際商業貸付金の原価コントロールに責任を負うことと定めており、借入金利が原則として国際金融市場における借入金利と同等の水準を上回らないことなどを、厳格に審査しております。
更に、外国投資企業及び外国企業所得税法で規定されている移転価格税制に基づく『関連企業間取引の税務管理規定』(国家税務総局1998年4月23日公布、施行)の第2条には移転価格の取引類型に金銭の貸し付けが規定されており、同第29条では、金銭の貸付については、正常な利益水準を参照して調整する方法と、転貸融資については、原価基準法に類似した方法で価格が調整さることとしております。
以上のことから、親子ローンにおける金利については、国際金融市場等を勘案し決定することがよろしいかと思われます。
 2.ご質問の趣旨は借入枠を設定しておいて、必要な金額を小口で送金してもらう場合に、その度々の金額、送金方法、送金宛て等について契約の中に盛り込むべきか否かについて考えますと、まず、親子ローン契約期間中に、変更が生じ得ないと考えられる項目においては、金利、送金方法、入金確認のアナウンス、返済指定銀行口座など具体的に当該ローン契約に盛り込んでおく必要があると考えます。次に、小口金額の送金のための指示書には、具体的な金額や送金時期などの詳細等を記入することが可能な送金指示用のブランクフォームを当該ローン契約に添付する形で契約を締結する必要があると考えます。
3.『国内の外貨預金口座管理規定』(1997年10月7日発布、同年10月15日施行)の第3章において、同第21条では、「国内機構の借用する対外債務、対外債務転貸金及び国内中国資本金融機構の外国為替貸付に従い開設する貸付専用口座において、その収入は対外債務、対外債務転貸付又は外国為替貸付の契約金とし、支出は貸付契約所定の用途に用いること」としています。また、同第32条では、「国内機構は貸付契約所定の用途に基づき貸付専用口座の資金を使用することができ、外貨管理局の認可を受ける必要がない」としています。つまり、借入金専用口座からの払い出しはその目的が借入契約に定める使途であれば、外貨管理局の個別許可は不要とされますが、それ以外の目的の場合は要許可となっています。
 お問い合わせの内容を為替レートの変動にあわせ両替を検討していると想定して考えますと、上記規定で定めている通り、本来の借入契約に基づく目的以外での払い出しは、外貨管理局の許可が必要になると考えられます。
 さらに、資本取引専用外貨預金口座(借入金専用口座を含む)の外貨を人民元に両替する場合には、『外国企業が投資する資本金の人民元への交換管理方式の改革に関する通知』(2002年6月17日発布、同年7月1日施行)により、許可管理方式が変更となり、「外貨管理局の個別許可」から「銀行が当局から授権された範囲で承認する」ことになっており@専用口座への入金額の累計は、専用口座の残高限度額を超えてはならないA両替後の人民元の使途は、外商投資企業の正常な業務範囲での支出に限定する条件がついております。
なお、各種手続き等、詳しくは現地日系取引金融機関等へご確認をお勧め致します。

(以下略・「投資機構ニュースNo.105」に掲載)