投資機構会員ネット・法律税務相談室より(第25回)

 会員ネット内の法律・税務相談室より、皆様のお役にたつと思われる事項を抜粋して紹介させて頂きます。
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質問1.「中国での調達」
 中国の関連製造会社から、「年間1,000万米ドル以上輸出がある外資企業は,国内購入品の輸出も出来るようになります」という連絡が届きました。これについて以下の質問があります。
1.この根拠となる法令はどのようなものでしょうか?
2.これに基づき、該当する関連会社を日本本社の国際調達拠点として機能させることは可能でしょうか?
3.以上が可能だとした場合、どのような手続き(経営範囲の変更等)を行わなければなりませんか?

回答1.
1.「年間1,000万米ドル以上輸出がある外資企業は、国内購入品の輸出が可能」と定めた規定は、「外国投資家投資企業の輸出入経営権の拡大に関係する問題に関する対外貿易経済合作部弁公庁の通知」(2001年7月2日外経貿資字〔2001〕62号として発布)です。
2.「国際調達拠点としての機能」の意図するところはわかりませんが、現地法人の自社製品だけでなく中国国内の製品(但し、割当許可証管理または専営商品以外)の調達輸出業務に従事することは可能です。その条件として以下があります:
(1) 外国投資家投資生産型企業の年輸出額が1,000万米ドル以上であること
(2) 申請前2年連続して税収、外国為替及び輸出入の分野において違法・規則違反の記録がないこと
(3) 国際貿易に従事する専門業務人員を有すること
3.ご指摘の通り上記通知によれば、このような輸出業務に従事する場合、原審査認可部門に対して経営範囲の変更手続きを行う必要があります。
 なお、自社製品以外の中国国内製品を調達し輸出する機能を持つことが可能な事業形態として、上記以外にも以下のものが挙げられます。但し、このような機能を持つためには条件が定められていますので、それぞれの関連規定をお読みください。
@投資性公司(『外国企業の投資による投資性公司の設立に関する規定』
(商務部令2004年第2号2004年2月13日公布 2004年3月13日施行))
A輸出買付センター(『外商投資輸出買付センター設立に関する管理弁法』
(商務部、税関総署、国家税務総局、国家外為管理局令[2003]第3号 2003年11月17日発布))


質問2「経営期間の延長について」
 中国での合資企業(外資企業)について、30年や50年など経営期間が設定されているわけですが、この期限が到来したとき、あるいは事前にこの期限を延長することはできるのでしょうか? またできる場合には、どのような手続きや条件となるのでしょうか?
ちなみに弊社の場合、子会社である日中合資企業について、中方との合意により経営期間を「短縮」した例はあります。

回答2.
 合弁企業の経営期間については、『中外合資経営企業法実施条例』第89条において『中外合資経営企業経営期限暫定規定』(1990年10月22日施行、以下「規定」)に従って執行すると定めております。但し、規定では、合弁契約において経営期間を明確に定めるべき合弁企業の業種(例えば、サービス業、土地開発・不動産業、資源調査開発事業、国家が定める制限投資プロジェクトなど)を特定し、経営期間を明確に規定しないケースでは、当局の認可を取得すべき旨を定めています。
お問合せのケースは経営期間の延長に関するものですが、上記規定に従い期限を特に定めない方法を選択することにより、経営期間を延長することも一つの方法かと考えられます。また、期限を明確にして経営期間を延長する場合、合弁契約および定款を修正したうえで原審査認可部門による認可が必要です。
但し、『「中外合資経営企業経営期限暫定規定」の実施に関わる関係問題の通知』(1991年6月24日施行)の第2条において、「規定に従い経営期間を合弁契約において定めるプロジェクトについて、その期限はプロジェクトの業種、投資額、投資リスク及び投資回収時期の長短に基づき確定するものとし、一般的には30年を超えない。国家が奨励および許可する投資プロジェクトのうち、その契約において経営期間を定めるものは、適宜緩和することができるが、一般的には50年を超えない」との趣旨で定めており、30年または50年の経営期限から延長するにしても、大幅な延長には限界があり、また延長の限界も個別判断になるかと考えます。


質問3「合併について」
 同じ地域にあり出資者も同じ、出資比率も同じ、業種も同じ2社を合併しようとしています。規定では吸収される方の債権債務を全て吸収する方が引き受けなければならないとされています。とても初歩的な質問ですが、債権債務もすべて「A社+B社の和」となるのでしょうか? 何とかして債務を減らして合併させたいのですが。

回答3.
 結論から申し上げますと、債権債務はすべて「A社+B社の和」となります。合併に伴い、資産再評価をすることは認められていないと考えられます。
おっしゃられるように、その裏づけとして、『会社法』第184条では、「会社が合併する時、合併の各当事会社の債権及び債務は、合併後の存続会社または新設会社が承継する」と規定されています。ならびに、企業再編に関する税務上の取扱について規定した、『外国投資家投資企業の合併、分割、株式権改組及び資産譲渡等の改組業務に係る所得税の処理に関する暫定施行規定』(1997年4月28日国税発71号通達 以下「通達」)の第1条にも、「合併前の企業の債権及び債務は、法律所定の手続を通じ、合併後の企業がこれを承継する」と明確に規定されており、「吸収される企業の債権・債務は合弁存続企業に継承される」旨の、※(注)「人格合一説」の適用となっております。加えて、同暫定施行規定の同第1条(一)に、「合併後の企業の各種資産、負債及び株主権益については、合併前の企業の帳簿歴史原価に従い評価しなければならず、企業が合併を実現するため関係する資産等の項目について評価をする価値によりその原帳簿価額を調整してはならない」と規定されており、これは、吸収される企業の資産、負債及び持分権は吸収される企業の帳簿価額に基づき評価され、合併に伴う資産再評価は認められないことを意味しています。故に、合併存続企業または合併新設企業は、解散企業の債権・債務の全てを承継しなければならないという結論に至ります。
※(注)人格合一説とは?
合併の本質論については、会計論上、「現物出資説」と「人格合一説」の考え方があります。これらは会計処理と密接に関連しながら、各本質観の妥当性が議論されています。
「現物出資説」とは、合併を「解散会社(消滅会社)の株主による存続会社への現物出資とみる」見解であり、「人格合一説」は、合併を「合併当事会社の株主持分が株式交換を通じて人格的に合体したものとみる」見解です。
「現物出資説」によれば、@受入資産及び負債は全て公正価値に評価換えし、A純資産の公正価値と合併会社交付株式の公正価値(及び合併交付金額)との差額を暖簾または合併差益として計上します。一方、「人格合一説」では、@受入資産及び負債は被合併会社の帳簿価額のまま合併会社に記帳され、A被合併会社の純資産項目も合併会社にそのまま引き継がれることになります。
「通達」においては、後者の「人格合一説」の立場がとられていると考えられます。


質問4「登録資本金に関する制限」
 最近生産型企業が会社設立するにあたり、一定以上の登録資本金がないと土地使用権を購入することができないという話を聞きます。これに関する明文規定はあるのでしょうか? あるいは運用上そうなっているのでしょうか?

回答4.
 明文化された規定については、当方でも探しましたが見当たりませんでした。あくまで運用上のことと思われます。いくつかの開発区等(大連、錫山等)に確認したところ、登録資本に関しては『中外合弁企業の登録資本と総投資額の比率に関する暫定規定』(工商企字[1987]第38号1987年2月17日公布実施)第3条第1項にて、登録資本と総投資額との比率を定めるに留まり、現地のルールとして、土地使用権の購入にあたり、登録資本の下限を定めてはいないとのコメントがありました。
 しかしながら、無錫市投資促進センターに確認したところ、無錫新区(国家ハイテク技術開発区)では、2004年に「登録資本500万ドル以下の設立予定の企業は土地使用権を購入できない」と新たに規定しているとのことでした。
このことから、地区により開発区等が独自に「土地使用権を購入する際の最低登録資本条件」を定めていることが十分予想されるため、個別に確認する必要があります。
 またあくまでご参考ですが、浙江省では土地利用率を高めるため『浙江省工業建設項目用地控制指標(試行)』(浙江省発展計画委員会、浙江省国土資源庁[2003]93号)という規定を定めています。
この規定では、投資にあたり「投資強度」(=プロジェクト総投資額[万元]/プロジェクト総用地面積[万u])、「容積率」及び「用地に占める福利厚生施設割合」の3要素に基準を設定しており、企業が投資を行う際には規定で定められた基準値(業種・建設地区によっても異なります)をクリアしなければ、開発できないようです。
 そのうち「投資強度」における例をあげると、紡織業の場合、基準値は1uあたり1687元以上とされているため、1万u以上の開発を行う際には1687万元以上の総投資額が必要となります。これは、総用地面積次第で総投資額を制限しているとも言え、これにより登録資本を制限し、結果的に「一定以上の登録資本がないと、土地使用権が購入できない」状況にあるとも考えられます。

(以下略・「投資機構ニュースNo.104」に掲載)