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質問1.「
保税区内外の倉庫利用について」
当社は現在上海外高橋に貿易型企業(A社)を、江蘇省に生産型企業(B社)を持っており、以下の物流効率化の検討を考えています。
A社は日本の親会社からの商品を購入し倉庫に保管。またA社はB社からも製品を購入し、一旦まとめて同じ倉庫に保管。その後中国内ユーザーへ納品。このようなことは可能なのでしょうか?
保税区の会社が保税区外の倉庫を活用することは保税区外での営業ととられ不可ということを聞いたことがありますし、B社の製品を一旦保税区内倉庫へ搬入し、その後また中国内に搬出することができるのでしょうか?
回答1.
「保税区の会社が保税区外の倉庫を活用とすることは保税区外での営業ととられ不可」とありますが、『保税区外商投資企業の分支機構設立に関する通知』(国家工商行政管理総局[2001]第363号2001年12月17日)において、区外における分支機構設立禁止及び事務機構(事務所)の営業活動の禁止について規定しており、区外での倉庫設立及び利用については区外での営業行為とされ、できないようです。外高橋保税区連合発展有限公司にも確認しましたが、やはり営業行為ととられ、できないとのことでありました。
さて、ご質問に戻りますが、B社の生産した製品と親会社から購入した商品をA社内にまとめて保管し、その後販売してもよいか、という前提でご回答いたします。
まず、各々の貨物の性質を簡単に説明しますと、A社がB社製品を購入する場合には交易市場もしくは外貿公司を通じて取引することとなります。その際には増値税を支払い購入することになり、取引される貨物は内貨になります。
それに対して、親会社からA社が購入した商品は、保税区に輸入されただけでは関税及び増値税は実際には納付されていないということですので、この商品は保税貨物であるといえます。
『保税倉庫およびその保管貨物に対する管理規定』(税関総署 第105号2003年12月5日発布、2004年2月1日施行 以下「規定」)では、第19条に保管貨物の範囲、商品の種類などの事項を変更する場合は直属税関の認可を経なければならない、としていること、また第31条にて保税倉庫に無断で内貨を保管した場合の罰則規定を設けていることを考えると、保税貨物と内貨の同時保管は可能としながらも、厳格な管理を要求されているものと思われます。したがって、おっしゃられるような「B社の製品を一旦保税区内倉庫へ搬入し、その後また中国内に搬出する」ことは、管理の面に注意すれば可能であると思われます。
この点については現地に確認致しましたが、外高橋保税区連合発展有限公司では、ご質問にある取引は可能とのことであり、実際にも行なわれているようです。
また、外高橋保税区内に倉庫を持つ日系商社に聞き取りしたところ、商品の種類が違うものについては同一倉庫に両方の貨物を保管することは可能であるが、保管エリアの区別を行なうことが必要である。しかし同一商品となると、以前は可能であったが、規定により禁止されている、とのことでした。
しかしながら、同一倉庫内で輸入された保税貨物と国内から購入した内貨が同一商品となることは考えにくく、あくまで違う商品であることが前提ですが、御社で考えておられるスキームは可能であると思われます。
質問2.「中国の子会社での利益の出し方」
弊社は中国に独資の生産子会社を持っていますが、その子会社からの製品購入価格の設定によりどの程度の利益を子会社に落とすのが税務的に見て最適なのか?という問題について、
(1)移転価格の問題
(2)予定される中国への再投資の額(再投資する事による法人税還付のメリット)等を考慮する必要があり、かなり複雑なのですが、仮に、購入価格を高めに設定して子会社に利益を十分に出させた上で配当可能額を全額配当で日本に戻すとした場合、購入価格を低めにして子会社で利益をあまり出させず、その分日本で利益を出す場合、とを比べてどちらの方が全社的に見て税務面でメリットがあるのかを比較したケーススタディがあったら教えて下さい。
因みに子会社は法人税15%の優遇税制が適用されています。
回答2.
中国の生産現法から、日本の親会社への製品販売価格(親会社の子会社からの製品購入価格)の設定に際し、「どの程度の利益を子会社に落とすのが税務的にみて最適なのか?」という議論そのものは、微妙な問題をはらんでいると考えます。原則として「関連企業間の製品価格設定」に際しては、まず「移転価格の調整方法」の問題があり、ご照会のように、「購入価格を高めに設定して子会社に利益を十分に出させた上で配当可能額を全額配当で日本に戻す」或いは、「購入価格を低めにして子会社で利益をあまり出させず、その分日本で利益を出す」というような比較結果を、関連企業間の製品価格設定に反映させることそのものが、結果として、移転価格問題の対象となる恐れがあると考えられるからです。
法規的には『外資企業所得税法実施細則』の第54条に、「企業と関連企業間の売買業務においては、独立した企業間の取引として価格を定めない場合、所在地の税務機関は・・・(中略)・・・調整を行うことができる」と規定されています。その「独立企業間価格」とは、支配関係等の特殊関係を有さない企業間において公平な契約及び通常の商習慣に基づいて行われる取引において設定される価格であり、税務当局はこの価格に基づき移転価格税制の適応上、関連企業間の取引額との差額について調整を行うことができるとされています。この「独立企業間価格」の適用にあたっても、『関連企業間取引の税務管理規定』(国税発「1998」59号)の第28条に、@「独立価格比準法」A「再販売価格基準法」B「原価基準法」C「その他合理的基準」等の何れかの基準によって移転価格の調整を行うことが細かく規定されております。万が一、移転価格の調査対象企業となった場合でも、これら何れかの基準から算定された「独立企業間価格」から乖離しないような製品価格設定であるということを証明する、合理的な資料を提出できなければ、結果として移転価格調整の対象となってしまう恐れがあるということです。ご参考までに、企業の提出資料を紹介しますと、「全企業対象の提出資料」としては、「関連企業間取引申告表の作成・提出について」(同上『関連企業間取引の税務管理規定』第5条〜第7条)に、「調査対象企業の提出資料」としては、「関連企業間取引の詳細資料について」(同上第18条)、「関連企業間取引価格の妥当性根拠資料について」(同上第24条)に規定がありますので、ご参照ください。結論としましては、関連企業間の製品価格設定に際しては、上述のご照会にあるような比較はお勧めできませんし、その様な比較を示したケーススタディも残念ながらございません。
移転価格税制に絡む問題を全く排除すると仮定して、敢えて比較をするならば、これも個社別の状況に応じて異なり、親会社としての、現法との取引以外の部分の業績等にも左右されると考えますが(親会社として少しでもトータルで利益をあげたいという理由があるのかどうか)、そういった個社別の事情等も排除するとすれば、私見ですが、「子会社に適正な利益を出させた方」が、全社的には税務面でメリットがあるのではないかと考えます。その根拠としては、
@生産型外国投資企業であって、経営機関が10年以上のものに対しては、利益計上年度から起算して企業所得税に対し、2免3減等の期間減免税のメリットを享受可能であること(外国企業所得税法第8条)
A外国投資企業の外国側投資者が、企業から取得した利益を当該企業に直接再投資し、登録資本を増加し、或いはこれを資本としてその他外国投資企業へ投資した場合、経営期間が5年以上の場合には、当該投資者の申請、税務機関の承認を経て、その再投資分については納付済み企業所得税額の40%の還付を受けることができるメリットを享受可能であること(但し、再投資が5年未満で撤退した場合には、既に納付された税額を返納しなければならない)(外国企業所得税法第10条)
B親会社(出資者)に対し、配当送金を行う場合でも、一般の配当所得は20%の税率で源泉徴収されますが、外国投資企業の配当に関しては、二重課税の回避と脱税の防止の為に定められている、日中租税条約により、免税となること(日中租税条約第10条、第5項)
C個社別の立地等の条件により、違いはありますが、「経済特区の外国投資企業及び外国企業」「経済技術開発区の生産型外国投資企業」「上海浦東新区の生産型外国投資企業及び上海外高橋保税区に設立された外国投資企業」・・・etc.には、御社の例のように、15%の低減税率が受られるというメリットを享受可能であること(日本の法人税率よりは低い税率であること)(※他に中国では24%の低減税率適用のケースもあり。一般税率は30%)
等が挙げられると思いますが、敢えてご参考までということで留めていただき、結局のところは各企業ごとの個別の経営判断になるかと考えます。
質問3.「研究開発センターの設立について」
中国商務部が2004年2月18日に公布した「外資投資性公司の設立・運営に関わる規定」では、多国籍企業地域本部の認定条件と経営範囲に関する規定が加わりました。
認定条件の中には、「2つ以上の研究開発センター(少なくとも1社は法人組織である)を設立していること」とあります。
そこで、質問ですが、@具体的にどのようにすれば、法人組織としての研究開発センターを作ることができるのか、教えてください。A法人組織以外の方法での設立はどのようなものがあるのか、教えてください。B一般的に、会社設立は営業許可書にて証明することとなりますが、研究機構の場合は(特に法人組織以外では)どのように証明するのでしょうか?
回答3.
研究開発センターについて、ご質問別に回答いたします。
@研究開発センターの設立については『外国企業の研究開発センター設立に関わる通知』(外経貿資発[2000]第218号2000年4月18日公布)で規定されております。法人組織としては、外国投資家(外国企業が設立した投資性公司を含む)が投資する、中外合弁・合作・独資企業での設立が可能です。設立の条件としては、同通知第2条にて
・明確な研究開発分野と研究開発テーマがあり、固定した場所を有し、研究に必要な機器設備とその他必要とされる研究条件を満たし、かつ研究開発センターが研究開発に用いる投資は200万米ドルを下回らないこと。
・研究開発センターは専業管理者と研究開発人員を配置し、うち大卒以上の学歴に相当し直接研究開発活動に従事する人員が、研究開発センター総人数の80%を下回らないこと。
と規定しています。
設立手順は省クラスの認可部門(対外経済貿易委員会)にて審査・認可を行います。認可機関への申請に必要な書類は以下の通りです。
1)研究開発の方向、分野、主要任務と実施計画
2)場所、人員及び関係する科学研究条件の情況
3)研究開発に必要な資金の出所、具体的用途、金額、相応の財務予算書
4)投資総額範囲内或いは自己資金で輸入する自家用設備及び関連の技術、付属品、部品、研究開発過程での研究用サンプル、化学試剤のリスト
5)研究開発内容の先進性に関する説明及び研究成果の帰属に関する文書
A法人組織以外では、外商投資企業(投資性公司を含む)内部に設置する独立部門或いは分公司での設立形態をとることができます。設立条件・申請書類は上述法人形態での設立条件と同様です。
B法人組織として研究開発センターを設立する場合、当然その営業許可証・経営範囲が証明となります。外商投資企業内部に設置する場合は、その外商投資企業の営業許可証・経営範囲が証明対象となり、経営範囲に「研究」「開発」が含まれる必要があります。同規定第3条2項(2)にて、企業の経営範囲に「研究」或は「開発」業務が含まれない場合は、契約書、定款を修正し、外商投資企業設立時の認可機関の認可を受けると規定しています。(登記及び追加認定を行う企業の資格認定条件は同規定第2条に準じます。)
手続き内容については、データライブラリーにも「外商投資研究開発センターの設立手続き」がございますのでそちらをご参照ください。
質問4.「高級管理者の任用と解任の条件」
独資企業において、定款で董事・総経理・副総経理の任期と解任・解任の条件について、下記の趣旨で規定することができると考えて宜しいでしょうか?
(1) 董事:任期は設定するが、任期途中でも、出資者が解任を決定すれば、特別な理由が無くても随時解任することができる。
(2) 総経理:董事会が任用する。任期は設定しない。また、董事会が解任を決定すれば、特別な理由が無くても随時解任できる。
(3) 副総経理等の高級職員:総経理が任用する。総経理が解任を決定すれば、特別な理由が無くても随時解任できる。
(3)が可能であるとした場合、会社からの解雇については、労働関連の法規に拘束されると考えるべきでしょうか?
回答4.
独資企業の定款において、董事、総経理および副総経理の任期および解任の条件をいかようにでも決めることができるかというご質問ですが、『外資企業法』および『外資企業法実施条例』のいずれにおいても、これらの条件については、明記されておらず、一義的には自由に規定できると考えてよいでしょう。
但し、実務上独資企業の定款において、董事、総経理および副総経理の任期および解任の条件を規定する場合は、『中外合資経営企業法』および『中外合資経営企業実施条例』や商務部のホームページで検索できる合弁契約書の雛型に定める、董事および高級管理職の任期および解任の条件に倣った方が、審査の面で有利と考えた方がよいと考えます。そこで定められる条件(例えば董事の任期4年など)を満たしていれば、少なくとも認可が取得し易いと考えます。
ややご質問の趣旨からそれるかと考えますが、お考えになる董事および高級管理職の任期および解任の条件が規定できるかできないかを考えるのではなく、もし、実害がなければ、簡単に認可を取得する賢い方法として関連法規や契約雛型をベースに規定されては如何でしょうか。
独資企業を設立する際に、董事や高級管理職に関する規定を定款に反映させて審査部門に提出したが、董事会の構成人数や総経理の競業禁止について、審査部署から細かい指導があり修正のうえ再度提出し直したとの話を伺ったことがあります。
なお、通常合弁企業の定款では、高級管理職の解任は董事会の決定事項になっています。この点、総経理に副総経理以下の解任権限がある場合、上述の通り審査時に問題視される可能性があるのではないかと考えます。
また、高級管理職がその任を解かれることにより、所属した会社との労働契約も解除されるのであれば、労働法の適用を受け、経済補償などを受ける権利を有することになると考えます。
但し、一般的には、これらの高級管理職を日本人出向者が務めることが多く、高級管理職の解任となれば、当該日本人出向者の出向先企業における地位の変更に留まるか、出向契約における出向期間の満了前の帰任になるのではないでしょうか。
質問5.「準備基金と企業発展基金の取り崩しについて」
中国での合弁会社(合資企業)において、準備基金や企業発展基金を取り崩して配当に回すということはできるのでしょうか?
またこの2つの基金について、処分方法はどのように決められているのでしょうか?
回答5.
お問い合わせの件ですが、準備基金は、法定準備金として留保されるのが一般的ですが「中外合弁企業法実施条例」76条2項には「準備基金は合弁企業の損失補填に用いることができるほか、審査認可機関の認可を受けて当該企業の増資、生産拡大に用いることができる」と定めており、「外国投資工業企業勘定科目及び財務諸表」の「勘定科目使用説明」においても「準備基金は、企業に欠損が発生した時、準備金を取り崩して欠損の補填に用いることができる。また認可を受ければ増資に使用できる。」と定めてあります。
また、企業発展基金については「外国投資工業企業勘定科目及び財務諸表」の「勘定科目使用説明」において「技術改造を含む企業の生産発展、固定資産の追加取得および流動資金の増加に用いることができる。また認可を受ければ増資に使用できる」としております。
これら準備基金、企業発展基金を上記以外の目的で使用することはできないと考えます。
なお、ご参考までにNo597、No1332をご覧下さい。
質問6.「上海市駐在員事務所にかかる税金について」
<背景> 当社は製造業ですが、現在上海市に駐在員事務所があります(日本本社の事務所として登記済み)。駐在員事務所の為、収益は発生しませんが経費課税方式にて、営業税と企業所得税を徴収される事になっています。しかし、営業税の方は現在非課税申請中であります。
<質問> 今、その駐在員事務所を香港にある100%子会社の管轄にしようと思っているのですが、この場合どのような登記変更を行う必要があるのでしょうか? また、香港子会社の管轄にした後、日本本社の都合により上海駐在員事務所を利用した場合に、経費を支払わない場合、利益供与と見なされるリスクが発生するでしょうか?
回答6.
上海の「駐在員事務所を香港にある100%子会社の管轄」にする場合、現在の日本の本社が設立した代表事務所の工商登記のみを残して実態をなくすか、または本社の代表事務所の登記自体を抹消する手続きを行い、香港にある100%子会社が代表事務所を設立する手続きが必要になろうかと考えます。一般的には、前者にいう本社の代表事務所の工商登記のみを残し、香港の代表事務所を新たに設立する方法ではないでしょうか。
次に、日本本社の都合で、香港にある100%子会社の代表事務所を利用し、それに関連して発生した経費を支払わなかった場合の問題について、本来なら日本本社が負担すべき経費を香港にある100%子会社が負担していることになるため当然問題になろうかと考えます。
(「投資機構ニュースNo.103」に掲載)
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