投資機構会員ネット・法律税務相談室より(第19回)

 会員ネット内の法律・税務相談室より、皆様のお役にたつと思われる事項を抜粋して紹介させて頂きます。
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質問1.
 弊社では、今回日本から機械設備を輸入し、まずは我々のお客様に"試用"していただく計画がございます。"試用"の結果がよければ、お買い取りいただきますし、買い取っていただけなければ国外に戻します。
 この際、まず"試用期間"について輸入関税が免税になるというような規定はございませんでしょうか。もちろん、お買取りいただければ、その際に関税その他は支払うつもりです。あるいは、初めに関税を支払っておき、一定期間内に設備を国外にもどせば関税が戻るというような方法もあるようでしたら、お伺いしたいと思います。
 あいまいな表現について補足しますと、我々は日系企業で、日本にいる我々からみれば中国に"輸入"ではなく"輸出"の形になります。その際、中国側でまず"輸入関税"がかからずに済む方法はないだろうかという主旨です。

回答1.
 機械の免税輸入についてですが、"試用"において輸入関税が免税になることについて明確に規定している法規は確認できませんでした。展示品という目的であれば『輸入展示品に対する税関の監督管理規則』(税関総署1997年4月1日施行)という規定があり、ここでは展示会に用いる展示品、関連機器・材料の輸入関税の免除が規定されています。
具体的な条件としては
・税関の監督管理の下に税関手続を行う。
・輸入日から6ヶ月以内に再輸出する。
(主管税関の認可の上、最長6ヶ月の延期は可能。)
・展示品が輸入される際に、税金に相当する保証金、銀行又はその他金融機関の保証書等、税関に担保の提供をする。
    等が挙げられます。
 同規則第22条で、「技術交流会、商品展示会又は類似の活動を開催するために輸入する貨物については、税関が本規則の関連規定に従い監督管理を行う」とあり、今回の需要家の試用がこれに含まれるかどうかは非常に微妙です。最終的な解釈権は税関にありますので、管轄する税関に一度相談されることをお勧めします。
 仮に展示品という名目で保税輸入できた場合、それを正式な輸入品に変更する事務手続きについては同規則第14条に規定があり、税関において輸入通関手続きを行い各種税金を払えば国内貨物とする事は可能です。
 最後に、実際に試用品を販売する場合、その輸入・販売者が輸入権・販売権を持っていることが前提となりますのでご注意ください。


質問2.
 製造会社は自社が生産した製品について、中国国内の販売権を所有していますが、自社が生産した製品とはどのように定義されているのでしょうか。
 どの程度以上付加価値を付けなければいけないという基準はあるのでしょうか。

回答2.
 生産型企業における「自社製品」を定義したものについて全国統一的な基準は特にないようです。生産型企業を設立する場合には、F/Sの中で、申請するプロジェクトがどういった製造工程を経てどういった製品を製造するかを示す必要がありますが、そのプロジェクトが主管部門の認可を得て生産型企業として認定を受ければ、そこで製造する製品は「自社製品」と定義できるかと思います。
 ここで問題となる生産型企業としての認定基準ですが、梱包やラベル貼りだけではおそらく認定を受けるのは無理だと思いますが、それではどの程度の加工、或いは製造を行えば認定を受けられるかについては、実態として認可部門の裁量に任されているようです。「付加価値を××%付けること」を一つの基準としている地域もあるようですが、実際には地域によって認定基準に相当違いがあるようです。中国側も外資導入が必要なため、ほとんど付加価値が付かない場合でも無理をして生産型企業として認定している例もあると聞いています。
 また生産型企業として認定を受けた後、その生産型企業の工程の一部だけを通過して「自社製品」として販売しようとした場合(たとえば生産型企業で工程A→B→Cを経て製品を製造することで認定を受けたが、一部製品については、その生産型企業が工程Cに使用する半製品を輸入し、実際に工程Cしか通さなかった場合)、当局から指摘を受け、罰金を支払った例も聞いておりますので、自社での製造品が中国でいう「自社製品」の定義にあたるかどうかは、たえず当局に確認をしたほうが確実だと思われます。


質問3.
 (前提)
1.A社およびB社は共に外資独資の在中国製造現法。A社は現在設立準備中。
2.A社は、B社の敷地(払下げ地)内に、A社仕様の工場建物をB社に建設してもらい、当該建物と土地を賃借して操業したい。A社の設立登記場所はB社所有の当該敷地内。
3.A社はB社に対し、B社に建設してもらう工場建物の賃借料20年分300万米ドルを一括前払いで支払う。さらにA社は別途B社に対し土地使用料2,000米ドル/月を20年間支払う予定。
(質問)
1.製造現法であるB社が不動産の賃貸行為を行うことは、B社の製造会社としての経営範囲を逸脱することにならないか?
2.A社がB社所有の敷地内に現法の設立登記を行うことは問題ないか?
3.B社がこの土地に抵当権を設定してそれが実行された場合は、土地建物不可分の原則によって工場建物も処分の対象となるリスクがあると考えるべきか?
4.工場建物賃借料20年分の一括払いが、A社のB社に対する貸付行為(違法)とみなされる懸念はないか?

回答3.
 弁護士にも確認いたしました。各ご質問に即してコメントを申し上げたいと考えます。
1.法的には、ご指摘の通り、経営範囲外による違法の問題を生じます。しかし、実務上類似スキームの実例は結構あり、工場の賃貸がB社の主要業務にならなければ問題視されることはないようです。具体的には、B社の売上の50%に達しないならば許される、といったアドバイスが国際会計事務所からなされることもあるとのことです。
2.工商登記時に提出を求められる賃貸借契約を提出すれば、設立登記は可能と思います。但し、工商登記上の要求として貸主の賃貸資格を証する書面の提出が求められたりすることがあり、そのような場合にはB社には当然そのような書面がないので困ることになる可能性があります。従って、上述の経営範囲の問題が顕在化する可能性はやはり否定できないこととなりますので、本件スキームを進められる場合には関係する経貿部門、工商部門に事前相談をされることが必要ではないかと思います(大規模なので)。
3.本スキームでは土地建物はいずれもB社名義で登記されますので、土地建物不可分原則には抵触しません。また、賃借は売買を破るという原則(契約法第229条)により、賃借権は抵当権の権利行使に対抗することができます。但し、賃借権の登記を完了しておくことは必須です。
4.ご指摘のリスクも全くないとはいえません。しかしながら、契約において、工場建物の賃貸借代金の一括払いという位置付けを明確にしておけば、違法な企業間貸付にあたるとみなされるリスクは低いといえるでしょう。賃貸借という経済的実態が存在している以上、その代金の前払いスキームは契約自由の原則の範疇に属し、適法と判断しても良いと考えます。


質問4.
 ある日本メーカーが上海に近郊にある自社工場に原材料である紙を輸出し、当該紙を加工した製品を日本に輸入しています。
 ところで、2003年8月から当該原材料の紙はダンピングの対象になるとの情報がありました。但し、再輸出の原材料であればダンピングに関わる関税が免除されるとの情報もありますが、この情報は正しいものでしょうか? 間違いなければ、法的根拠をご教授願います。

回答4.
 確かに、ご指摘の通りアンチダンピング課税対象品であっても、再輸出されるものは、課税対象外になるとの運用がなされているようです。
 但し、明確な根拠規定はなく、代わりに「中華人民共和国アンチダンピング条例」(2002年1月1日施行)を踏まえた運用に過ぎないと捉えるべきだと考えます。
 すなわち、当該条例第2条によれば「輸入製品がダンピング方式により中国市場に導入され、かつすでに確立された国内産業に実質的損害をもたらす、もしくは実質的損害をもたらす恐れのあるもの、または国内産業の確立に対し実質的な妨害を構成する場合、本条例の規定に照らして調査を行い、アンチダンピング措置を取る」と規定しており、再輸出される対象製品が「中国市場に導入され」、「損害」が発生しうるかが問題になってくるものと思われます。
 これに関連して、2001年12月6日に公告された、輸入ポリスチレンへのダンピング調査についての仮裁定(「中華人民共和国対外貿易経済合作部公告2001年第13号」)では、ダンピング調査の対象となるポリスチレンをタイで生産する企業が、中国向ポリスチレンは全量加工貿易に輸出されていると説明し、この説明を採用して、対外貿易経済合作部は対中輸出されたポリスチレンを排除処理する旨が記載されています。しかしながら、これはダンピング調査のデータから排除されたに過ぎず、この企業に対しては他の企業のデータが適用されていることに注意する必要があります。
 これとは別に、元々アンチダンピング税が保税輸入品に賦課されうるかという問題がありますが、これも明確な規定がありません。一般関税の賦課の対象とならない製品に対して、アンチダンピング税という特殊関税も賦課しないという論理に則り運用しているようです。
 なお、本件については、スレッドNo.775もご参考にして下さい。

(質問5,6省略。全文は「投資機構ニュースNo.97」に掲載)

 

 

以上