投資機構会員ネット・法律税務相談室より(第16回)

 会員ネット内の法律・税務相談室より、皆様のお役にたつと思われる事項を抜粋して紹介させて頂きます。
 なお、当機構会員の方でまだ会員ネットにご登録されていない方がいらっしゃいましたら(ご登録は無料です)、ぜひともご登録いただき、どんどんご質問をお寄せ下さいますようお願い致します。
トップページの「未登録の方はこちら」ボタンからユーザー登録を行った上でログインしてください。
※通知した企業別ID、パスワードではログインできません。

質問1 保税区の貿易型企業に対する所得税優遇の撤廃について


広州保税区で2003年から保税区にある貿易企業に対して所得税の優遇措置をなくすという話を聞いたのですが、何か情報はございますでしょうか。また、その他保税区でも同様の動きはあるのでしょうか。

回答1:
 本件については2003年3月初旬に各地の保税区でヒアリングを行いましたので、その内容を回答させていただきます。

 広州保税区管理委員会(現在は広州経済開発区管理委員会と合併)の話によると、保税区内の非生産型企業については、15%の軽減税率を2003年1月から撤廃し、一律33%とすることになったそうです。大連保税区では既に2002年の所得税から同様に15%の軽減税率を撤廃し、これも33%にした模様です。以前より中央政府の規定を超える地方政府独自の優遇措置は認めないという発言が国家税務総局等から聞かれていましたが、今回の措置はこの方針に沿ったものといえると思います。
 その他から同様の変更があったとは聞いていませんが、上海外高橋保税区は浦東新区としての優遇税制は今のところ変更がなく、元々経済特区内にある珠海保税区についても変更はないとのことでした。経済特区内にある企業は非生産型企業でも15%の軽減税率を受けられるというのは、「外商投資企業及び外国企業所得税法(1991年4月9日公布、7月1日施行)に規定されており、この意味で同じ保税区でも経済特区内にある深セン福田、塩田、沙頭角の各保税区、汕頭、厦門、海口保税区については同様に変更はないものと考えられます。それ以外の天津(「天津保税区の税収優遇に関する若干の規定(1991年10月11日公布)」により地方税3%は免除する規定あり)、青島、張家港、福州、寧波保税区についても、現地の管理委員会や進出企業に状況を聞きました。まとめると次のようになります。

天津
優遇措置は継続している。所得税については一旦30%を国に納めた後にその時の地方財政の状況により補助金を出している。その時々で15%であったり、7.5%であったりする。企業の規模によっても違いが出ることがある。
青島
今のところ優遇措置について変更はなく今後も変更の予定はない。
張家港
2002年に既に優遇措置は撤廃している。
寧波
天津と同様優遇措置は継続しているが、税金の還付率についてはその時々の市政府の判断により異なっている。
福州 
2002年の下半期より優遇措置は撤廃された。


問2 再投資に伴う外国投資者への企業所得税還付ついて

 国税発[2002]90号にて、外商投資企業の税引後利益を配当せず再投資に回す場合、外国投資者に再投資の税還付を行う旨の通知が出されていますが、具体的にはどのような形で税還付を実行することになるのかよく分かりません。外国投資者に対外送金をするようなことがあるとも思えず、還付相当額も再投資金額として処理することになるのでしょうか。なお、税金還付方法としては、外商投資企業が既に支払った企業所得税が一旦この外商投資企業自身に還付され、それを外国投資者に国外送金するという理解でよろしいでしょうか。

回答2:
 外国投資者が出資した外商投資企業の税引後利益を配当せず再投資に回す場合、配当年度に納付した企業所得税の40%あるいは100%が外国投資者に還付されますが、これは外国企業所得税法10条、同実施細則80条〜82条に規定されています。国税発[2002]90号は「外国投資者の再投資企業所得税還付の関連問題に関する通知」で、この運用を規範化したものです。

 ご質問の還付された税の国外送金については、規定上は送金可能です。外貨管理局の「非貿易售付匯及境内居民個人外匯収支管理操作規程(試行)的通知」(匯発[2002]39号)の目録の13(外商投資企業)に「外商投資企業外方人民幣利潤再投資退税款售付匯」という項目があり、ここに送金に必要な書類、審査方法が明記されています。(この通知はデータライブラリーには入っておりませんが、外貨管理局のホームページ http://www.safe.gov.cn/law/law299.htmに中文原文がありますのでそちらをご覧下さい。)

 現在中国で商標登録申請を行っておりますが、商標登録の手続きが終了する前に、上記国内販売を行うことについて、問題はありますでしょうか?(商標登録終了しなくとも販売は可能ですか?)その商標登録は「手続完了迄に少なくとも3ヶ月、長くて1年必要」と 商標登録申請を行う事務所から言われております。これは事実でしょうか?また、1年かかったとしてその効力は申請日に遡って発生するなどの保護措置はあるのでしょうか?

 具体的には、還付に必要な書類として、書面申請書、会計事務所が発行する関係年度の利益・配当・特別配当の状況についての監査報告書、会計事務所が発行する企業検証報告、外商投資企業の利益・特別配当(紅利)に関する納税証明、税務局が発行した税還付の許可文書、外経貿部門が発行した再投資に関する許可回答書、外貨管理局が批准した再投資に関する許可回答書、税務証憑書類、となっており、審査方法としては原則書類審査のみとなっています。 また、税金の還付方法ですが、国家税務総局に確認したところ、「還付方法に関する規定は特に定めていないが、外商投資企業の口座に振込み、そこから配当と同様に国外投資者に送金することも可能」との見解を得ました。


問3 工事事務所の税務

(1) 中国に設立した工事事務所が、建設用機械を現地、或いは外国で購入して工事に使用した場合、その建設機械の減価償却費は税務上、工事事務所の所得から控除可能でしょうか。控除可能な場合、どのような条件、計算式で控除額が決められますでしょうか。
(2) 中国、あるいは外国から建設機械のリースを受けた場合、そのリース料は税務上、工事事務所の所得から控除可能でしょうか。控除可能な場合、何か特別の条件はありますでしょうか。

回答3:
 現行規定「在中国境内承包工程的外国企業資質管理暫業弁法」に基づき、外資企業が中国で工事を請負う場合、工事事務所は恒久的施設(PE: Permanent Establishment)と見なされます。そして、一般にPEに対する課税方式には「推定利益課税方式」が採用されます。ゼネコンへのヒアリングによれば工事事務所の場合、所得から控除される費用は主要な外注費のみで、建設機械の減価償却費、リース料は所得から控除されないようです。また、ゼネコンは建設機械を直接には購入せず、外注先に購入させるのが一般的だとのことです。尚、2003年10月1日から施行される「外商投資建築業企業管理規定」に基づき、外国の建設会社が中国で工事を請負う場合、現地法人化が義務付けられることになりますが、その後の課税方式については現在明確になっていません。



以上