保税区調査レポート

I.はじめに
 中国は2001年12月にWTOに加盟し、貿易・流通分野での開放スケジュールを明らかにした。その中で貿易権(対外輸出入権)については、全ての外商投資企業に対し3年以内に付与することを約束し、流通権(国内販売権)については出資制限の開放スケジュール等を提示しているが、その具体的な開放内容は約束していない。このため実際の開放にあたっては、企業の設立要件や取扱品目等において高いハードルを設け、実質的な制限を残すのではと懸念されている。貿易権開放スケジュールに沿って2003年3月2日に施行された「中外合弁対外貿易公司設立に関する暫定弁法」も、未だ最低資本金5千万人民元(中西部は3千万人民元)、親会社の年間輸出入実績直近平均3千万ドル(中西部は2千万ドル)等の厳しい設立要件を求めている。
 その一方で、保税区においては既に独資による貿易会社、販売会社の設立を実質的に認めており、実際に多くの日系企業が進出している。但し、根拠となる規定が曖昧で、現場では経営範囲や関税・増値税の取り扱い、外貨送金上の制約等多くの分かりにくい問題が発生しており、当機構にも多くの保税区に関するご質問が寄せられている。そこで事務局では、2001年11月に深セン福田、2002年4月には天津・青島、2003年3月に大連、上海、広州、珠海の各保税区の調査を行い、保税区での実際のオペレーションと各保税区管理委員会の考え方についてヒアリング調査を行った。
 本レポートでは、これら調査結果を元に、各保税区の基本的な業務を概観した上で、実務上問題になっている点をテーマ毎に解説している。但し、保税区管理規定は必要最低限の規定に過ぎず、保税区の運用は各保税区が独自に行っている部分が多いため、本レポートで報告する内容も法的な根拠に乏しいものが多い点はあらかじめご了解いただきたい。実際の進出時には、今後運用が変更される可能性があることに充分留意し、再度管理委員会や既に進出されている企業の皆様へのヒアリングを行って、F/Sを実施することをお勧めする。本レポートが、分かりにくい各地の保税区オペレーションの理解にあたり、少しでも皆様のお役に立つことを願っている。


II.保税区の機能

中国の保税区は、自由貿易区と輸出加工区の機能を有し、保税保管、中継貿易、輸出加工等を促進し、企業の事業範囲、貿易管理、関税、外国為替等において、他の地域と比較して外資に対する政策を弾力的に適用している。当初中国政府は、保税区を中国の輸出基地にしたいとの狙いがあったとみられるが、実態は外国製品の輸入基地としての活用が多くなっている。      
また、一般地域で厳しく規制されている輸出入貿易、国内販売のみを行う会社の設立が、保税区では実質的に可能であることから、これらの業務を行う貿易型企業(以下、保税区内貿易企業)の設立が、近年増加している。
以下本レポートでは、保税区内貿易企業を中心に報告する。
1.上海外高橋保税区 2.天津港保税区 3.深セン沙頭角保税区 4.深セン福田保税区 5.大連保税区 6.広州保税区 7.張家港保税区 8.海口保税区 9.厦門保税区 10.福州保税区 11.青島保税区 12.寧波保税区 13.汕頭保税区 14.深セン塩田保税区 15.珠海保税区


(以下は「投資機構ニュースNo.94」に掲載)

 

データインデックスへ