2.自動車市場と産業政策の動向
(1)自動車市場概況
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生産台数
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対前年比 |
販売台数 |
対前年比 |
| トラック
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764,005
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101%
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774,901
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103%
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| バス |
700,387
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138%
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700,988
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137%
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| 商用車合計 |
1,464,392
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116%
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1,475,889
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117%
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| 乗用車 |
604,677
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107%
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612,737
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107%
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| 合計 |
2,069,069
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113%
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2,088,626
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114%
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| 出所:「中国汽車工業総合分析」 |
2000年の自動車生産台数は207万台(対前年比113%)、販売台数209万台(同114%)となり、初めて生産、販売台数ともに200万台を超えた。販売台数ではバスが70万台と前年比37%増で市場拡大の牽引役となった。バスは都市内、都市間交通の手段として利用されており、道路の敷設拡大に伴ない販売台数を伸ばしてる。特に近年、高速道路建設が急ピッチで進み、高速安定性能に優れるマイクロバスの需要が高まっている。余談だが、中国の高速道路の総延長は約1万6000kmにも達
しており、米国、カナダに次いで世界第三位の距離と言われている。現在でも他国に類を見ないハイペースで高速道路を整備しており、カナダを抜くのは時間の問題である。2001年年2月には北京と上海を結ぶ総延長1,278kmの「京滬高速道路」が全線開通し、両都市間を11時間で移動できる。
2000年の乗用車販売台数は61万台と前年比7%増となった。中国では従来、乗用車は公用車、タクシー用途などの業務用車両が中心であったが、最近は都市部を中心に個人ユーザーが着実に増加しており、北京、広州、上海等の沿海部大都市では個人ユーザーの購入率が50%を超えていると言われている。97年住宅産業を支柱産業とする政策が打ち出されたことで、個人の住宅購入が加速した。個人の住宅保有率が高水準に達した後は、購買対象は、乗用車に向かうと予想され、今後乗用車の個人ユーザーはますます増加する。また、自動車ローンの整備が個人の購入を後押しすると見られる。本年10月「機動車登記弁法」が施行され、自動車の抵当権登記が明確にされたことも、今後の自動車ローン普及への弾みになると思われる。
乗用車の販売が拡大した理由の一つに、品質、性能面で輸入乗用車に対抗できる国産車が相次いで販売されたことも挙げられる。ここ数年上海GMのビュイック、広州本田のアコード、上海VWのパサート、一汽VWのアウディA6が市場に投入され、中・高級グレードの乗用車市場が拡大している。従来、輸入車が担っていたこの市場で品質、性能面でも十分に輸入車に対抗できる国産乗用車が現れてきたことは、WTO加盟後の自動車市場にも影響を与えると見られる。
蛇足になるが、農用車(三輪車・四輪車)と呼ばれるカテゴリーがあり、自動車の生産台数には含まれていない。農用車は年間300万台生産されており、農業大国中国を支えている。時速50km以下のスピードしか出せず、都市への乗り入れが規制されている。
(2)産業政策
・「自動車工業十次五ヵ年計画」の発表
国家経済貿易委員会は、2001年6月「自動車工業第十次五ヵ年計画」を公表した。第十次五ヵ年計画期間(2001〜2005年)は、中国自動車産業の発展を左右する重要な5年となり、WTO加盟はこれまでにない試練であるとともに発展の絶好のチャンスとしている。これによると、2005年時点の自動車生産台数は310万台、うち乗用車110万台を目標にしている。部品も含めた産業全体の生産額は1300億元、GDPの1%を占める規模に高める。排気量1300cc以下で価格が8万元台のエコノミーカーを投入し、マイカー市場の拡大を図るとしている。また、第一汽車、東風汽車、上海汽車を中心とする業界再編を加速するとしている。但し、政府関係者のコメントによると、業界再編を政府主導で強制的に行う考えはなく、あくまでもメーカー同士の自由意思による行動が前提で、政府は提携、合併等の調整や誘導を図る姿勢。
また、部品産業については、中国は既に自動車部品の一定の基礎と生産量を確保し、労働集約型、材料集約型は一定の強さを持っており、今後も継続して強化するとしている。今後の部品産業の重点はABS、エアバック、三元触媒などのハイテク製品を発展させることとしている。
同計画では、WTOのルールに基いて94年に公布された「自動車工業産業政策」の改訂、外資導入のガイドラインとなっている「外国投資産業指導目録」の見直しにも触れており、
今後の具体的な政策、法規の公布を注視する必要があると思われる。
同計画では下記の通り2005年の自動車の保有台数と需要予測台数も示している。
| 2005年自動車の保有台数と需要台数予測】単位:万台
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| 項目 |
総台数
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乗用車
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バス
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トラック
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| 保有台 |
2,465〜2,545
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830〜870
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830〜870
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865〜885
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| 需要予測 |
310〜330
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110〜120
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105〜110
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95〜100
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・「自動車消費政策」の策定
国家計画委員会は、乗用車の個人購買拡大を図るための「自動車消費政策」を策定している。詳細は明らかにされていないが、購入時の税金や各種維持費の削減を柱にしている。また、新政策は、今後主流となることが予想されるエコノミーカーや低燃費車の購買を優遇している。この政策の実施が個人の乗用車購入の促進につながり、モータリゼーション到来が早まることを期待している。
3.WTO加盟と自動車産業への影響
(1)輸入車との競争激化
WTO加盟で最も影響を受ける産業の一つが自動車産業と言われている。中国科学院国情研究センター胡鞍鋼主任は、「鉄鋼、化学、自動車などの装置産業や開放の遅れた産業の70〜80%の企業は淘汰や合併などによって数年で市場から消える」と推定している。既に自動車市場ではWTO加盟の影響が出始めており、2001年直近の国産乗用車市場は、WTO加盟後の値下げを期待して消費者が買い控え、販売が伸び悩んでいるとの報道も出ている。
中国の国産自動車は、現在、輸入車への高関税と輸入数量制限の保護を受けており、輸入車との本格的な競争は存在しないに等しい。WTO加盟後は関税の引き下げ、輸入数量制限の段階的な撤廃等から激烈な競争が避けられなくなり、自動車産業の競争力強化が焦眉の課題になっている。
| 【WTO加盟合意内容(自動車関連)】 |
| 項目 |
合意内容
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関税
・完成車(乗用車)
・自動車部品
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100%〜80%の税率を2006年7月までに25%まで引き下げる。
2006年までに平均10%に引き下げられる。
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輸入数量制限
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輸入数量制限は2005年までに廃止。それまでの間、割当数量は60億ドルから年率15%の割合で拡大される。
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その他
・生産モデルの選択
・認可金額の制限
・エンジン製造
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生産タイプ、モデルの規制は加盟2年後に撤廃。
150百万ドルまでの投資については地方政府の認可で可能。(従来は30百万ドル)
加盟時に外資100%出資が可能。(従来は50%) |
| 流通分野 |
加盟後3年以内に卸売業、小売業については地域制限、店舗数、外資比率制限を撤廃。
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輸入関税が、2006年7月までに25%に引き下げられ、輸入数量制限も2005年までに撤廃されることが決まっている。これにより中国市場で輸入車の大量販売が可能になり、且つ、流通分野への参入も可能になることから、販売、アフターサービスの分野でも輸入車の優位性は相対的に高まってくる。中国のマスコミでは関税引き下げの影響を特集で取り上げることが多く、WTO加盟後の国産乗用車の先行きを悲観する記事も少なくない。しかしながら、主要な海外メーカーのほとんどは、既に中国で生産拠点を持っているため、国産車と輸入車のそれぞれのメリット、特徴を活かした販売戦略を行うと考えられる。例えば量販車は優位性を活かして中国で生産を行い、高級車、スペシャリティカーを輸入車で補い、自社ブランドの商品ラインナップを揃えることも考えられる。
従来、自動車メーカーは生産する車両のタイプ、モデルについては、事前に当局の許可を得る必要があったが、加盟2年後はその規制が撤廃され、商業ベースで生産タイプ・モデルを決定できる。この規制撤廃により、ユーザーの求める製品を自社の経営戦略の中で自ら決定できることになり、今まで以上に経営資源をマーケティングに投入する必要が出てくると思われる。また、エンジン製造も外資の出資制限が撤廃されることにより、外資の独自性を保った経営が行ない易くなる。
(2)WTO加盟と自動車産業政策
国家経済貿易委員会が公表した「自動車工業の第十次五ヵ年計画」は、WTO加盟による自動車産業への影響について次ぎのように分析している。
WTO加盟により、自動車工業は関税と非関税の二重の保護を失うと、規模が小さく、コストが高く、技術レベルが立ち遅れている企業の生き残りは難しくなる。従い、国内の自動車工業が再編を行うことは大勢の赴くところと言える。続いて現在の問題点を列挙している。
[1]経済的規模を形成していない。国内最大の乗用車メーカーの年間生産台数でさえ中レべルの外国乗用車メーカー1社の生産規模に及ばない。
[2] 生産性が低い。外国大手乗用車メーカーの一人あたりの乗用車年間生産台数は約20台であるが、中国は10台足らずである。
[3]開発能力が低い。国内の乗用車メーカー大手8社では数十種類のモデルを生産しているが、「純国産」は2種類しかなく、残りはいずれも海外からの導入モデルである。
[4]品質面における競争力がない。国内で現在生産されている数十種類の乗用車の中では、外国の80年代のモデルがほとんどである。完成車開発能力を備えていない状況のもとでは、品質面の競争でも劣勢に立たされる。
[5] 価格が高い。サンタナは国際市場では9000ドル以下で販売されているが、国内市場での販売価格は11万元で、約3万元も高くなっている。
上述の通り中国政府は、海外の自動車メーカーとの比較を行った上で、自動車産業が抱えている問題点を冷静に分析し、競争力のないメーカーが淘汰されることも已む無しとしている。一方、WTO加盟を自動車産業の構造改革につなげ、国際競争力を向上させる好機ととらえている。具体的には第一汽車集団、東風汽車集団、上海汽車集団の大手メーカーを主体として、産業の構造を改善して規模の経済を実現させることを挙げている。また、労働・地価コストなどの比較優位性を発揮して、部品産業の国際競争力を高め、グルーバルな部品調達のシステムに参画させることを目標にしている。
(3)中国自動車産業の今後
WTO加盟が中国自動車産業に大きなインパクトを与えることは間違いない。加えて、現在世界の自動車業界再編の影響を大きく受けることも避けられない。既にほとんどの外国メーカーが中国内の複数企業と提携関係を持っている。各社とも限られたリソーセスを有効活用するために、今後ますますグループとしての総合力を発揮することになり、中国の自動車メーカーの再編にも大きな影響を及ぼすものと見られる。中国政府も国境を超えたアライアンスが世界の潮流となっていることは認識しており、勝組の外資と協力して自動車産業の強化を図ることを明確にしている。
中国の自動車産業も家電、二輪車と同様に、近い将来国際競争力をつけて輸出が増加していくのか。また、日本の自動車メーカーの脅威と成りうるのか。乗用車は現段階では、海外メーカーとの開発技術、品質、価格については圧倒的な差が開いており、中国国産ブランドの乗用車が市場を開拓することは容易なことではない。さらに乗用車の安全技術、環境、省エネルギーの技術は日新月歩で進んでおり、中国の自動車、部品メーカーと海外メーカーとの技術格差が拡大していることは事実であり、中国政府も彼我の差を認識している。しかしトラックを見てみると、「解放」、「東風」の国産ブランドは、価格競争力もついており、既に東南アジア諸国、アフリカ諸国に輸出を行なっている。自動車部品は、外資系の部品メーカーを中心に欧米、日本他への輸出を行っており競争力も高まっている。中国政府も比較優位性も発揮して、先ず部品産業の国際競争力を高め、世界の自動車部品メーカーにおいてメインプレーヤーになることを重点目標に挙げている。
WTO加盟後、外資との提携、自動車産業の構造転換が成功すれば、自動車部品は勿論のこと、将来的には商用車さらには乗用車においても輸出競争力が高まって来ると思われる。
(嶋原信治)
参考資料(【2000年主要メーカー生産・販売台数】、【2000年主要モデル生産・販売台数】 、【輸送機器製造中国進出企業】)のPDFファイルはこちらからダウンロードしてください。
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