外資系企業のチェーン店舗展開

はじめに
 WTO加盟を契機に、中国市場をターゲットにしたサービス分野での進出がクローズアップされています。背景には中国が大きく遅れているサービス分野では、日本を始めとした先進国の進んだノウハウを持ち込むことで、中国市場において大きなチャンスを掴むことができるのでは、との強い期待があるようです。
中でもチェーン店舗を展開して、優良で均質なサービスを安く広く提供することで顧客の支持を得、一定のブランドを確立している形態(カテゴリーキラーと呼ばれる各種専門店やコンビニ、100円ショップ等に代表される小売店、ファミリーレストランやファーストフード等の飲食店、フィットネスクラブ、美容院、塾・学校、アミューズメント施設等々)は、これまでの中国にはないノウハウが蓄積されており中国進出成功の可能性も高いと考えられます。実際こういった企業が中国進出するといったニュースをよく耳にしますし、当機構への相談も増えてきました。

 しかしながらサービス分野の対外開放は、WTO加盟議定書で開放スケジュールが約束されているものの、その具体的な条件や手続き等は不透明な部分が多く、一方では従前の規制が有効であるため、実際の事業展開においては未だ制約が多いのが現状です。また実際に店舗を展開していくにあたっては、会社設立とは別に注意すべき事項がありますが、その具体的な方法や認可手続きについても様々なことが言われており、整理された情報は少ないと感じておりました。
このような状況を踏まえ、事務局では12月中旬に各地方(北京、上海、大連、青島)の政府機関及び進出企業を訪問し、外資系企業のチェーン店舗展開における具体的方法と許認可手続き及び実際の状況を調査しました。

 なお、チェーン店舗を展開して事業を行う業態は多岐にわたっていますが、今回の調査対象は実際に進出事例が比較的多く代表的な業態である小売と飲食店に焦点を絞っています。小売については小規模な店舗をチェーン展開する専門店やコンビニを対象にしており、百貨店等の大型商業施設は対象から除外しました。

 本レポートでは、前半で小売、飲食店それぞれの外資参入規制と店舗展開の方法、許認可等について紹介し、後半で店舗展開方法の比較検討、現状の問題点について説明します。

1. 外資参入規制


○ 外資系企業の小売は、自社製造製品の小売(販売)は可能だが、他社製品を仕入れて小売(販売)することは規制されている。後者は、依然「外商投資商業企業試点弁法」に規定されている進出要件が厳しく、限られた外資企業以外の参入は難しい。
〇 飲食店は許可類。総投資額3,000万ドル未満の場合は地方政府の認可であり、独資での進出も中央政府の規定では否定されておらず原則可能である。但し地方によっては独自の基準により規制している例がある



小売業の外資参入規制

 中国国内販売を議論する場合、自社製造製品を販売する場合と他社製品を仕入れて販売する場合とを明確に区別する必要があります。小売の場合も例外でなく、自社製造製品の小売は可能ですが、親会社やグループ会社の製品であっても他社製品を仕入れて販売する小売業は規制されています。
小売業の開設については、昨年4月の「外商投資産業指導目録」改定時に、基本的に奨励類(制限類に個別に列挙されている以外)に変更されました。但し外資系企業の中国国内小売(販売)参入は、「外商投資産業指導目録」の分類とは別に「外商投資商業企業試点弁法」で個別に規制されており、具体的には登録資本金額、外資出資割合、親会社である外国企業と中国企業の規模や売上等の要件が厳しく、実質的に外資の参入が制限されています。WTO加盟時の約束では、これらの規制を徐々に開放していくことを謳っており、現在「外商投資商業企業試点弁法」も改定中で近々公布される見込みですが、現時点では現行の「外商投資商業企業試点弁法」で規定される条件でしか設立が許可されません。

 以前は地方政府が独自に外資系小売企業を認可する例が多くありましたが、中央政府が整理・指導に乗り出し、現在では「外商投資商業企業試点弁法」に違反するような外資系小売企業は認可されていないようです。少なくとも今回ヒアリング調査した4都市においては、直近で外資系小売企業を認可した実績はないとのことでした。因みに中央政府から指導があった地方政府認可の外資系小売企業は、概ね現状追認の形で中央政府の認可を得ているとのことです。

外商投資投資商業企業試点弁法の概要(小売業)

登録資本 ・ 5000万元以上(中西部は3000万元以上)。
出資比率 ・ 3つ以下の分店を開設する商業企業、及びコンビニ・専門店・専売店の場合、中国側出資比率は35%以上。
・ それ以外は中国側出資比率51%以上。
・ 但し国内調達比率が高く、輸出拡大が可能な企業については国務院の認可後、外国側の出資マジョリティーが許可される。
申請資格(外国企業側) ・ 申請前3年の年平均商品売上高20億米ドル、かつ申請前1年の資産額2億米ドル以上。
申請資格(中国企業側) ・ 申請前1年の資産額5000万元以上(中西部は3000万元以上)、かつ商業企業の場合、申請前3年の年平均売上高3億元以上(中西部は2億元以上)、対外貿易企業の場合、申請前3年の年平均自営輸出入額5000万米ドル以上(内輸出が3000万ドル以上)。
経営期間 ・ 30年を超えない(中西部は40年)。
経営範囲 ・ 商業小売(代理販売、委託販売を含む)経営。
・ 国内製品輸出業務の組織化。
・ 自営商品の輸出入業務。・ 関係する附帯サービス経営。
許可地域 ・ 省都、自治区首府、直轄市、計画単列市、経済特別区。
分店 ・ 中外双方の直接投資及び直接経営の直営チェーン形式に限る。
その他制限 ・ 商品輸出入代理業務は禁止。
・ 年度商品輸入総額は当該企業の当該年度商品売上高の30%未満。
許認可手続き @中国側企業が試行地区の経済貿易委員会にFSおよび関係文書を提出。
A地区経済貿易委員会が国内貿易主管部門と共同で所定の手続きに従い国家経済貿易委員会に報告。
B国家経済貿易委員会が対外貿易経済合作部の意見を求めた後に審査認可する。
Cその後試行地区の対外経済貿易部門が所定の手続きに従い対外貿易経済合作部に対し契約及び定款を提出、対外貿易合作部が契約、定款を審査許可。
Dその後、認可を取得した合弁企業は国の工商行政管理部門で登録登記を行う。

WTO加盟議定書(小売)
地理的制限 @ 外国サービス提供者はJ/V形態でのみ、5つの特別経済地域(深セン、珠海、スワトウ、アモイ、海南)及び6つの都市(北京、上海、天津、広州、大連、青島)において、小売サービスを提供することが可能。また、当該J/V小売業は、北京と上海に4社、その他の都市・地域では2社が参入可能。北京に設立される4社のうち2社は、北京に支店を開設することが可能(現状)。
A 加盟時に、上記都市・地域の他に鄭州、武漢にJ/V小売業が設立可能。B 加盟後2年以内に、全ての省都及び重慶、寧波を開放。
C 3年以内に、地理的制限を撤廃。
規制品目の緩和 加盟後1年以内に、書籍、新聞、雑誌の小売が可能となり、加盟後3年以内に、薬品類、害虫駆除剤、根覆い用フィルム、製油の小売が、加盟後5年以内に化学肥料の小売がそれぞれ可能。ただし、タバコは、小売の対象外。
外資制限 @ 加盟後2年以内に、外資マジョリティが可能。
A 3年以内に、外資出資比率、店舗数等の外資制限が撤廃される。ただし、自動車販売(加盟後5年間)及び上記制限品目、付属書2Aの品目を取り扱う30店舗以上のチェーンストアについては外資マジョリティは不可。
製造現地法人の小売 外国資本企業は、加盟時より、中国国内で製造した製品を販売することが可能であるとともに、取り扱った製品のアフターサービス等の関連サービスを行うことができる。
越境取引 越境取引については、通信販売(郵便による)以外は約束しない。
フランチャイズ 加盟後3年以内に、全ての制限がなくなる。

以下は「投資機構ニュースNo.91」に掲載

 

 


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