中日投資促進委員会会長 薄煕来 (商務部 部長)
尊敬する豊田章一郎会長、ご来場の皆様、こんにちは。本日、東京での合同会議に出席できることを大変うれしく思っております。
1990年に日中投資促進機構と中日投資促進委員会(以下、「両機構」)が設立されて、日本側の会長は三代目です。初代は池浦喜三郎先生であり、二代目は新日鐵の齋藤裕先生、そして三代目が豊田章一郎先生です。中国側は沈覚人(副部長)、呉儀(部長)、石広生(部長)、呂福源(部長)、そして私本人と、すでに五代目となります。
16年来、両機構は投資チャネルの開設、情報サービスの整備などの面で、大量の実務的作業を積み重ねてきました。ここで私は中日投資促進委員会を代表して皆様に衷心より感謝申し上げます。今回の会議を中国は大変重視しております。すべての会員企業は重要なポストの人間を派遣し、会議に参加しております。先ほど豊田会長に説明申し上げました、国家発展和改革委員会、鉄道部、交通部、労働和社会保障部、人事部、国土資源部、中国人民銀行、国有資産監督管理委員会、国家工商総局、国家質検総局、国家税務総局、中国貿促会、中国工商聯、また、外為管理局などといった関係の政府機関の重要な責任者も、今回の会議に参加しております。
同時に中国の江西省、湖南省も中部地域の代表として、また陝西省、四川省は中国の西部地域の代表として山東省は沿岸地域の代表として副省長を派遣して本日の合同会議に参加しております。この顔ぶれからも分かりますように、中国の機関および重要な企業は両国の経済貿易協力の関係に対して注目しております。両国の国交正常化34年の歴史は2つの根本的な変化を物語っております。
一つには経済協力は小さい規模から大きい規模に発展し、お互いに重要な貿易パートナーとなりました。中国側の統計では、1972年の中日貿易総額は10.4億米ドルしかなかったのですが、昨年2005年は1,844.5億米ドルに達しました。34年間で178倍にも増加したのです。2005年の1ヶ月間の中日貿易総額は、1990年1年間の貿易総額にあたります。
現在中国は日本の2番目の貿易パートナーであり、日本は中国の3番目に大きい貿易パートナーとなっております。日本の対中投資は1982年には1.7億米ドル、2005年には65億米ドルに達し、累計では既に540億米ドルを超えております。両国の人的往来は1972年には1万人に満たなかったのが、2005年には435万人に達しました。両国間の友好都市は226組にまで発展しております。また、平均20分おきに飛行機が両国間を飛び交っています。
二番目として、経済協力の役割はすでに両国の経済にとって大切なものになってきました。2005年、日本の対中投資件数は3,200件、前年に比べて5.3%ダウン、契約金額と実行額はそれぞれ119億米ドル、65億米ドルとなっています。2005年末までの日本の対中投資累計は35,000件、実行額は533億米ドルと、全国の外資導入実行額の8.6%を占めています。現在、国別地域別に見ると日本は中国にとって第二の投資国となっています。
日本の統計によると、1990年には中国は日本の輸出市場の12位でしたが、2003年には2位に上がっています。日本の経済産業省の統計では2004年度、中国にある日系企業数は3,557社、海外にある日系企業総数の20%を占めております。中国での売上総額は18.5兆円と日本の海外売上総額の11%を占め、日本企業の海外市場での伸び率の中で中国は第1位であり、北米市場での伸び率の8倍となっています。80%以上の在中日系企業が利益を上げており、5,774億円の利益が出ております。これは日系企業の海外での総利益の10%に当たります。
日本企業は中国経済の発展のために重要な役割を果たしております。統計によれば、中国にある日系企業は直接あるいは間接的に920万人の雇用を創出しております。2005年の日系企業の納税額は490億元を超えました。現在、中国の技術輸入の1/5、ハイテク技術製品の1/6が日本から来ています。中国の近代的な家電産業のスタートは、日本企業とは切り離せないものだと思います。20世紀の80年代、90年代に、キヤノン、松下、東芝、三洋、日立などの日本の優れた企業が中国に相次いで進出してきました。ここ数年間、両国企業の協力は加速化しています。例えば日産自動車と東風汽車、トヨタ自動車と天津一汽、新日鐵と上海宝鋼、NECと上海華虹などがあります。日本企業が提供した資金、技術、部品は中国の工業化のプロセスを早めました。一部の日本企業はまた中国の社会事業の発展にも積極的であります。例えば中国で奨学金を開設したり、希望小学校を建設したり、環境保護やその他の社会救済などの公益事業にも参加しています。
実践から分かりますように、両国の経済協力はWin Winの結果をもたらしております。今後の両国の経済発展の見通しも広々としております。そのことは我々の分析によれば以下のように証明されています。
まず、中国の消費市場の潜在力は大きなものです。2010年には中国国内の市場は4兆米ドルを超えると見込んでおります。また、輸入額は1兆米ドルを超えるでしょう。2005年の中国での自動車販売台数は567万台と、全世界での販売量の10%でしたが、2010年には800万台を超えると見込んでおります。中国での携帯電話ユーザーは3.9億人で、全世界の販売量の20%を占めております。2010年には携帯電話ユーザーは6億人を突破すると見込んでいます。ゴールドマンサックスの統計によれば、今後10年、中国の高額消費財需要は年平均10%以上の伸びを保つとされています。世界観光機構の予測では2010年には中国から、毎年5,000万人以上の旅行者が出国するとしています。
次に、中国のサービス市場も発展しております。中国ビジネス発展の「第11次5カ年計画」の中では、今後5年間、中国のサービス輸入は年平均21%の伸びをしめします。この勢いでいけば、2010年の中国のサービス輸入は2,000億米ドルを超えるでしょう。これから10年間で合わせて3兆米ドル輸入することになります。過去8年間の平均伸び率で推移していけば、2010年には中国のサービス貿易分野における外資導入金額は300億米ドルを超えます。これから10年で累計4,000億米ドルになると思われます。
第三に、中国の地方の発展には豊富なビジネスチャンスがあります。地方の協調のとれた発展を促進するために、1999年以降、中国政府は西部大開発、東北振興、中部勃興などの地域発展戦略を相次いで打ち出してきました。これに伴って、中国政府の対西部地区インフラ整備投資の累計額は1.1兆元に達しています。これから5年間、中国はインフラ投資の増加、公共サービスの改善などを通じて、農村地域から4,500万人の労働力を移転させることによって、日系企業を含む各国の投資事業にはチャンスをもたらすことになります。
一方、まさに豊田会長がおっしゃった通り、中国の経済には具体的な問題点も存在しています。5つの方面から申し上げたいと思います。
まず、経済発展はまだ比較的粗放です。世界の先進水準に比較して、GDP当たりのエネルギー、水資源の消費量が高く、効率はまだ満足の行く段階にはなっておりません。そのことが、中国の企業が特別な熱意をもって、本日別会場で開催されている中日省エネ・環境フォーラムに参加している一つの大きな原因になっています。
中国経済の東西格差は依然大きいものがあります。豊田会長の分析に賛成いたしますが、2006年4月末で、日本の中国東部への投資件数は18,000件、実行額で337億米ドルあり、それぞれ、日本企業の対中投資の92%と92.5%を占めます。中国中部への投資件数は1,016件、実行額は19.2億米ドルと、それぞれ対中投資の5.2%、5.3%となっています。中国西部への投資件数は545件、実行額は7.7億米ドルと、同じく2.7%と2.1%となります。現在日本企業の投資対象の上位にくる省はすべて東部にあり、江蘇省、上海市、遼寧省、広東省の順位となっています。このデータからもわかりますように、東部と西部の発展の不均衡は各方面に及び、投資分野だけでなく、貿易にも及んでいます。中国の90%以上の輸出は中国東部の省からなされており、東部地区の経済は発展し、生活水準は中西部に比べて大変高いのです。
中国政府には貧困からの脱出の努力がまだまだ必要です。一日当たりの生活費が1米ドル以下の人々を「貧困層」とする世界銀行の基準に則れば、中国には現在、この基準以下の人々が2億人以上もいます。また中国には6千万人以上の身体障害者がいます。中国政府の中西部地区の貧困からの脱出という課題は非常に困難なものであります。
四番目は環境問題です。中国の都市部、農村部の環境は過去27年の改革開放のプロセスで大きく変化しましたが、中国の多くの都市は過去10年、15年の間にひそかに大きなイノベーションを経てきました。都市のインフラは整備され、特にゴミ処理、汚水処理、道路、外灯や市民が享有する緑地は大きな改善がなされています。しかし中国の環境問題は依然として厳しい情勢にあります。中国は人口が多く、都市部に人口が密集しています。加えて中国中西部の一部地区の水・土壌流失状況は極めて深刻で、これらの問題を抱えて中国政府は厳しい難関に直面しております。先ほど豊田会長から黄砂のお話がありましたが、その1/3はおそらく中西部から来ており、2/3は中国以外の地域から来ていると思います。共に努力をしてこのような災害の影響を最小限にしたいと思います。
五番目として、中国の消費市場はまだ十分に発達していません。現在皆様のご関心は、中国の投資は過熱しているか否か、ということですが、同時に、如何に国内市場を育成し、各レベルの消費能力を高めるか、という大きな経済問題も存在しています。現在中国国民の貯蓄は増加し続けていますが、例えば社会保障制度が整っていないなど様々な問題もあり、消費市場の発達にはまだまだ困難な努力が必要でしょう。中国政府としては内需の拡大を経済発展の最重要課題に位置づけています。
中日両国の経済は強い相互補完性があります。労働力の面から見ると、現在中国の労働力コストは日本の1/20しかなく、2020年でも依然として日本の1/10に満たない見込みです。産業分業の面から見ると、日本からの輸入品の70%は主要部品、製造設備、高性能原材料であり、対日輸出品の60%は消費財です。中日間で緊密な産業分業網が形成されております。ある日本の学者の分析によると、両国の相互補完は80%以上で、競争は20%に満たないとのことです。
これから更に両機構がその役割を更に発揮し、新時代の中日経済関係の需要に適合するべく、私は以下の提案を致します。(後略)