Vol.54 出張の達人・正宗シリーズ「抜絲※※」

長く糸をひっぱるほど縁起がいい?

広大な中国には日本ではあまり知られていない、珍しい料理がたくさんあります。出張でそんな料理に出会うのも一つの楽しみ(スリル?)。現地で出されて驚かないよう、ちょっと予習をするためのシリーズです。

芋類、果物、「抜絲」の中味はいろいろ

食べ終わるころには糸だらけ

 「抜絲」という名前がつく料理をご存じですか?初めてこの料理に出会ったのは、冬の河北省を訪れたとき。小さな街に一件だけあるホテルのレストランで「ここの名物だから」と現地の人が注文してくれたのが「抜絲土豆」でした。「じゃがいもを水につけて食べる」との説明に、いったいどんな料理なのかおっかなびっくりだったのですが・・・。飴で絡めたジャガイモを、水にいったん浸して食べるという珍しさもあって、大学イモのような味付けのじゃがいもはなかなか新鮮でした。

 翌日、さらに地元のグループの人たちと食卓を囲むことになり、郷土の素朴だけどなかなかおいしい料理に舌鼓を打ちました。その中でやはり抜絲、今度はサツマイモが出てきました。長く糸を引くほど縁起がいいらしく、みんなでできるだけ長く糸を引いては水に浸して食べるので、場も盛り上がりました。当然、テーブルは糸だらけになり、他の料理の皿も被害が出るのですが・・・。味もジャガイモより、サツマイモの方が好みでした。
 次にこの料理を食べたのはある中国人の方のお宅に呼ばれたときです。次々と家庭料理を作ってくれたのですが、デザートには抜絲パイナップルが出てきたのです。「かたまらないうちに早く食べてください」、と言われ、あわてて食べました。こうして抜絲は飴でからめた応用ができることを知ったわけです。(実際、Yahoo!中国で検索してみると、抜絲リンゴ、抜絲ブドウ、抜絲ナツメなど多種多様な料理名が出てきました。) そしてこの料理はできたてが一番。本当に固まってしまうと、食べるのに苦労します。歯にもくっつくので、要注意!
 さて4度目の出会いは北京料理で有名な新宿の中華料理屋さん。メニューの中に抜絲バナナ(!)を見つけ、思わず注文してしまいました。ここでは運ばれてきた抜絲バナナをお店の小姐が1個1個水にくぐらせ、それぞれの皿に取り分けてくれます。そのため、最大のお楽しみ長く糸を引いて水にくぐらせる過程は楽しむことができませんでした。やっぱりあの醍醐味は本場で体験するしかないのかもしれません。  (畳鰯)

 

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