Vol.40 中国娯楽指南・焦点影片JIAO DIAN YING PIAN

「ドリアン ドリアン」
原題: 榴[木連]飄飄
 
監督:フルーツ・チャン(陳果) 
出演:チン・ハイルー(蓁海[王路])
ベネチア国際映画祭出品作・2001年台湾金馬賞最優秀作品賞、最優秀主演女優賞他受賞

 「リトル・チュン」など、「香港返還3部作」で知られるフルーツ・チャンによる、新しいテーマの作品です。前半の舞台となる香港と後半の黒龍江省・牡丹江の対比も見どころです。また、主人公の設定通り牡丹江出身の新人、チン・ハイルーにも注目です。
 主人公のイェンは深センを経てお金を稼ぐために香港にやってきます。ビザが切れるギリギリまで「商売」にいそしむイェンが唯一、心を通わせたのが、同じ大陸からやってきた不法移民の少女ファンでした。やがて大金を手に牡丹江へ帰ると、彼女は周囲の人からあこがれの南方から帰った成功者として迎えられます。彼女は自立のためになりふりかまわずお金を稼いだのですが、いざ故郷に帰ってみると、何をしていけばいいのか、目標を見失ってしまい、思い悩みます。何も知らない若者が夢を実現するために南方へと向かう姿を複雑な思いで見送るイェン。


香港で稼ぎまくった前半と牡丹江に帰ったあとでは画面の雰囲気もガラリとかわります。 彼女の背景もわかってきます。凍てつくような冬景色も悶々と何をすればいいのか悩む日々も、熱気あふれる香港でお金のために突っ走っていた前半と対照的。結局、ファンから送られたドリアンを食べながら、彼女は結論を出すのですが・・・。でも彼女が出した結論には納得できました。せっかくだからもう少しじっくり描いて欲しかったのですが・・・(一瞬別人だと思ってしまうから)。
 ところでフルーツ・チャンは「香港返還3部作」でも他の作品の主人公を通行人などでちらりと出演させていましたが、今回は「リトル・チュン」でチュンが好きになった、不法移民の女の子、ファンが同じ設定ででてきます。「リトル・チュン」のラストで、「この子は強制送還されてどうなっちゃうんだろう?」と気になっていたのですが、この映画でその後を知ることになり、安心しました。イェンへの手紙で「強制送還されてかえってよかった。だってここが私のふるさとだから」とあったからです。
 フルーツ・チャンはリアルな香港(&中国)を描写することにかけては卓越していると思います。逆に言えば少しバックグラウンドを知らないと、わかりにくいシーンがあったのも事実なのですが・・・面白かったのが、牡丹江のレストランで盛大な宴会を開いたあと、床にビール瓶やゴミやらが散乱している場面でした。いかにもありそうな光景です。さらにファンの父親が買ってきたドリアンをめぐる一家の、自然な表情も印象的でした。これもほとんどアマチュアの俳優ばかり使うからこそのリアリティなのでしょう。  
  ちなみに「ドリアン ドリアン」という語呂のよいタイトルは、「デュラン・デュラン」からヒントを得たそうです。
(「中国電影館」Yan)

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