Vol.29 中国娯楽指南・焦点影片いちおし映画/JIAO DIAN YING PIAN

小さな幸福にふと気がつく「しあわせの場所」(東京・中野武蔵野ホールにて上映中)
原題:没事愉着楽
 
監督:楊亜洲 出演:馮(フォン・コン)

 心が温かくなるいい映画です。主演は中国で有名な漫才師・馮(フォン・コン)。ああいえばこういう「へらず口」で、お人好し、長男としての責任感が強く、困難にはあらゆる機転をきかせて立ち向かう役はまさにぴったり。ひょうひょうとして憎めないところが持ち味です。ちなみに彼はこの演技で98年金鶏賞の主演男優賞を受賞しました。キャスティングといえば、中国の人気歌手蔡国慶も重要なポイントとなる場面で出演しているなど、中国の芸能事情に詳しい人ならなおのこと楽しめそうな作品です。

 魔法瓶工場に勤める主人公の大民は、天津の、たった2間の古い四合院に母と兄弟5人で住んでいます。自身の結婚、次男の結婚、そして子どもの誕生と、つぎつぎとスペースの問題を解決しなければならなくなります。狭い中庭をなんとか工夫して自分たちの部屋をつくるのですが、結局隣人に反対されて庭の木を切ることができず、部屋の真ん中に木が残ることになってしまいます。それでもひるまず、生まれた子供に「小樹」と名付けるあたりのたくましさといったら!魔法瓶をアルバイトで売り歩いたり、「困窮手当」の候補となるなど、経済的な悩みもつきません。弟や妹たちにも心配させられ、おまけに「やっぱり来たか」と思うような取り壊しのトラブルにも巻き込まれてしまいます。そんな状況でも兄弟たちに頼られ、本人もそれに応えようと(時にはいさみ足でも)努力する姿は滑稽だけど、ひたむきで飾らない等身大の庶民の姿そのものです。
 ラストに家族と一緒に出かけた場面がすがすがしい。賢い妻と子どもがいて、家族もそばにいる。大民は十分しあわせなんだろうな、としみじみ感じるシーンです。 とくに大民が息子に 「しあわせに出会ったら、こっそり笑うんだ」というセリフがじーんときます。

中国では99年の春節映画として公開されましたが、同時期に公開されたハリウッド映画「プライベートライアン」をしのぐ興行成績を収めるなど、多くの人に共感を呼んだようです。いろんなエピソードがちりばめられていて、時には笑い、時にはほろっとさせられる。中国版「男はつらいよ」といった感じでしょうか。(「中国電影館」Yan)

この作品の上映日程など詳しい情報はこちらのサイトをご覧ください。 

 

 

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