Vol.27 日中意味違い用語 4


 "俊鞭"と「アクセプト」
 中国語の"俊鞭"は貿易人でない場合「受け取る」と理解するのが一般的であろう。もちろん「(条件を)受け入れる」という意味も含まれるが、それは、次の応用篇的用法である。古い話だが、日中双方共に通訳を介して共同商談を行なった事がある。こういう時は、それぞれの通訳者は当然自国語を相手国語に訳すのが役目になる。
 日本側数社と中国側貿易公司とで激烈な取引条件の議論が行なわれて、お互いに膠着状態が続いた後、中国側首席商談員が突然口を開き「日本友人に我々の誠意を示すために皆さんがたの提案を受け取ります」(記憶に残っている中国語の原文は"葎阻公晩云涛嗔燕幣嶄圭議穫吭,厘断俊鞭低断宸肝議秀咏。"であった)と発言した。一瞬意味が分からずキョトンとした。実は相手がオファーを「アクセプ卜」したわけで、急転直下めでたく契約成立したのだった。
 2〜3秒の間、沈黙していた日本側の座がわっと沸き、慌てて相手に握手を求める場面が展開された。今でも、その時の光景は忘れられない。相手の通訳者が、もう少し日本語の取引用語を的確に使って欲しかった一幕である。

宴会の席順と着席には要注意
 宴会で席順が大切なことは世界の常識だ。中国式宴会では、主人役は丸テーブルの一番奥の席に座る。主人の右隣には主賓が座り、左隣にはナンバー2の客が座る。通訳は主要な客の隣に座る。……この序列は極めて重要であり、中国人は席の位置関係を大変気にするので、主催者側と客それぞれの席順をよく把握しておく必要がある。

「着席」を「秘朗」と言って失敗
 中国語の「着席」という言葉にも、いろいろ言い方がある。学校で日本人が最初に習う「着席」は、会話で出てくる"萩恫!萩恫!"であろうか。次いで"萩恫和!"などが多い。
 私が、学校で習ったのもこれ位だったが、実際に聞いたのは学校で級長が授業の始まりにかけた号令で、授業の始まりに先生が教室に入ってきた時、級長が"軟羨"と叫び、次に"彰撰!"、"撰穎!"で、最後が"恫和!"であった。
 ところが、この「着席」を使って一度恥をかいた。宴席の描写をした記述の中で、司会者が参会者に対して"萩寄社秘朗!"というのがあり、"秘朗!"とはなかなかしゃれた表現だ、一度使ってみようと考えた。
 何日か後、中国の友人を交えた懇談会が催され、私が司会をした。「では、皆さんご着席ください。」といった後で、中国語で張り切って、"L壓,萩寄社枠伏断秘朗!"とやった。中国の友人たちは妙な顔をしながら、それでも着席してくれたが、後で「藤本さん、あれは宴会の席につくと言うことですよ。」といわれ、習慣、慣用を確かめず、文字面だけで考えた言葉を迂闊に使うと、とんでもない過ちを犯すものだと反省した。あの場合の「着席」は"L壓,萩寄社枠伏断祥恙!"といえばよかったのだ。なお、「宴席につく」には"秘朗"以外に"秘恙"もある。 (藤本恒)

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<管理人より>
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