外資三法の改正の要点


 中国では、WTO加盟を控え、WTOルールに即した法律の制定や改正など法整備が進んでいる。三資企業の関連では、昨年11月に「外資企業法」、「中外合作経営企業法」が改正され、今年3月には「中外合弁経営企業法」が改正された。主な改正のポイントは以下の通り。

 (1)外貨バランス要求の撤廃
外資三法の制定当時、中国の外貨準備は不十分であり、厳格な外貨管理が実行されていた。そのため、三資企業が外貨を必要とする場合、出資金や輸出で稼いだ外貨で賄うという趣旨で、外貨バランスの規定が制定されていた。その後、外貨管理は緩和され、1996年12月にはIMF8条国へ移行し、経常取引は既に原則自由化されている。今回の改正は、この現状と法律の整合性をとったものである。

 (2)原材料の国内調達優先要求の廃止
従来、外貨管理や国内産業の育成の観点から、原材料等は国内市場で調達する旨の規定があった。しかし、社会主義市場経済のもとでは調達方法に政府が関与することは望ましくないこと、WTOルールの内国民待遇の原則と合致しないことから廃止となった。

 (3)生産・経営計画の届出義務の廃止
中国は社会主義計画経済から社会主義市場経済へ移行しており、現状では、三資企業を含む各企業は、生産・経営計画の届出は要求されていない。このため、実質的な意義を失っているため改正となった。

 (4)輸出義務から輸出奨励に変更
これまで、外貨バランスの維持、輸出産業の振興の観点から、独資企業には輸出義務を課していた(合弁、合作には明確な法的規制はない)。しかし、上記Aの原材料の国内調達優先規定の廃止と同様の趣旨により、今回、輸出義務から輸出奨励に変更となった。

 (5)工会の設立に関する条項の追加
外資企業法、中外合作企業法には明確な規定があったが、中外合弁企業法には規定はなく、今回追加された。

外資三法の改正を踏まえ、実施細則や実施条例の改正作業が行われているところで、この中で外資企業法実施細則は今年4月に改正済みである。今後、中外合作経営企業法実施細則、中外合弁経営企業法実施条例も改正される見通しである。

1.外資企業法の主な改正点(2000年11月改正)

改正事項 改正前条文 改正後条文
外貨バランス要求
 (第18条第3項)
○ 外貨バランス要求の撤廃
外資企業は、自ら外貨収支均衡を図らなければならない。外資企業の産品を関係主管部門の承認を得て中国市場で販売し、そのために企業の外貨不均衡が生じた場合には、中国市場での販売を承認した機関が責任をもって解決する。 削除
原材料の現地調達要求
 (第15条)
○ 国産品原材料の優先調達要求の廃止
外資企業が認可された経営範囲内で必要とする原材料、燃料等の物資は、中国国内で購入することも、また国際市場で購入することもできる。同等の条件の下では、可能な限り先に中国で購入するものとする。 外資企業が認可された経営範囲内で必要とする原材料、燃料等の物資は、公平・合理の原則に基づき、中国で購入することも、また国際市場で購入することもできる。
生産経営計画に関する条項 (第11条第1項)
○ 生産経営計画の報告義務廃止
外資企業の生産経営計画は、主管部門に届け出るものとする。 削除
輸出義務(第3条第1項)
○ 輸出義務を輸出奨励に変更
設立される外資企業は、中国国民経済の発展に役立ち、かつ、先進的な技術及び設備を採用し、または製品の全部もしくは大部分を輸出するものでなければならない。 設立される外資企業は、中国国民経済の発展に役立つものでなければならず、国家は製品を輸出もしくは先進的な技術を有する外資企業の設立を奨励する。

2.中外合作経営企業法の主な改正点(2000年11月改正)

改正事項 改正前条文 改正後条文
外貨バランス要求 
(第20条)
○外貨バランス要求の撤廃
合作企業は、自ら外貨収支均衡を図らなければならない。合作企業は、外貨収支の均衡を自ら図れない場合には、国の規定により関係機関に援助の付与を申請することができる。 削除
原材料の現地調達要求 
(第19条)
○ 国産原材料の優先調達要求の廃止
(前略) 合作企業が認可を得た経営範囲内で必要とする原材料、燃料等の物質は、国内市場で購入することができる。国際市場で購入することもできる。  (前略) 合作企業が認可を得た経営範囲内で必要とする原材料、燃料等の物資は、公平・合理の原則に基づき、国内市場で購入することも国際市場で購入することもできる。

3.中外合弁経営企業法の主な改正点(2001年3月改正)

改正事項 改正前条文 改正後条文
原材料の現地調達要求
(第9条第2項)
○ 国産原材料の優先調達要求の廃止
合弁企業が必要とする原材料、燃料及び付帯設備などは、中国においての購入を優先させなければならない。合弁企業自身で調達した外貨で、直接国際市場から購入することもできる。 合弁企業が批准された経営範囲内で必要とする原材料、燃料などの物資は、公平、合理的原則に基づいて、国内市場或いは国際市場で購入することができる。
生産経営計画に関する条項
(第9条第1項)
○ 生産経営計画の報告義務廃止
合弁企業の生産経営計画は主管部門に届け出、経済契約の方式で実施しなければならない。 削除
工会の設立に関する条項
(第7条)
○ 工会設立の奨励と協力義務
追加 合弁企業の従業員は、法に依り工会を設立し、工会活動を行い、従業員の合法的権益を保護する。合弁企業はその企業の工会に必要な活動条件を提供しなければならない。

(城倉 隆弘)