第11回日系企業投資経験交流会をふりかえって

 今回の第11回日系企業投資経験交流会は、4月に北京で開催した第10回交流会、5月下旬に東京・名古屋・大阪で開催した外資政策セミナーに続くものです。中国のWTO加盟をふまえ、外資に対する今後の貿易・流通の開放をメイン・テーマとして、対外貿易経済合作部や国家経済貿易委員会など中央関係部門の実務責任者との間で活発に質疑応答を行いました。
 中国政府は、WTO加盟に際して、外商投資企業を含む全ての中国企業に対して加盟後3年以内に貿易権を与えること、また3年以内に独資による国内流通サービスへの参入を認めることを約束しています。これらは、今後、貿易業や流通業に投資する企業にとっては勿論、既存の外商投資企業にとっても新たな事業発展のチャンスとなるものと思われます。いずれも今年から部分的にも実行することになっていますが、今回の交流会を開催した7月19日時点ではまだ関連の法令や措置が発表されておらず、多くの企業が具体的な開放のスケジュールや条件に注目しているところです。
 今回の交流会でも、これらの点について多くの質問が集まりました。質疑応答の内容は後掲のとおりですが、4月の交流会や5月のセミナーを含め、これまでに明らかにされた政府の方針を整理すると、以下のようになります。

1) 貿易・流通専業企業の許可について
目下、「中外合弁対外貿易公司設立に関する試点暫定弁法」と「外商投資商業企業試点弁法」を改正中(国務院で審議中)で、新たに条件を規範化する。
いずれも、外国側投資者要件・出資比率・認可数・認可地域などの制限を緩和する。
対外貿易公司については、貿易業務と同時に国内卸売業務を許可する。

2)一般の外商投資企業(非専業企業)に対する貿易・流通業務の許可について
一般の外商投資企業に対しては、WTOでの約束どおり3年以内に貿易権を付与する。但し、輸入品の国内販売については、WTOでの約束で国内流通に関して一定の条件を定めており、自動的に許可されるものではない。上記の規定に合致することを条件に、経営範囲の拡大という形で許可する。これらに関する規定も別に制定する。
外商投資企業のうち、既に一部貿易権・流通許可を与えている投資性公司(傘型企業)と年間輸出額1千万米ドル以上の生産企業に対して、優先的にその拡大を許可する。
投資性公司については、輸入権を拡大するが、取扱品目に一定の制限を設ける。投資性公司から貿易・流通業への投資は、上記の規定に合致すれば許可される。
保税区の貿易型企業については、保税区が国外と同様の位置づけであることから、非保税区での貿易・流通が許可される可能性は低い。
貿易・流通の開放については、多くの企業の関心事となっていることから、当機構では引き続き関連情報の収集・提供を行っていきたいと考えております。

(池上隆介)