外資政策セミナーレポート

2)中国の渉外税収政策の現状と今後について

国家税務総局国際税務司主任科員 宋哲

本日は中国の現在の渉外税収政策及び今後の方向性を簡単にご説明致します。

一.現在の渉外税収政策
(一)流通税面
1.ソフト産業と集積回路産業の増値税優遇政策
  2010年末まで、自社開発生産のソフト製品は、17%の法定税率に基き増値税を徴収後3%を越える負担分を、又、自社開発生産の集積回路製品は、17%の法定税率に基き増値税を徴収後6%を越える負担分を「即徴即退」政策の実行対象とします。
2.技術移転の営業税免除
  外国企業の中国国内への技術移転は、技術先進型或いは優遇されている項目であれば、国務院の主管税務部門の許可を経て、営業税を免除します。
3.金融保険業の営業税税率の引き下げ
  2001年より、金融保険業の営業税税率を毎年1ポイントずつ、三年間で8%から5%に引き下げます。
4.輸出入税収政策の調整
(1) 『外商投資産業指導目録』の奨励分野と制限乙分野に合致する外資プロジェクトに対し、投資総額内で輸入する自社用設備は、『外商投資プロジェクトにおける免税非付与輸入商品目録』掲載商品を除き、関税と輸入時の増値税を免除します。
(2) 設立済みの奨励分野と制限乙分野の外資企業・外資研究開発センターが、元来の許可範囲内で輸入する、国内で製造不可或いは性能が使用レベルに満たない自社用設備及び関連技術・部品については、『国務院の輸入設備税収政策の調整に関する通知』(国発[1997]37号)に基き、関税と輸入時の増値税を免除します。
(3) 外資・外国企業が、『国家高新技術製品目録』掲載製品を生産上必要で輸入する自社用設備、及び設備と共に輸入する技術や関連部品については、国発[1997]37号文件『国内投資プロジェクにおけるの免税非付与輸入商品目録』掲載製品を除き、関税と輸入時の増値税を免除します。
(4) 外資企業、外国企業が、『国家高新技術製品目録』掲載の先進技術を導入する場合の、国外に支払うソフトウエア代金は、関税と輸入時の増値税を免除します。
(5) 2000年1月1日より、外資企業が許可範囲内で購入した輸出割当や輸出許可管理に当てはまらない輸出用貨物には、輸出税を還付しています。
(6) 1999年9月より、『外商投資産業指導目録』の奨励分野と制限乙分野、及び『当面国家が発展を重点的に奨励する産業、製品と技術目録』に合致する投資プロジェクトが、投資総額内で国内にて設備を購入する際、『外資プロジェクトにおける免税非付与輸入商品目録』と『国内投資プロジェクトにおける免税非付与輸入商品目録』の掲載商品を除き、国産設備にかかる増値税を全額還付しています。
(二)所得税面
1.投資税額控除免除政策
  外資の導入を拡大し、外資・外国企業の国産設備使用を奨励するため、1999年7月1日より、投資総額内で免税目録範囲の国産設備を購入する場合、投資の40%につき、設備購入の当該年度に、前年度から増加した企業所得税と相殺ができるよう規定しました。
2.中西部投資の税収優遇政策
  中西部地区に設立する国家奨励分野の外資企業については、現行の優遇税制政策の執行期間満了後3年間は、15%の低減税率で企業所得税を徴収します。
3.西部大開発税収優遇
  西部地区に設立する国家奨励分野の企業については、一定の期間内、15%の低減税率で企業所得税を徴収します。
4.技術開発費と納税所得額の相殺政策
  外資企業の技術開発費が前年比で10%以上増加した場合、税務機関の許可を経て、その50%を、当該年度の納税対象所得額から控除できます。
5.エネルギー、交通インフラプロジェクトの優遇政策の範囲拡大
  エネルギー、交通インフラプロジェクトに従事する生産性外資企業には15%低減税率で企業所得税を徴収する規定を、1999年1月1日より全国に拡大しています。
6.集積回路生産企業の税収優遇
  投資総額が80億人民元超、或いは0.25ミクロン以下の集積回路生産企業は、税務総局の許可を経た後、「五免五減」の所得税優遇を享受できます。
7.源泉所得税の10%税率での統一徴収
  2000年1月1日より、中国国内に機関・営業拠点のない外国企業には、中国で得た利息、リース料、特許使用料やその他所得に対し、又機関や営業拠点はあるものの、その所得が中国内の機関、拠点と実際関係ない場合、10%の低減税率で企業所得税を徴収しています。

 以上、全て公布され、実施されております。

二.今後の税制の方向性
 1994年の中国の財政税収体制改革では、社会主義市場経済に適応した税収政策の枠組みを構築し、経済発展と財政収入の確保に重要な役割を果たしました。しかし、マクロ経済が変化し、経済構造の調整上及びWTO加盟交渉の過程において、更なる調整の必要が出てきました。主に、増値税徴収の改善、消費税と営業税の調整、内外資企業所得税の統一、個人所得税制度改革と地方税の改革完備等です。
(一)増値税徴収の改善
   現在実行しているのは生産型増値税で、機器設備などの固定資産は仕入税額として控除できず二重課税となっています。特に資本・技術集約型企業の税負担が重く、構造調整や経済成長の転換に不利です。
   増値税の改善は、生産型から消費型への転換、対象範囲拡大という2点です。範囲拡大は、一方で営業税の適用範囲を縮小させ、中央と地方の調整が必要なため、更なる研究が必要です。
(二)消費税の調整
   社会経済の発展に伴い、贅沢品への認識も変化しているため、大衆消費品については、段階的に消費税率を引き下げ、もしくは税収範囲から削除します。反対に、贅沢品や高額消費行為には、税収を開始します。政府は環境問題を重視しており、発展維持のため、環境破壊の恐れのある製品も消費税徴収内に組み入れたり、税率を上げたりします。
(三)営業税政策の調整
   娯楽産業等の奢侈的消費行為の適用税率を引上げます。また、経済特区内の外資系金融機関が特区内で得た営業収入について、登記日から5年間に限って認めていた営業税免税を廃止、内外資企業の税負担のバランスを図ります。
(四)内外資企業の所得税制度の統一
   現在は内外資企業に異なる所得税制を実行していますが、外資許可分野も徐々に拡大され、国内外市場は次第に一体化、国有企業改革も進んでいます。WTO加盟に向け、無差別の内国民待遇を提供しなければなりませんから、二つの企業所得税を統一することは、税制改革の基本方向です。
  1.現在の企業所得税率は33%ですが、実際はこれを大幅に下回っています。統合の際は、優遇政策の規範化を考慮しつつ、実際の負担水準を考慮し、税率を適切に引き下げます。
  2.課税基準の規範化、税負担の公平化、国際慣例を参考にした税引き前控除の範囲と課税標準の設定、内外資企業の減価償却レベルなどの統一。
(五)個人所得税制度改革
   貧富差の縮小、社会安定の維持は、税収による所得再分配の重要な機能です。中国の個人所得税は近年大きく改革、調節作用も強化されています。しかし、税制の考え方と徴収管理能力には依然不備があります。そこで、税制改革は個人所得税の完備を一つの重点目標としています。現段階の個人収入の再分配政策と徴税管理を結合させ、現在の分類税制(所得項目ごとの徴税)から、分類税制と総合税制を併用する体系に変更します。賃金所得、労務報酬所得、経営報酬など経常所得を総合税収項目に組み入れます。そして綜合税収項目の税率を簡素化し、超過累進税率を実行します。その他の所得については、引き続き分類税制を実行していきます。
   同時に、所得格差縮小のため、相続税等の財産に関する税制を確立し、社会保障税制の確立を推進します。
(六)地方税の改革完備
   内資企業と外資企業別々に適用されている税制を統一し、内外資企業と個人の税負担を公平にします。
   1.内外資の二つの車両船舶使用税制度を一本化、統一した『車両船舶ナンバープレート税暫定条例』を制定します。
   2.内外資の二つの不動産税制度を一本化、統一した不動産制度を制定します。
   3.都市維持建設税、土地使用税の税収範囲を、外商投資企業、外国企業、外国籍個人にまで拡大します。
(七)国際経済活動に対する税収政策の完備
   経済のグローバル化に適応し、移転価格、国際資本の流動、税収の控除免除等更に研究を進め、多国籍企業の直接投資奨励や国際的脱税防止の基準を把握します。金融機関の国際間業務、多国間証券投資、電気通信の国際サービス、コンサルタント業における労務発生地認定など国際サービス貿易業に関する税収政策を完備し、また電子商取引関連の税収対策を講じ、新貿易方式での脱税を防止します。

 上述の税制改革は更なる研究討議が必要で、一部は国務院や最高立法機関の最終認可を待たなければなりません。税制改革の推進に伴い、中国の税制体系はより科学的で規範化されたものになると確信しております。

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